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”アイドル篇”
【ピースが重なる時】
しおりを挟むそこから、セツナは自身の壮絶にも程がある半生を語った。
正確には文字にしたのだが・・・・・・文字ゆえに彼女の指が震えたり、目から涙が溢れたりと感情の動きがよく分かった。
彼女には文才があったらしい。
こう思った。
こう感じた。
その時の状況を、舌を動かすよりも饒舌に・・・・・・伝えたのだ。
全てを話しきる頃には・・・・・・道場に近い、公園の脇の道路に到達していた。
『・・・・・・ごめんなさい。でも、あなたに辛いのは自分だけじゃないって伝えたくて・・・・・・気を悪くさせてしまったんなら、ごめ』
そこまで書いたところでーーーー
突然、ゴウがセツナを抱きしめたのだ。
傘が辛うじて間に挟まっているが、彼は彼女を離さない。
「・・・・・・!」
「その・・・・・・やっぱり、俺ってバカは伝え方がダメダメだ・・・・・・」
「・・・・・・ダ・・・・・・」
「分かってる。男に恐怖するのも・・・・・・でもさ・・・・・・なんつーか・・・・・・お前を抱きしめないと壊れちゃいそうな気がして」
「・・・・・・」
「そいつら・・・・・・全員ぶっ殺してやりてーよ・・・・・・そんくらい、お前のためにムカついてくれるヤツがいるってこと、伝えたかった」
「・・・・・・(コクン)」
「その・・・・・・もう少し、もう壊れないようにこのまま・・・・・・」
「・・・・・・ウン」
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