死が二人を分かつまで

KAI

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”アイドル篇”

【夜道の男女】

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 走れば・・・・・・まだ追いつくはず・・・・・・



 タッタッタッタ



 タッタッタッタ



 タッタッタッタ



 暗い夜道・・・・・・だが、いくら変装していてもあの巨人を見逃すわけない。



 ・・・・・・いた!!



 やはり傘をさしておらず、ジャケットを代わりに被っている。



 ダッシュで追いついた。



「・・・・・・っ」



 だが、久々に思い出した。



 自分は声が出せない。



 しょうがなく、後ろから背中を叩くことにした。



「おわっ!?」


「・・・・・・」


「ビックリしたぁ・・・・・・な、なんだ?」


「・・・・・・(グッ)」



 無言で傘を差し出す。



「お、俺のために雨の中走ってきたのか?」


「・・・・・・(コクリ)」


「・・・・・・あんがと」



 低いバリトンボイス・・・・・・



「・・・・・・で、お前の傘は?」


「・・・・・・!」



 しまった・・・・・・



『完全に忘れてた』



 書いた文字も滲んでしまう。



「はぁ~しょうがねえな・・・・・・入れよ。道場まで送ってやる」



 ひとつの傘に、二人が並んで入る。



 ピトッと密着してしまうが、なぜだかゴウは彼女から距離をおく。



『・・・・・・ちゃんと入らないと』


「大丈夫。濡れてねえよ」



 そうぶっきらぼうに言うが、彼の肩は雨で濡れている。



 ・・・・・・不器用な男。



 そう思った。


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