死が二人を分かつまで

KAI

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”アイドル篇”

【足のボクシング】

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 レンVS新樹



 新樹は知っての通り関節技を得意としている。



 一見すれば、出てきた足を取って挫いてしまえば・・・・・・と思う。



 しかし・・・・・・蹴り技に特化したテコンドーに通じるかどうか・・・・・・



 芥川も内心ではワクワクしていた。



「互いに礼!!」



 ・・・・・・一陣の風が吹いた・・・・・・



「・・・・・・始めい!!」



 シュッ!



 パン!



 当たった・・・・・・



 ここまでは新樹も想定内。



 ローを狙った蹴りを、そのまま掴んでやる・・・・・・



 が・・・・・・



 シュポッッ!



「なっ!」



 すぐに足は膝関節により畳まれ、元の位置に戻っていった。



 でーーーー



 パッパパァァァン!!



 下・・・・・・そして中・上!?



 膝関節がゴムでできているのかと疑ってしまうほどの自在な動き。



 掴みを狙う新樹はまんまと最初の下段蹴りに気をとられ、その後の中段・上段をもろに喰らってしまった。



「くっ・・・・・・」



 ビシュッ!



 バシュッ!



 パシィィ!!



「これはこれは・・・・・・」



 まさしく・・・・・・足によるボクシング・・・・・・



 上下前後左右・・・・・・あらゆる方向から足が放たれる。



 しかもこのレン、メンバーの中で最も小さいにもかかわらず、重心が安定している。



 左で打つならば右足は岩となり・・・・・・



 右で打つならば左足は柱となり・・・・・・



 まったく重心がブレない。



「ありゃりゃ・・・・・・」


「ね? すごいでしょ? ウチのレン」


「いやぁ~・・・・・・惜しい!」


「え?」



 後ろ回し回転蹴りーーーー



 遠心力をつけて、最大限の力を蹴り足にーーーー



「オラァ!!」



 ドドドッッ!!



 ガッッ!!



 蹴りを浴びながらも新樹は果敢に軸足に向かって、タックルを極めた。



 揺らがないという自信があったレンだったが、人体の止めようのない反射や反応を利用するのが・・・・・・芥川流だ。



 膝の裏の筋に沿って、手をスライド・・・・・・



 そして、核となる部位に到達!!



 ガクンッッ



「うっ!」



 慌てたレンが伸ばしていた足を緊急避難させたが・・・・・・それが狙いだ。



 重心はそっちの足に引き継がれた・・・・・・ということは・・・・・・



 もうこの持っている足は、岩でも柱でもない。



 グンッ!!



 上半身をレンに押しつけ、そのまま左へ体重移動をしたかと思うと、右足を相手の後ろに急速に動かして・・・・・・



「っしょい!!」



 ぐらり・・・・・・



 ドスン!!



 とうとう寝技に持ち込まれてしまった。



 こうなると、もうレンに打開策はない。



「・・・・・・アイドルだから顔を殴るのはやめてやる」



 そう言うと、新樹は足首に肘と手首を巻きつけ・・・・・・



 身体を反らし・・・・・・



 ミシ・・・・・・



「やめい!!」



 芥川が止めた。



 アキレス腱を挫くのは非常に危険。



 早々に止めなければ、数週間は松葉杖生活となる。



「お二人、大丈夫ですか?」



「はいっ!」



「・・・・・・チッ」

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