死が二人を分かつまで

KAI

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”日常その肆”

【火蓋】

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 剣道の試合ではない。開始は分からない。



 芥川は姿勢を高くして機動性を確保していた。



 あの芥川が、避難用の立ち姿を見せている・・・・・・



「・・・・・・ハッ!!」



 ダァァァァンッッ!!



 思わず耳を塞ぎたくなるほどの、強烈な一歩。



 裸足がこれだけの大きな音を出せることにも驚くが、剣道の気迫というものが伝わってくる。



「・・・・・・これはこれは」



 芥川は包帯の下で舌を巻く。



 隙がまずない。



 次に、太刀筋が見えない。



 武器を使いこなす者たち・・・・・・剣士と相対すると、自分の拳足の頼りなさよ・・・・・・



 だが、これ以外の戦い方は・・・・・・知らぬ!!



 バッ!!



 佐々木が動いた。



 大きく足を出し、またもや破裂音を響かせながら・・・・・・



「!?」



 木刀が頭上で止まった。



 見守っている三人が不可解に思っていると、セツナが最初に気がついた。



『足の指』



 二人が続いて見やる。



「なっ!?」



 一見すると佐々木と芥川が向かい合っているだけだが、そうではない。



 芥川の足の親指が、佐々木の足の甲にめり込んでいる。



「・・・・・・ッッ」


「動けませんよね・・・・・・」



 足ツボ・・・・・・マッサージ師に施されたことはある・・・・・・が、ソレとは明らかに違う。



 痺れ・・・・・・脱力感・・・・・・勢いを殺された・・・・・・!!


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