死が二人を分かつまで

KAI

文字の大きさ
上 下
182 / 300
”日常その肆”

【警視庁のエース】

しおりを挟む


 ガララ・・・・・・



「やはりバレてたか」



 今日もクマさんのような印象の山崎警部。



「今日はご足労をおかけしました」


「フン・・・・・・俺に用があるのか?」


「その前に・・・・・・後ろの方の用件を済ませるのが先かと」



 ヌゥ・・・・・・



 立っていたのは佐々木巡査部長・・・・・・



 だが・・・・・・昨日とまるで違う・・・・・・!



 袴姿で、眼差しだけで切り刻まれそうな、気迫。



「新樹さんにセツナさん・・・・・・昨日は急な無礼、申し訳ありませんでした」


「い、いえ・・・・・・」


「山崎さん。その方・・・・・・佐々木さんの素性をそろそろ明かしてもらわないと、不気味で恐いですよ~」


「・・・・・・ふふふ」



 山崎が笑っている。



「ヌフフ・・・・・・六・・・・・・いや、佐々木 孫六まごろくはな、警視庁機動隊のバリバリ現役さ」


「それはそれは」


「それだけじゃない・・・・・・なんと、特技生として全国二〇万人の警察官から選りすぐられた剣道の代表選手! しかも、オリンピックも視野に入っている!!」


「ほお・・・・・・」


「剣を握らせれば右に出る者はいない・・・・・・最強の剣士だ! ヌハハハ!!」


「山崎さんうれしそうですねぇ・・・・・・」



 相当可愛がっているらしい。



 まるで我が子の功績を触れ回る父親のようだった。



 流石に恥ずかしくなったのか、冷静沈着だった佐々木も笑い続けて悪役みたくなっている山崎を止めた。



「山崎さん・・・・・・恥ずかしいッスよ・・・・・・」


「何を言っとる! 実力者は大声でその功績を叫ぶ権利がある!! ヌハハハ!!」


「いや・・・・・・だったら自分なんじゃないッスか?」


「なにはともあれ・・・・・・相当の使い手とお見受けしますよ・・・・・・佐々木さん」



 芥川の悪い癖が・・・・・・



 強者を見ると、うずうずしてしまうのだ。



「で・・・・・・ここまで来て見学にきた・・・・・・なんて言わないでくださいよ?」


「・・・・・・堪えることのできなかった探究心・・・・・・」



 佐々木の丸みのある目が細くなった。



「どんな修行にもトレーニングにも耐えてきたこの二三年間・・・・・・しかし・・・・・・これだけは抑えられない・・・・・・」


「ククク・・・・・・吐き出しちゃいなさい」


「・・・・・・貴方とたたか・・・・・・」


「いいでしょう!! ヤりましょう!!」


「・・・・・・まだ言い切っていないんですけどね」



 佐々木は竹刀を袋から取り出し・・・・・・



 ヒュン!



 パシッ!



「・・・・・・?」


「あればよかったんですけど日本刀がないので・・・・・・木刀で我慢してください」


「・・・・・・なるほど、山崎さんが敬意を示すわけだ」



 竹刀を置き、木刀を構える。



「今日だけは日本国民を護る任務を忘れます・・・・・・行きますよ芥川さん」


「ええ・・・・・・ッッ!?」



 芥川の目がカッと開いた。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~

アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」 中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。 ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。 『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。 宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。 大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。 『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。 修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...