死が二人を分かつまで

”VS最強編”

【余韻】

　道場にて、ラクな姿勢になった芥川・新樹・セツナ・ブライン・オーナーとセコンド陣が座っていた。



　応急手当が両者に施されたが、ダメージは明らかに芥川が大きい。



　ブラインは鼻骨骨折・喉の裂傷・脳震盪・挫かれかけた首の炎症くらいだ。



　一方で芥川はアゴは砕け、歯も折損。



　顔面はボコボコに腫れてきて大変なことになっているし、内出血がひどい。



　腹部へのパンチの深傷も、後々響いてくるだろう。



「･･････ちゃんと病院行ってくださいね？」



　新樹が口を酸っぱくして言う。



「ええ～だって、怪我の理由とか聞かれて面倒くさいじゃないですか～」


「絶対に行け！」


『私が引きずってでも連れて行く』


「･･････はいはい･･････行きますよ･･････」



　弟子二人に怒られて、シュンとなっている。



「･･････アナタハ、素敵ナ･･････マスターダ」



　ブラインが笑いながら口を開いた。



　蹴られた後頭部に氷を当てられているが、構わずに話し続ける。



「何人モノトーレーナーヲ見テキタ･･････弟子ニ横柄ナ態度ヲスル者ハ多カッタガ、マサカ怒ラレテイルマスターナンテ、聞イタコトガナイ」


「合わないんですよ。そういう自分が優れているって見栄を張る生き方が」


「アナタノ魅力ダ」


「それにしても･･････楽しかったぁ～」



　芥川が蕩けそうな顔で思い出し笑いをしている。



「何度も終わったぁって思いました」


「･･････俺モ何回モ勝利ヲ確信シタ･･････ガ･･････」


「ん？」


「楽シカッタデス･･････サンドバック以外ニ、殴ッテモ殴ッテモ倒レヌ人間ト戦エタ」


「･･････最高の気分じゃないですか？」


「YES･･････心地良イ･･････」



　ウットリするような、戦い。



　二人の戦士が、その感情を共有している。