死が二人を分かつまで

KAI

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”VS最強編”

【VSボクシング】

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「シュッ!!」



 ブラインは開始早々に、ジャブを放った。



 赤いグローブが、芥川の鼻頭まで迫る。



 辛うじて避けたが、すぐに次・・・・・・さらに次・・・・・・!!



 ジャブがマシンガンのように、放たれる。



 しかも、弾丸のような乱れ方はしない・・・・・・正確に顔面を、狙ってくる。



 体捌きでは間に合わない。



 とうとう、芥川は手を出して、腕をあやなして防ぐ。



 が・・・・・・



 ビュボボッッ!!



 タンッ!!



 頬に当たった・・・・・・



 そこからは、まさにヒビの入ったダムの決壊のごとし。



 一発・・・・・・二発・・・・・・三発と当たり始めた。



 しかしジャブ・・・・・・



 ダメージは・・・・・・



「・・・・・・ッッ」



 ・・・・・・多大だ。



 ヘヴィー級ボクサーのジャブは、本気のストレートに匹敵する。



 当たれば確実に脳が揺さぶられ、頭が仰け反る。



「ていっ!!」



 シュバッッ!!



 芥川の蹴り・・・・・・



 弟子の二人なら理解している・・・・・・衝突したかのような衝撃。



 だが、ヒットしたブラインの、板チョコのような腹筋にショックが吸収されてしまう。



 天然の・・・・・・防弾チョッキとも言えるだろう。



(通じぬか・・・・・・)



 むしろ、攻撃されたことでさらにブラインの打撃に力が入る。



 シュガッ!!



 ドッ!!



 バキッ!!



 顔面だけじゃない・・・・・・肝臓に、腎臓に、みぞおちにクリーンヒットしていくる。



 もはや卑怯とすら思える、正確無比な打突。



 芥川の脳裏に、押されている者が思い描く光景がよぎる・・・・・・



(サナギになりたい・・・・・・)



 なんで腕が二本しかないのだろう?



 そんな素朴でバカな考えが出てくる。



 それくらいの、極限状態。



 滝の流れのごとき、連撃。



(・・・・・・狙われている)



 芥川には見えていた・・・・・・ひと筋の光。



 ジャブで攻めている左・・・・・・その後ろで控えている、鬼の金棒。



 右のストレート一閃・・・・・・それを狙っている。



 分かっているさ・・・・・・



 充分に理解している。



 だけれども・・・・・・



(滝の急流から、一匹の鮎を掴み取れって言われているようなものですよねぇ・・・・・・)



 シュッッ!!



 パァァァン!!



 命中ッッ!!



 右ストレート・・・・・・当たった頭が揺らぎ、頬が波打ち、瞼が浮いた。



 ヘヴィー級ボクサーのストレートは、一トン以上。



 その衝撃たるや・・・・・・



 意識が脳みそから逃げていく感覚がする。



 なによりも・・・・・・



(やっぱしだ・・・・・・苦しっ!)


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