死が二人を分かつまで

KAI

文字の大きさ
上 下
151 / 300
”VS最強編”

【ジャック・ブライン】

しおりを挟む


「ジャック・ブライン!?」



 上下は高級スーツを着込み、ブルーのネクタイもキュッと締めている。



 ピカピカの革靴に、大きめのサングラス。



 しかし・・・・・・見間違うワケがない・・・・・・



 何度も何度も観てきた・・・・・・



 一九〇を優に超える長身に、鍛え抜かれた身体までは隠し通せない。



 ボクシングヘヴィー級チャンピオン・ジャック・ブラインーーーー



 まさに本人!!



「ホンモノ・・・・・・」


「君ハ、俺ノファンカネ?」


「は、はいっ!」


「サインハ・・・・・・少シ待ッテテモラウ」



 芥川が微笑んだままゆらりと立ち上がった。



「何用で?」


「・・・・・・見テイタカ分カラナイ・・・・・・ガ、俺ガジャパンヘ来タノハ・・・・・・」


「観てました。大晦日の試合、見事でしたね」


「・・・・・・アンナモノ、戦イノウチニ入ラナイ」


「・・・・・・その後のマイクパフォーマンスで言ってましたね・・・・・・北谷選手との戦いのためでも、賞金や栄誉のためじゃないと・・・・・・」


「・・・・・・ジャパンニ、ブジュツノ達人ガイルト聞イタ」


「まあ、たくさんいますね」


「謙遜ハイラナイ・・・・・・アナタダ・・・・・・」


「・・・・・・で、達人遊山で立ち寄った・・・・・・と?」


「・・・・・・分カッテイルクセニ」



 ジャック・ブラインの背後から、オーナーとセコンドたちが。



「ジャック・・・・・・本当にこの男なのか?」



 英語で喋っている。



「そうだ。この男・・・・・・ゲツ・アクタガワで間違いない」


「・・・・・・口を酸っぱく、戦う条件を伝えたが、忘れてはいないだろうな?」


「もちろん・・・・・・」



 また、芥川へ視線を戻す。



「俺ハ、プロボクサーダ。プロライセンスヲ持ツ者トシテ、合意ナシデノ、ファイトハデキナイ」


「ええ。いいですとも。念書でも誓約書でも書きますよ♪」


「・・・・・・感謝シマス」



 ・・・・・・って!!



 待て待て待て!!



「ほ、本気でやるんですか先生!!」


「無論」


「相手は最強のヘヴィー級チャンピオンですよ!?」


「私だって強いですよ♪」


「そう言う話しじゃ・・・・・・」


「武術家を名乗る者・・・・・・新年早々だろうとも、挑戦は受けて立たねば、名折れというものでしょう」


「そうですけど・・・・・・」


「それにね・・・・・・新樹さん・・・・・・セツナさん・・・・・・」



 芥川の顔が歪んだ。



 狂気的な笑みだ。



「楽しそうじゃないですか~ヘヴィー級チャンピオンと戦えるなんて・・・・・・初詣に行って良かった♪」



 嗚呼・・・・・・もう、この状態になった芥川は止められない。



 新樹もセツナも、呆れてため息を同時に吐く。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...