死が二人を分かつまで

KAI

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”各々の年越し”

【セツナの本心】

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 今年は怒濤だった。



 秋の始まりにセツナを助け出し、同時に目を失い、弟子にした。



 新樹と出会い、正しい武を磨く仲間もできた。



 衣・食・住も、娯楽も交遊も、あらゆる物を与えた。



 だが・・・・・・



 彼女自身から聞きたくなった。



 少し酔っているのかも・・・・・・しれん。



「どうでしたか?」


「・・・・・・」



 キュキュッ・・・・・・



『今年は楽しかった・・・・・・なんて口が裂けてもいえない』



 ・・・・・・



『父さんも母さんも・・・・・・殺された。私も売られた』


「・・・・・・そうですね」


『きっと、今年を忘れることはできない。それは・・・・・・申し訳ないけど、悪い意味』


「はい・・・・・・」


『・・・・・・でも、今日も、そして来年も地獄になるはずだった』



 あのまま船から下り、そしてヤクザに売られ、春を売らされる。



 そのはずだった。



 死にたくても逃げたくてもどうにもならない、この世の生き地獄へと、引きずり込まれる運命だった。



 その運命を変えたのは、神様でも天使でも、警察でもない。



 紛うことなき、芥川の強さ。



 たくさんの『』をもらった。



 服もベッドも、そして大切な友達も・・・・・・



 芥川は気づかれていないと思っているのだろうが・・・・・・寝ている間もずっと、自分のことを意識して考えている。



『失った』そして『幸せ』だった。



『・・・・・・』


「・・・・・・無理に言葉にしなくてもいい・・・・・・すみませんでした」


『ううん・・・・・・』



 キュキュッ・・・・・・



『今年は『ゼロ』だった』


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