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”日常その参”
【武の本領発揮】
しおりを挟むさらに、一方その頃ーーーー
「早く荷物運び出せ!!」
「へい!!」
「時間がねえ!! 一刻も早く東京を出るぞ!!」
ビルの一室でいそいそと荷造りをしている、ガラの悪いチンピラたちが。
彼らの顔は必死そのもので、汗を流しながらヒモで括っている。
「な、何があったんだ!?」
消費者金融会社の協力者が、たまたま今後の標的の打ち合わせで同席していたが、一本の電話が入って震え上がった『極楽ローン』のチンピラらの豹変ぶりを見て、唖然としていた。
「やべえ・・・・・・マジでやべぇ!!」
「だから何が!?」
「うるせえ!! ケツモチのヤミ金がカチコミにあったんだよ!! しかも仁侠会に!!」
「じ、仁侠会ってあの・・・・・・大和組の切り込み隊の異名を持つ?」
「ああ・・・・・・社長も社員も全員やられて、今社長は泣き叫びながら指詰めさせられてるところらしい・・・・・・このアジトももうバレてる!! ずらかるしかねえ!!」
「わ、私はどうすればいい!?」
「知るか自分で考えろ!! ともかく、関東にいたら命がねえ・・・・・・関西にでも逃げて・・・・・・」
「やっほう! 十日ぶりです♪」
音もなく出現したのは、黒い作務衣の男。
全員の手が一斉に止まった。
「てめえは!!」
「ええ。騙された者です」
「じ、仁侠会の人間だったのか!?」
「いいえ。丹波さんとは旧知の仲ですが、関係者ではありません」
しかし・・・・・・
「騙されて背負わされた債務に・・・・・・借りられるはずだった現金・・・・・・許しはしません」
ゆらりと、構えた。
「問答無用・・・・・・参りますよ?」
「クソッ!! ワケ分かんねえが・・・・・・殺すしか生き残る手がねえ!!」
スカジャンの男が、包丁を握って走ってくる。
「うらぁぁぁぁ!!」
「シュッ!!」
ズボッ!!
「お・・・・・・オエエエエエッッ!!」
みぞおちに拳を文字通り挿入された男が、びちゃびちゃと嘔吐をして、顔から床に突っ伏した。
他の皆が、動くことすらできなかった。
「胃を直接殴ったので・・・・・・痛いでしょうが当然の報いです」
「このっ!!」
とうとうチンピラのひとりが、拳銃を出した。
しかし、その強力で凶悪な武器を手にしているのに、歯がガチガチと鳴っている。
「・・・・・・撃ってみなさい」
「ひゅう・・・・・・ひゅぅ・・・・・・!!」
「弾のスピードはせいぜい秒速三四〇メートル・・・・・・躱せる」
「ヒィィッッ!!」
パァァァンッッ!!
引き金を引いたまさにその時には、瞬間移動をしたかのように芥川の身体は拳銃を持つチンピラの下に潜り込んでいた。
ドッ!!
「ピギャァァ!!」
芥川の手首のスナップが効いた裏拳が、股間にダイレクトアタックーーーー
チンピラは失禁をしながら白目を剥いて気絶した。
「さて・・・・・・行きますよ・・・・・・!!」
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