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”日常その参”
【外道には、極道を】
しおりを挟む芥川の声を待っていたかのように、ヌゥっと男が現れた。
真っ赤なスーツが、さらに赤く染まっている。
「オドレゴラァ・・・・・・」
「!? た・・・・・・丹波の親分!?」
「ワシのダチをカモろうたぁ太てぇヤツやのぉ・・・・・・アァ?」
「ヒィ!!」
「そこの被害者さんに誠意を持って答えンかい。さもなくば殺すで」
「金丸ビル三階です!!」
「言えるやないか。初めからそうせンかいボケ」
ヒュンヒュン振り回してたドスを、納刀した。
「芥川ちゃんひっどいわぁ! 釈放上がりのワシに楽しいケンカ用意して祝ってくれたンと思うとったのに、ひとりでほとんど倒すンやもん」
「すみませんねぇ・・・・・・つい、カッとなって」
「でも、久しぶりの芥川ちゃんとの共闘・・・・・・痺れたわぁ!」
「丹波さん。後は頼みますよ」
芥川は社長を自由にした。
にもかかわらず、社長はその場から立ち上がることすらできないでいる。
「あわわわわ・・・・・・」
「オドレ・・・・・・ワシのシマ内で散々ヤミ金やっとったそうやなぁ?」
「丹波親分のお知り合いとは存じませんでして・・・・・・すんません!!」
社長は土下座をした。
「・・・・・・他の債務者はどれくらいおる?」
「ご、五〇人ほど・・・・・・」
「そいつらに金返せ。そして金庫ン中の種金含めた全額よこせば・・・・・・命は保証したる」
「わ、わわ分かりました・・・・・・」
後ろからぞろぞろと出てきた仁侠会の組員に、社長が暗証番号を告げると、若頭の関が金庫を開けた。厳重なチタン合金製の金庫の中には、数えるのも億劫になるほどの札束が眠っていた。
「ほぉ・・・・・・溜め込んどるやないか・・・・・・」
「ど、どうか・・・・・・あの金で勘弁を・・・・・・」
「・・・・・・四本」
「へ?」
「右手の指四本詰めろ・・・・・・鼻クソほじる指くらいは残しといたるわ」
血管が浮き出て噴火寸前の丹波に、申し立てをできる者はいない。
社長は観念したらしく、ヘナヘナと力なくその場にへたり込んだ。
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