死が二人を分かつまで

KAI

文字の大きさ
上 下
119 / 300
”日常その参”

【外道には、極道を】

しおりを挟む


 芥川の声を待っていたかのように、ヌゥっと男が現れた。



 真っ赤なスーツが、さらに赤く染まっている。



「オドレゴラァ・・・・・・」


「!? た・・・・・・丹波の親分!?」


「ワシのダチをカモろうたぁ太てぇヤツやのぉ・・・・・・アァ?」


「ヒィ!!」


「そこの被害者さんに誠意を持って答えンかい。さもなくば殺すで」


「金丸ビル三階です!!」


「言えるやないか。初めからそうせンかいボケ」



 ヒュンヒュン振り回してたドスを、納刀した。



「芥川ちゃんひっどいわぁ! 釈放上がりのワシに楽しいケンカ用意して祝ってくれたンと思うとったのに、ひとりでほとんど倒すンやもん」


「すみませんねぇ・・・・・・つい、カッとなって」


「でも、久しぶりの芥川ちゃんとの共闘・・・・・・痺れたわぁ!」


「丹波さん。後は頼みますよ」



 芥川は社長を自由にした。



 にもかかわらず、社長はその場から立ち上がることすらできないでいる。



「あわわわわ・・・・・・」


「オドレ・・・・・・ワシのシマ内で散々ヤミ金やっとったそうやなぁ?」


「丹波親分のお知り合いとは存じませんでして・・・・・・すんません!!」



 社長は土下座をした。



「・・・・・・他の債務者はどれくらいおる?」


「ご、五〇人ほど・・・・・・」


「そいつらに金返せ。そして金庫ン中の種金含めた全額よこせば・・・・・・命は保証したる」


「わ、わわ分かりました・・・・・・」



 後ろからぞろぞろと出てきた仁侠会の組員に、社長が暗証番号を告げると、若頭の関が金庫を開けた。厳重なチタン合金製の金庫の中には、数えるのも億劫になるほどの札束が眠っていた。



「ほぉ・・・・・・溜め込んどるやないか・・・・・・」


「ど、どうか・・・・・・あの金で勘弁を・・・・・・」


「・・・・・・四本」


「へ?」


「右手の指四本詰めろ・・・・・・鼻クソほじる指くらいは残しといたるわ」



 血管が浮き出て噴火寸前の丹波に、申し立てをできる者はいない。



 社長は観念したらしく、ヘナヘナと力なくその場にへたり込んだ。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夢の中でもう一人のオレに丸投げされたがそこは宇宙生物の撃退に刀が重宝されている平行世界だった

竹井ゴールド
キャラ文芸
 オレこと柊(ひいらぎ)誠(まこと)は夢の中でもう一人のオレに泣き付かれて、余りの泣き言にうんざりして同意するとーー  平行世界のオレと入れ替わってしまった。  平行世界は宇宙より外敵宇宙生物、通称、コスモアネモニー(宇宙イソギンチャク)が跋扈する世界で、その対策として日本刀が重宝されており、剣道の実力、今(いま)総司のオレにとってはかなり楽しい世界だった。

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~

アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」 中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。 ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。 『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。 宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。 大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。 『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。 修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。

処理中です...