死が二人を分かつまで

KAI

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”芥川 月の誕生”

【悪魔の娘】

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 ・・・・・・暗闇・・・・・・



 ・・・・・・



 ・・・・・・なんだ? この甘い匂いは?



 ガバッ!!



「ああ、起きられましたか?」



 枕代わりに膝を貸してくれていたのは、まさかの女性・・・・・・



 しかも、見たことなんてないほどの、美少女。



 映画の中にも、モデル雑誌にも、こんな女神のような美しい人なんていなかった!!



 何が何だか分からず混乱していると、あの声が聞こえてきた。



「脳震盪です。もう少し、寝てなさい」



 禿鷲が、お茶と氷枕を持ってきた。



 怒りに身を任せて起き上がろうとするが・・・・・・



「~~~~ッッ!!」


「まだまだ・・・・・・上体すら動かせませんって!! ヒャハハハ!!!!」



 クソ・・・・・・



「ねえ・・・・・・あなた気に入りました。私の弟子になりません?」


「はぁ? 何言って・・・・・・」


「弟子の枠がひとつ空いてしまったんですわ。それに、アンタにも悪いことしましたのでな・・・・・・私があなた、強くします」


「意味が・・・・・・分かんねえよ・・・・・・」


「強くなりたいンじゃないです?」


「それは・・・・・・」


「まあ、あと一時間考えて下さい。もし、弟子にならないってンなら、


「!?」


「ゆぅ~っくり・・・・・・考えて・・・・・・ヒャハハハ!!!!」



 ふすまが閉まった。



 どうする!?



 拳銃もない・・・・・・武器がない・・・・・・



 あの男に勝てない!!



 ・・・・・・そうだ!!



「なあ、あんた・・・・・・」


「はい? なんでしょうか?」



 女性の声にウットリしてしまいそうだったが、それどころではない。



「あんた、あの男とどういう関係なんだ?」


「・・・・・・娘です」


「・・・・・・それは好都合!!」



 ガッ!!



「あっ!!」



 少女だろうが容赦はしない・・・・・・



 娘を羽交い締めにし、ふらつく足をなんとか気力で立たせて、ふすまを蹴破る。



「おいっ!! このジジィ!!」


「おや? もう答えが出ましたか?」


「ちげえよ!! お前、自分で腹ァ切って死ね!! じゃねえと、娘の命はねえぞ!!」


「おやおや・・・・・・なかなか肝が据わっているようで・・・・・・」



 とーーーー



「ヒ・・・・・・ヒヒヒヒヒヒヒッッ!!」


「あぁ!?」


冬紀ふゆき・・・・・・演技はやめて、終わりにしちゃいなさい」


「分かりました。パパ」



 その瞬間だった。



 ガコッ・・・・・・



 娘を抑えていた腕に違和感が・・・・・・



「なに!?」



 肘から先が、ブランと揺れている。



 外され・・・・・・



 ぎゅるんっっ!!



 世界が一回転したかと思ったら、またもや暗闇・・・・・・



 次に目が覚めたとき、またあの匂いがした。



「ッッ!!」


「起きましたか?」

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