死が二人を分かつまで

KAI

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”記憶に残る一日篇”

【意識】

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「って!! 女の子がそんなこと言っちゃいけないって!!」


『でも、男の子がそういうことに興味があるのは、しょうがない』



 だって・・・・・・



『そういうものじゃなかったら、私、日本に来てなかったから』


「・・・・・・!!」



 そうだ・・・・・・



 男の性欲のはけ口にされかけたのだ。



 理解なんて通り越して、悟っているに決まっている。



 急にドギマギしていた自分が恥ずかしくなり、新樹は顔を背けて閉口した。



「・・・・・・そーだよ。男なんて下半身に脳みそがついてるバカな生き物なんだよ」


「・・・・・・」


「だから・・・・・・お前も自覚しろよ!! 可愛くて、綺麗で、無防備だってことに!!」



 言ってしまった・・・・・・



 明日から・・・・・・ゴミでも見るような目で見られるんだろうな・・・・・・



 あ~あ・・・・・・



 最悪・・・・・・



 上等だよ・・・・・・



 最後に、その蔑んだ顔を見てや・・・・・・る・・・・・・??



「・・・・・・」



 セツナの顔がトマトのようになっている。



 驚いたように目を開き、耳まで赤い。



「え・・・・・・?」



 スクッ・・・・・・



『帰る』


「帰るって・・・・・・お前・・・・・・」


『まだ明るいからひとりで帰られる』


「そ、そう・・・・・・じゃあ、せめて、タクシー代・・・・・・渡すから安全に帰って・・・・・・」



 金を渡す間も、お互いに互いの顔を見られなかった。



 そして無言のまま、階段を下りて、家を出るセツナ。



「・・・・・・僕なんか言ったかな?」



 無自覚なヤツってのは、救いようがない。



 ・・・・・・



 ・・・・・・



 ・・・・・・



 ・・・・・・そうだ。



 アイツも、男なんだ。



 すっかり忘れてた。



 同じ師匠に教えてもらって、それで一緒に汗を流して・・・・・・出逢ったときなんて、戦い合って・・・・・・



 そんな私たちだけど・・・・・・男女なんだ。



 後ろ手にドアを閉めて、門を出たところで立ち止まってしまう。



 可愛い・・・・・・



 綺麗・・・・・・



 そう・・・・・・思ってたんだ。



 てっきり、嫌われたままかと・・・・・・





「あら~? 完熟トマトちゃん♪」





 !?



 ママ!?



 セツナは目を上げた。



 だが・・・・・・



「うふふ・・・・・・可愛い子犬さん♪」



 女神のような圧倒的な美を誇る、真っ黒な女が立っていたーーーー

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