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”記憶に残る一日篇”
【警告💛】
しおりを挟むまたやってしまったぁぁぁ!!!!
なんてナチュラルに「家行かね?」を出してしまったんだろう!?
最悪の誘い文句だぁぁぁ!!!!
『いいわよ』
「へ?」
セツナはカレーの空き容器をとると、部屋の壁際にあるキッチンに行き、洗い始める。
「お、お邪魔してるから僕がやるよ!」
冬の冷たい水を触らせるのも悪いと思って、無理矢理皿をひったくった。
『・・・・・・ありがとう』
「いえいえ、どういたしまして・・・・・・」
『私、外出用に着替えてくるから』
「はい・・・・・・ごゆっくり・・・・・・」
パタン・・・・・・
・・・・・・家に来るのか?
マジか・・・・・・母さん喜ぶだろうな・・・・・・
そうだよ・・・・・・別に下心なんてない。
母さん孝行ってヤツ?
それだけ・・・・・・
ガチャ・・・・・・
「おかえ・・・・・・り・・・・・・」
そこに立っていたのは、ニッコリと笑っている・・・・・・芥川・・・・・・
しかし、ざんばらの髪の毛はゆらりとなびいており、殺気が周囲の空間を歪めている。
「新樹さん? セツナさんと外出ですか?」
「は、はい・・・・・・」
「では、手短に今日の総評をしましょう」
逆に恐い! その笑顔!!
「レックス・谷さんとの戦い・・・・・・まずはカウンターキック、お見事でした。膝の皿を壊さずに無力化する技も素晴らしい」
「ありがとうございます・・・・・・」
「その後の腕ひしぎも良い・・・・・・まあ、一気に決めようとしなかったのは甘いと思いましたが、貴方のスタイルがあるので、とやかく言いません」
パチパチ・・・・・・
「いや~立派に芥川流を魅せてくれました! 見事!」
「ハハハ・・・・・・」
「さて・・・・・・セツナさんとのおデートですが・・・・・・」
ゴゴゴ・・・・・・ッッ
顔が引きつっている・・・・・・体の大きさが何倍にも見えてくる・・・・・・
「セツナさんはまだ辛い過去に苦しめられている。その回復中です。そんな傷心の彼女に、不貞を働こうとしたら・・・・・・」
ギラリ・・・・・・目が光った!?
「金玉引き抜くからな小僧ぉ・・・・・・」
「あわわわわ・・・・・・」
「・・・・・・」
芥川の背後に、着替え終わったセツナがヒョコッと顔を覗かせた。
『何してるの?』
「・・・・・・いえいえ何でもありません」
さっきまでの恐ろしさはどこへやら。
スッキリした笑顔で、芥川は振り返った。
「私もこれから少し出かけるところなので、帰ってくる時間は今日中であれば、何時でも構いませんよ」
『そう?』
「ええ。では・・・・・・」
最後は声が少し震えていた。
「お気をつけてお二人とも・・・・・・常に私のこの目と耳が、貴方方を見守っていてくれるでしょう」
ハハハ・・・・・・
見守る?
監視の間違いじゃ?
新樹は全男性が苦しむ難題を、難なく突破した。
理性と本能のせめぎ合い・・・・・・
ハハハ・・・・・・殺されると分かっていれば、本能が「死にたくない」と鳴りを潜めてくれるに決まっているさ・・・・・・
こうして、三人は千客万来状態だった道場から、同時刻に飛び出したのであった。
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