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”記憶に残る一日篇”
【事後の余韻】
しおりを挟むガバッ!!
丹波はキョロキョロと辺りを見渡していたが、応急処置を受けている芥川と自分を睨んでいる弟子二人を発見して自身の状況に気がついた。
「まぁた負けた!」
そして・・・・・・
「フヒヒヒ・・・・・・ギャハハハハハハ!!!!」
爆笑。
おかしくて仕方がない。
といった、様子だった。
「芥川ちゃ~ん♪ 今回もイイ喧嘩やったでぇ! 惚れてもうた!!」
「それはなにより・・・・・・」
「た、丹波!!」
新樹が芥川を護らんとする。
「あ、あんた、先生になんてことを・・・・・・」
セツナがタオルを押し当てているが、出血がなかなか止まらない。
彼女も、手を濡らしながらキッと睨みつけている。
「勝負に怪我は付き物やろ? ワシかて、鼻、折れとるし頭もフラフラや」
「それでも・・・・・・刃物で刺すなんて・・・・・・」
「心配せんでイイ・・・・・・先生ぃ!!」
丹波が外に向かって叫ぶと、若頭の関と、白衣の男性がやってきた。
「親父、お疲れ様です」
「ああワシのことよりも、芥川ちゃん診てくれや」
「分かりました」
白衣の医者が、大きい鞄を持ちながら、芥川の元へ向かう。
慣れた手つきで素早く処置をし、細かな裂傷には血止めのために血管を収縮させるアドレナリン溶液を綿棒で塗ってガーゼを張り、一番の深手である脇腹はその場で縫合した。
「コレでよし・・・・・・自然に溶ける糸を使ってますので、抜糸の必要もないです」
「ありがとうございます」
麻酔無しの縫合であったが、芥川はうめき声ひとつあげなかった。
「腕の良いお医者様を知っているのですね。丹波さん」
「せやろ? コイツ、腕前は一流なんやけどバクチが大好きでなぁ・・・・・・借金のカタに病院の設備おさえてるんよ。そしたら、ワシの言うとおりに動いてくれるようになったンや」
「・・・・・・」
医者は口を結んで、ススッと丹波の手当てに移った。
「なるほど。あなたらしい」
「ま、ワシに不可能はありゃせんよ! ガハハ!!」
芥川は怒っている弟子たちに、顔を向ける。
「すみませんでした。ご心配をおかけして・・・・・・」
「先生・・・・・・」
『・・・・・・あの男、一般人じゃない』
セツナは警戒している。
なにせ、自分を地獄に引きずり込んだギャングたちと同じ匂いがするからだ。
「まあ・・・・・・そうですね。ヤクザ・・・・・・暴力団です」
「あんなのと関係を持ってちゃいけませんよ・・・・・・」
新樹が諭す。
「今の時代、ヤクザと親交があるってだけで大問題なのに・・・・・・」
「新樹さん・・・・・・私の事情なので詳しくは話せませんが、どうしても丹波さんの力が必要なのです」
「そうそう。ンでもって、ワシも芥川ちゃんが必要! Win-Winってヤツや!!」
「あんた・・・・・・」
「それに新樹ちゃん助けたンは誰やったかの?」
「・・・・・・感謝はしてますが、先生に危害を加える輩は・・・・・・」
「・・・・・・新樹さん」
芥川はボロボロの作務衣で立ち上がる。
「貴方とて、同じですよ」
「え?」
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