38 / 300
”日常その壱”
【受難】
しおりを挟むプルルル・・・・・・
プルルル・・・・・・
また電話だ。
震える指で、通話ボタンを押す。
「・・・・・・」
『もうダメだわ。ガマンのげんか~い』
「ど、どうするつもりなんだ?」
『お前の家行くわ。そんで、パパさんに金出してもらう』
「・・・・・・」
『三日やるから。用意したら持って来いよぉ。それと、マッポにチクったらぁ捕まる前にオマエコロスから』
プツッ・・・・・・
どうしよう・・・・・・
厄介にもほどがある相手に捕まってしまった。
解決策はないものか・・・・・・
翌日ーーーー
『はい。オマエ、ウンコの形に根性焼き決定ぇ~』
二日目ーーーー
『ざんね~ん。オマエ、顔面タトゥーの刑執行ぉ~』
三日目ーーーー
『マジでムカついたから、オマエのリンチ、ネットに生中継すっから』
その日は続きがあった。
『でさぁ、もう待てないからぁ俺たち直接オマエの家行くわ』
「・・・・・・」
『覚悟しといてぇ~マジでボコるから。マジで』
遂に・・・・・・こうなってしまった・・・・・・
「か、母さん・・・・・・」
「どうしたの? 新樹ちゃん・・・・・・顔真っ青よ?」
「ちょっとお願いがあるんだけど・・・・・・」
そして夜ーーーー
外からはブルンブルンと、バイクのエンジン音が何重にもなって響いてくる。
タバコや酒の臭気が、ドアすらも貫通して漂ってくる。
「ア~ラ~キ~く~ん!! 遊びましょ~」
ゲラゲラ下品な笑い声が聞こえる。
・・・・・・母親には、夜に友達が来るからと、半ば強引に外出してもらっている。
この家には、自分ひとり。
そして、自分は・・・・・・
ギュッ・・・・・・
玄関で道着を着て、帯を締めていた。
震える指が、言うことを聞いてくれず、なかなか結べなかったがコレでよし。
相手が何人いるのか・・・・・・
武器は・・・・・・もちろん持っているよな・・・・・・
死ぬかも・・・・・・
「ハハハ・・・・・・僕もバカになちゃったかな・・・・・・」
だが、自分の背中には芥川道場の看板があるのだ。
横暴な輩に媚び諂い、金を差し出すような無様・・・・・・許されない。
であれば・・・・・・ッッ!!
「芥川先生・・・・・・もしも死んじゃったら・・・・・・ごめんなさい」
いざ・・・・・・出陣・・・・・・
震える手で、ドアノブを・・・・・・
とーーーー
「誰だてめぇ!!」
「ギャァァァ!!」
「ぶっ殺・・・・・・ぐはっ!!」
「チェーン持って来・・・・・・ぐふぅ!!」
大勢の悲鳴が聞こえてくる。
何者かが正面切って突撃し、そして圧倒している!?
こんな芸当ができるのは・・・・・・!!
「まさか・・・・・・先生!?」
ガチャッッ!!
「先生!!」
と、ドアを開けた瞬間に、頭から有り得ないほど流血している男が目の前に立っていた。
「た、助けて・・・・・・」
「ど・・・・・・どけえ!!」
バキッ!!
初めての前蹴り・・・・・・
綺麗に決まり、男のアゴに当たって意識と共に吹き飛んでいった。
やったぞ・・・・・・少なくともひとりは倒せた・・・・・・
コレで、先生に顔向けができる・・・・・・
「せんせ・・・・・・」
と・・・・・・思っていた。
だが、広がっている光景に、目が飛び出そうなほど驚いた。
死屍累々とはまさにこのこと。
出血したり顔面が変形している男たちが、うめき声を上げて転がっている。
そして同じく、激しい損傷を受けているバイクも、転がっていた。
戦場ーーーー
脳裏によぎったのはこの二文字。
そして、そこに居たのはーーーー
「アァ?」
ひときわ大きい醜男の上でタバコを吸っている、真っ赤なスーツの男・・・・・・死神だった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる