死が二人を分かつまで

KAI

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”もうひとりの門下生”

【弟子の憤り】

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 くどくど・・・・・・



 くどくど・・・・・・



 頭を下げまくっている芥川の袖を、セツナがまた引っ張った。



『で・・・・・・この人、誰?』


「ああ、ここの門下生のひとりです。東山ひがしやま 新樹あらきさんですよ」


「よろしく・・・・・・セツナさん・・・・・・」



 無表情のセツナに対して、新樹は敵意剥き出しだ。



「それにしても、他の門下生の方々来ませんねぇ」


「話を逸らそうとしても無駄ですよ。もうあの人たちは来ません」


「えぇ?」


「コレ!! 見て下さい!!」



 新樹がスマートフォンの画面を見せてくる。



『看板がうそくさい』



『練習がぬるすぎ。マジでヨボヨボのばーさんくらいにしか需要がない』



 どちらも星一。



 芥川道場のレビューサイトだ。



 なんと総合は星二.〇



 驚異的なほどの低評価である。



「こんなこと書き込まれてるんですよ!!」


「おやおや。よほどヒマだったらしいですね」


「もっと芥川先生の名前は世に広まるべきなんです!!」


「私はそんなこと望んじゃいませんよ~」


「まったく、そんなのんきな・・・・・・ん?」



 レシートと請求書の束から、一枚ピラリと落ちた。



 それに目を通すと、新樹が驚きの表情に変わった。



「じゅ・・・・・・って・・・・・・何に使ったんですか!?」


「あ~それは・・・・・・ハハハ」


「誤魔化さずに・・・・・・答えて下さい」


「・・・・・・いつまでも隠し通せるものじゃありませんですしね」



 コロン・・・・・・



「・・・・・・ッッ!!」


「コレです」



 左眼が突然取れたら、誰だって驚くに決まっている。



「ど、どうした・・・・・・いや・・・・・・誰にやられたんですか・・・・・・?」


「ハハハ・・・・・・」



 キュポッ



「それはこちらの、セツナさんにです」


「せ・・・・・・セツナさんに?」


「ええ。出逢った日に・・・・・・私もまだまだ甘い・・・・・・」


「ちょ、ちょっと待ってください」



 新樹が、明らかにセツナを睨んでいる。



「それって・・・・・・目玉を奪った人間と、三週間もひとつ屋根の下にってことですか?」


「・・・・・・武の世界にはねぇ・・・・・・新樹さん」



 またもや罪悪感に襲われそうになっているセツナの頭を、ポンポンと撫でながら芥川は笑っていた。



「自分の不覚によって気づかされることも多いのですよ。私の弱さを、気づかせてくれた・・・・・・それにね」


「それに・・・・・・なんです?」


「この娘には私にすらない天賦てんぷの才が眠っている・・・・・・フフフ・・・・・・強くなるのが待ちきれない!!」


「・・・・・・どうかしてますよ」



 険しい顔をしながら、新樹は続ける。



「助け出した恩義を、目玉くり抜くなんて形で返されたら・・・・・・僕なら・・・・・・許しませんよ」


「それは貴方の話し。私は許すも許さないも・・・・・・怒ってすらないですからね」


「・・・・・・本気で・・・・・・」




 その時だったーーーー


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