死が二人を分かつまで

KAI

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”出逢い”

【授業開始】

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 メキャッッ!!



 リズムは大きく息を吸った。



 これから、必要になるからだ。



 何に必要になるかって?



 絶叫・・・・・・泣き叫ぶ・・・・・・悲鳴・・・・・・



 そのために。



「うぐぁぁぁぁぁぁ!!!!」



 肘が逆に曲がり、白い骨が露出している。



 ようやく手を離されたが、それどころではない。



 涙もよだれ脂汗あぶらあせも・・・・・・垂れ流し!!



「ギャァァ!! グギャァァァ!!」



 のたうちまわるMr.リズムを、作務衣の男は冷静な目で見下ろしていた。



「まだまだ・・・・・・」


「!?」


「お嬢さん、ごろうじろ!!」



 ドガガッッ!!



 目にも留まらぬスピードで、リズムの鋼鉄の膝を蹴った。



 これまた逆『く』の字になり、立つことができなくなってしまった。



「間接蹴りの肝は靭帯じんたいを蹴り切るところにあり・・・・・・ただ蹴るだけでは、充分ではありません」


「あがぁぁぁぁ・・・・・・」



 Mr.リズムは腰を下ろして、汚れた床に尻餅をついた。



 なんとか上体を起こしていたのは、リズムの持つタフネスを示すことはできた。



 しかし、抵抗ができるかは別だ。



 勝負はついた。



 痛みによって汗と涙でぐちゃぐちゃになった顔を、フラフラさせながらも目だけは男をとらえている。



「見事と言いたいところですが・・・・・・非道な者へ賛辞さんじはできませんね」



 くるっと、少女の方へ向いた。



「これで、勉強は終わりです。学べましたか?」



 こくり・・・・・・



 少女は首を縦に振った。



「良かった!」



 男は顔をクシャッとして、白い歯を見せ笑っていた。



 たった今死闘を繰り広げていたとは思えない。



「お嬢さん、お名前は?」


「・・・・・・」



 口は開いている・・・・・・



 しかし、舌は動かず、声も出ず、少女は哀しげに口を閉じた。



「・・・・・・いかがなされ・・・・・・」


「へっ・・・・・・へっ! そいつは口がきけねえのさ・・・・・・」



 最後の足掻きであろう。



 Mr.リズムが悪魔のような笑みを浮かべて、少女の方を見た。



 少女は恐れで震える。



「コイツの両親を目の前で殺したのは俺様さぁ・・・・・・その時以来・・・・・・コイツは声を出さない・・・・・・俺が奪ってやったのさ・・・・・・ハハハ!!」


「・・・・・・ほお」


「・・・・・・」


「この見た目だ・・・・・・商品の中でも一番高値がついただろうなぁ・・・・・・なんなら、てめえも『』したくなっちまったんじゃねえか・・・・・・? フハハ!!」


「なるほど・・・・・・」


「・・・・・・」


「安心しな・・・・・・声は出なくても身体は反応するだろうぜ・・・・・・」


「決まった!」



 男がリズムの残酷な言葉を遮り、ポンと手を叩いた。



「決めましたよぉ~」


「な、なんだよ?」


「貴方を殺しましょう。そしてお嬢さんを救う!」


「へっ! ヤルならさっさと・・・・・・」


「あ~分かってない」



 男はひとつ、深呼吸をして、改めてMr.リズムを見定めた。



 その瞳は・・・・・・氷よりも冷たく・・・・・・ハイエナよりも残忍な色を帯びていた。



 流石のリズムも、生唾を飲み込み、次の言葉が出なくなった。



かしたまま・・・・・・ころすのです」

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