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「いてえぇぇぇぇぇぇ!」


 ガブリ、と思い切り噛まれる。Ωならば甘美なのだろう“マーキング”は苳也にとってただの痛み。

 堀田が立ち上がってすぐに鷹倫を引き剥がした。


「松中ぁぁ!飲み過ぎ!何してんの⁉︎佐竹さん大丈夫ですか?」

「いたいー……いや、大丈夫デス……俺ら飲ませすぎた?」


 苳也は「いてて」と言いながら鷹倫に噛まれた箇所をおしぼりで押さえた。



「松中さん、どしたの?急にさぁ…。」

「佐竹が下品なことばっか言ったからじゃない?」

「そんなに言ってねーよ。」

「ねぇ、佐竹さん…その、あなた身内にΩがいたりしない?ほら、鷹倫くん、番見つけてフェロモン出てるからさ、ちょーっとおイタしたい衝動になったのかなーって。」


 山崎は何故鷹倫がβの男に惹かれるのか、可能性を探ってみる。


「いや、俺んチ親戚全部生粋のβっすよ。」

「だからチビで低収入、ギリ工業高校卒業のチビ男なんですよー。これがモテないモテない!」

「チビ言い過ぎだろ!」

「俺は……気の迷い、なんかじゃ、ない……。」


 堀田に押さえつけられている鷹倫は凄んだ声でボソリと呟いた。


「松中、飲み過ぎだから。ほら、送ってくから帰るぞ!」




「俺は、佐竹さんが……好きだ…。」








  
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