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戦う夏休み
マツダトモヒロの復活
しおりを挟む1回裏、聖斎学園の攻撃。先頭打者が右打ちのバッターボックスに入る。清田は横目で聖斎のベンチとその打者を見て、マウンドに立つ智裕を見た。
(打者と聖斎は警戒してピリピリしている、が、松田に焦りはない。いつも通り天然オーラで相手をビビらせてる。なら最初から相手を徹底的に怯えさせてやるか。)
清田はサインを出して、智裕は頷いてセットポジションに入った。
球場の視線が注がれて、聖斎の応援団とブラスバンドの音が鳴る中、智裕は振りかぶって投げた。
放たれた球は打者に対し内角を抉り、打者は豪速球が身体に当たりそうになるが、それは絶妙にストライクゾーンに入った。清田のミットに収まる快音が球場に響くと、球審の「ストライク」の判定。打者は一歩も動けなかった。
たった数秒の出来事が、観客にはスローモーション再生されたようで圧倒されている。
『松田、初球はインコースにストレート。サイドスローのような軌道で、145km/h、打者は手を出せなかったですね。さぁ、2球目は何で来るか。』
智裕はひとつ呼吸をして、清田のサインを承諾する。そして振りかぶって投げた。先ほどと同じような軌道で打者もバットを振る。だが手元でガクン、と落ちた。
『2球目は138km/hのスライダー。見事にバットは空を切った。これは松田智裕、復活を高らかに宣言しているようです。さぁ、2ストライクと追い込まれた聖斎。』
3球目、清田は外角に変化球を要求した。智裕はミットの位置を確認して、打者の顔も少しだけ見て、振りかぶって投げた。
『空振り三振!第四高校、上々のスタートです。』
そしてこの回は三者凡退で聖斎の攻撃は終了となった。抑えて清田が智裕に駆け寄ってきたが、智裕の目線は3塁側のネクストバッターサークルに向けられていた。
それに気づいた清田がミットで口を隠しながら智裕に声をかける。
「お前打たなくていいから次の回だけ考えろ。4番の赤松兄よりも、5番の栗原ってゴリラみてぇな奴のが1打席目はやばい。」
「お、おう。あのゴリラやべーな。赤松兄が小動物に見えるくらいのゴリラだな。」
完全に悪口しか言ってないので口を隠す必要はなかった。
「栗原先輩、意外と繊細なんでゴリラゴリラゴリラって言わないでやって下さい。」
「赤松、お前が1番酷いぞ。」
***
聖斎のベンチでは直能がプロテクターを外してグラブをはめる。捕手の島田もキャッチャーのプロテクターをつけて準備する。
「まさかミッちゃんにやられるとはな、タカ。」
「いや…あれは直倫の力だけじゃない。配球パターンを読んだ上でのバットの振り方だった。」
「あー、ミッちゃんに話しかけていたスコアラーか。あいつとキャッチャーの…清田?やべーな。」
「僕たちは相当研究されている。投打、1球も気を抜けなくなってる……面白いじゃないか。」
「お前はそういうのに燃えるタイプだったな。」
(去年の決勝がもし松田智裕だったとしても僕は打てる。だが今日はどうだろうか。そしてあと俺は何点失ってしまうのだろうか。)
直能もまた、この試合で完投勝利を目指している。一筋、額から汗が流れた。
***
四高の攻撃、先頭は7番の3年生、白崎からだった。
「白崎ぃ!塁に出ろよ!」
「よっしゃあ!」
「白崎さん頼みます!」
「任せろ!」
清田はベンチから身を乗り出して直能を観察する。智裕は今中と話しながらグラウンドを見る。
「赤松のにーちゃん、今のところストレートとチェンジアップと…カーブだけですね。」
「向こうの赤松の持ち玉はそれだけだ。」
「マジ⁉︎俺カーブだけ投げられないんだけど。」
「お前の方が球種も多いしコントロールも正確だしな。しかし向こうのバッテリーも気付いただろうな、甘い球は通用しねーって。」
「俺、甘い球めっちゃ打ち損じましたけど。」
「だから更に集中して神経削るだろうし、もしかしたら途中で力尽きるかもな。下位打線も徹底的に追い詰めたら…勝機は見える。」
「あ、もう無視されてる?」
カキーンッ
白崎はライト前にヒットを打ち、1塁に出た。それから8番は内野ゴロだがその間に白崎は2塁へ。9番が三振すると、そして直倫は2打席目が回ってきた。
(3-0、まだ心許ない…もっと差をつけて松田先輩を守る。裕也先輩に頼まれている。)
島田はチラリと直倫を見る。
(ミッちゃん、さっきの打席の時より雰囲気軽くなってるな。ホームラン打って安心したような、気が抜けているわけじゃないが……こうなるとミッちゃんの弱点は無いに等しい。どうにか長打を避ければ次のヘボバッターで0点で終了か。なら、見たことない兄貴を見せてやるよ。)
島田のサインを確認した直能は驚いたが、顔に出さず頷いた。そして投げられた球は、ワンバウンドで捕球された。直倫は振ってしまった。
(フォーク⁉︎いや、速かった……まさか…っ!)
「スプリット……だと…⁉︎」
「………聖斎、こんな隠し球を…。」
「松田くんと同じくらいの落差があるスプリット…。」
呆気にとられている清田と堀と野村。そんな3人に松田は金属バットを持って立ち上がり言い放つ。
「俺、中学からスプリット投げてるから、赤松兄とは年季が違いますよー…と。」
余裕そうな智裕の口調は、緊張した先輩達を怒らせた。
「生意気なんだよ松田!」
「松田のくせに偉そうに言ってんじゃねーよ!」
「シケメンの松田くんは黙ってた方がいいよ。」
「なんで⁉︎酷くね⁉︎俺もエースだよ⁉︎」
「はいはい、次はお前のご自慢のスプリットをもっと披露してやれ松田。」
今中は智裕の首根っこを掴んでベンチから出す。
「松田の言うことは一理あるぞ。」
グラウンドから目を離さずに監督は呟く。
「これで味を占めたな、バッテリーは。」
次の1球は外角に外れたストレートを直倫は見送って、カウントは1-1となる。3球目は振らせるために島田はスプリットを選択した。
「赤松は松田のスプリットを間近で見ている。」
直能は承諾して、ランナーを警戒してクイックモーションで球を投げた。
「赤松にとってあのスプリットの落差を見極め打つのは、容易い。」
(松田先輩のに比べたら、止まって見える…!)
カキーンッ
『高く上がった打球はセンターとレフトの間に飛んでいく。守備は追いかける、追いかけて、フェンス直撃取れなかった!2塁ランナーホームイン!赤松は2塁へ、2塁に…セーフ!赤松直倫、2打席連続で打点を入れました。これで4-0とリードを広げます第四高校。』
野村はすぐに記録した。そして1塁コーチャーをしている2年生が駆け寄って直倫に簡潔に聞き出す。それはすぐに清田たちに伝えられた。
「松田先輩のより甘いですよ、ねぇ…。」
「清田くん、見せつけてやろうか、年季の違いを、ね。」
「次の赤松兄とゴリラをスプリットなしで料理してやるか……。」
「あ、でもアレは監督にも内緒だから最後のイニングにしようね。」
声を潜めて野村は清田に指摘した。まだ智裕が1球も投げてもらってない状況だが清田はプロテクターを装着した。
***
2回裏は注目の赤松直能の第1打席。しかし智裕はストレートとチェンジアップだけで内野ゴロに打ち取った。問題の5番打者、栗原を迎えた。
(うん……ゴリラだ。)
栗原はおそらく190cm近くある大柄な、いかにもホームランを打ちそうな雰囲気だった。だが圧倒されているのは栗原だった。
(松田智裕……去年は客席からだったけど……やっぱ18m先にいると余計に怖ぇな。挨拶の時はそうでもなかったのに。)
わずかな、ほんの数ミリの後ずさりを清田は見逃さず、ミットを打者の近くに構えた。智裕はそれに目掛けて要求通りにストレートを投げた。そして快音が響くと、打者はまたもや怯んでしまった。そして栗原はそのまま三振に沈んだ。
「うっしゃ!ゴリ……ラあぁあ!」
直接的にゴリラと言ったらあとが怖いと思った智裕は控えめに喜んだ。栗原は神経を削られてしまい、ベンチで部員たちに慰められている。それを見た智裕は「いいなー。」と思ってしまった。
***
4-0のまま、試合は6回まで終了した。次はいわゆるラッキーセブンと言われる、何かが起こりそうな雰囲気もあった。
「堀先輩。」
この回の先頭打者の堀を呼び止めた清田は堀の真横に付き、耳打ちをした。
「赤松直能にトドメ刺してやりましょう。」
その言葉で堀はヘルメットを正して、バッターボックスに向かった。
(赤松直能……マウンドから引き摺り下ろしてやるよ!)
直能の球は疲弊して失速していた。堀は見逃さない。思い切り真芯で叩いた。
清田を塁に出したところで、直能はマウンドを降ろされて守備についた。直能は1塁の守備についたのでそこで清田と邂逅する。
「君達には完敗だよ、清田くん。」
「……死ぬほど聖斎の映像見ましたけど、やっぱ実物はイケメンですね。」
「ありがとう。褒め言葉と受け取っておくよ。」
球場のスタンドでは聖斎のエース降板を嘆き、すすり泣く女性も少なくなかった。
「そちらのエースは、完投できるかな?」
「完投出来なきゃ甲子園は無理ですよ。」
「ははは、野球は9回2アウトからってよく言われるから、油断と過信はダメだよ。」
「過信じゃないです。自信です。」
清田はホームベースの方向を真っ直ぐに見て、はっきりと言い切った。
***
8回、聖斎は継投陣が検討しても1失点してしまった。5-0で聖斎は無得点のまま攻撃が始まる。
ここまで100球近く投げている智裕にはまるで疲れが見えない。いや、寧ろ終盤になってからの方が勢いに乗っているようにも見えた。
2アウトにしたところで回ってきたのは3番打者。すると清田は1塁側のベンチを見て頷くと立ち上がった。
『なんと四高バッテリーは敬遠です。この次は4番の赤松を迎えるのですが……これは一体何の意図があるのでしょうか。』
『先ほどの打席は赤松選手に単打を与えてしまいましたから、普通は勝負に出ないと思いますが……しかし3番は左打者で赤松は右打者なのでそれが関係しているのかもしれません。』
困惑で球場はどよめく。四高以外で冷静だったのはネクストバッターで準備している直能だけだった。
(直倫……君はとても優秀で、熱くて、気迫がある、良いチームに巡り会えたんだな。これは感謝しなくてはいけないよ。)
直能の遠くからの視線に、ショートの位置にいた直倫は気がついた。そしてバッターボックスに立つ兄の姿を見届ける。
(兄さん、俺は…憧れた松田先輩の後ろで守れて幸せだ。)
直能は、久し振りになる苦い敗北を味わって、夏を終えた。
***
赤松直能の最終打席を見届ける第四高校の体育館はどよめいた。
カウントは2-2と追い込んでいる状況で、放たれた松田の投球。一見、打者の内角を狙ったストライクかと誰もが思っていた。
『空振り三振!またも得点は出ませんでした聖斎高校。しかし、今松田が投げたのは…スライダーでしょうか?』
『恐らくこれは“フロントドア”と呼ばれている、ツーシームのシュート、もしくはスライダーでしょう。プロでもあそこまで大きく鋭く変化させる球を投げられませんよ。メジャーリーグでも投げられる人は少ないですし、プロでもかなりの高等テクニックです。まさか高校野球で見ることになるとは……。』
『さぁ、第四高校の攻撃は最終回です。聖斎はピッチャー交替のようです。』
***
聖斎学園のベンチでは、守備についてない部員が抑えで登板したピッチャーにエールを送る。その後ろで観客からは見えないように直能は項垂れており、交替していた島田が直能の右腕をアイシングする。
「タカ、また学校戻ったらトレーナーさんにしっかりケアしてもらおうな。神経削って、厳しい球ばかり、よく頑張ったよ。」
「どこかに……聖斎学園だ、という…慢心があったのかもしれないな………全く手も足も出なかったよ。」
「タカ…お前は充分すげーよ。悔いはないか?」
「ああ……笑って、直倫たちを送り出そう。」
直能の笑顔は下を向いていながらも眩しく輝くようだった。
***
試合終了、神奈川県代表は第四高校野球部に決定した。
ホームベースのところに両校整列して一礼すると、互いに健闘を讃え合った。智裕の目の前には泣きじゃくるゴリラがいた。
「えっと……ありがとうございました。」
「ううう…凄かったぞ!よくやった!悔しいが甲子園で頑張ってくれ!」
「は、はい!ゴリさん!」
清田は正捕手の島田と対面していた。
「君には完敗したよ。本当…性格悪いって言われない?」
「気にしないようにしてます。」
ドス黒いオーラを放つ2人に両隣の選手は怯えてしまった。
そして先頭では、主将同士が固く握手をした。
「僕たちはこれから第四高校を全力で応援しますよ。完敗でした。」
「お兄さんの投球は素晴らしかったです。打つのに必死でした。」
「そう言ってもらえると光栄です。弟をよろしくお願いします。」
異様にキラキラしている先頭はきっとイケメンのせいだろう。
第四高校は校歌斉唱、そしてライトスタンドに向かって感謝の弁を述べて挨拶をした。聖斎学園も同様にレフトスタンドに向かって頭を下げた。
そして滞りなく、表彰式が終わると、聖斎も四高も取材陣が殺到していた。
「速やかに撤退するぞ。」と堀がハッパをかけて智裕たちは荷物を抱えて球場の出入り口まで移動した。そこでは先に出てきた聖斎学園の選手がバスに乗り込もうとしていた。
「いいなー聖斎、バスだって。」
「俺らこれから電車で学校なんだけど。」
「大きな荷物は運んでもらえるんだ、ありがたく思え。」
「はーい。」
四高野球部は学校が手配したワゴン車に荷物を積んでいく。しかもそれは吹奏楽と共有だったのでパズルのように上手いこと積まなければいけない。
「いいよなー私立は。公立って優勝してもなんか惨めだぜ。」
「わかる。この格差よ。」
ブツブツと文句をいいながら各々の荷物を持って歩いていると、「第四高校のみなさん!」と呼び止められた。声のする方を振り向くと、イケメンが優雅に歩いて近づいてきていた。
「兄さん!バスは?」
「まだ監督が戻っていらっしゃらないから大丈夫だよ。」
既に汚れたユニフォームから聖斎の夏服に着替えていた赤松直能は、数百倍の輝きを放っていた。直倫以外の四高野球部はキラキライケメンオーラに圧倒されていた。
「松田くん。」
「は、は、ひゃい⁉︎」
「とてもいい勝負だったよ、ありがとう。」
「ふわぁあ……こ、こ、こちらこそ……。」
智裕は開いた口が塞がらないような間抜けた顔をして差し出された手を握った。直能は力強く握手をした。すると直能はこれまた綺麗な笑顔を智裕に向ける。
「ははは、直倫から聞いていたが、本当にマウンドを降りたら別人だな。」
「は、はい。」
「いや、気を悪くしたならごめんね。だけどそれは凄い事だと思うんだ。僕には真似出来ない。本当に僕は君を尊敬するよ。」
「いえいえいえ!滅相もございませぬ!俺みたいなドヘタレが赤松様に褒められるなどぉぉぉぉ!」
智裕は両の手で直能に握手して頭を下げる。それは弱者が強者にひれ伏している図だった。四高野球部全員が「ヘタレだな。」と智裕に呆れの眼差しを向けていた。
「最後の“フロントドア”、まさか体験出来るとは思わなかったよ。」
「あ……あの…俺、赤松のにーちゃん雑誌で見たりしてすげーって思って!だからあれくらいのものを習得しないと絶対三振に出来ねーって思ってたんです!」
「ははは、光栄だな。本当、高校最後の試合に松田くんと戦えて幸せだよ。」
「ふぁあ………俺、赤松のにーちゃんになら抱かれてもいい!」
変態発言が出た瞬間に横から堀のストレートパンチが智裕にヒットした。そして堀は直能に謝罪する。
「うちの馬鹿が不適切な発言を、失礼しました。」
「いえいえ。」
直能は実際のところ何を言われたのかさっぱりだった。そして目線を弟の直倫に向ける。
「直倫。」
「はい。」
「実家にいた頃に比べて成長したな。選球眼も良くなった。」
「ありがとうございます。」
「今年からトライアウト受けるのか?」
「……はい。」
「頑張れよ、身近にお手本がいるんだから。」
「はい。」
「夏休みは母さんに顔を見せてやれよ。」
「はい。今日、兄さんと戦えて、俺すごく嬉しかったです。」
「そうか、俺も楽しかったぞ。」
直能は直倫の頭に手を置いて、ヨシヨシとする。野村はごく自然にそれを盗撮した。
「野村、何撮ってんの?」
「え?あー、うちのクラスの女子が欲しがりそうな画だなぁって。」
「直能さんに俺もヨシヨシされたい……。」
「松田くん、キモいよ。」
「直能さーーん!記念写真撮ってくださーーい!」
松田はスマホを構えて直能と直倫の元に直行した。
***
「えへへー。」
「キモい、松田、死ね。」
「えへへー。直能さんと写真撮っちゃったー♡」
第四高校野球部は電車に揺られて学校に向かっていた。吹奏楽部も同じで、智裕はクラスメートの野村と南と古川と固まっていた。智裕のスマホにはキラキラしたイケメンと顔が緩んでいるシケメンのツーショット写真が映っていた。
「松田くん、学校に入る時には顔、気をつけてね。」
「しかし赤松くんのお兄さん、本当にやばいね。芸能人みたい。」
「スタンドから見ててもキラキラしてたよね!いいなー松田くん、ツーショット写真。」
「俺ファンになっちゃったよ……はぁ…直能さん…。」
「なんなの松田ばっかイケメンと知り合いになってさ、世の中不公平よね。」
南は提げていたトランペットの入ったケースを智裕の膝裏にガツガツと嫌がらせで当てる。
「いたい、痛いって。」
「あんまり惚れ惚れしてたら石蕗先生にチクっちゃうよー。」
智裕は、ハッとしたように拓海のことを思い出した。
「あ、俺、勝ったからご褒美が倍になる。」
「は?」
「俺戻ったら拓海さんに会わなきゃ。拓海さん帰ってんのかな?野村、俺直帰して、」
「馬鹿なの?報告会と監督と堀先輩と松田くんは会見あるんだけど。」
「えー!俺パスー!」
「あーあ、森監督に明日のオフ取り消されてもいいんだなー。」
野村はニコニコと悪魔のような言葉を並べて智裕を撃沈させた。車内アナウンスで智裕たちは次の駅で降車することを知る。
「ねぇ野村くん、学校行く前に駅のフルーツスタンドのスムージー飲まない?」
「あ、それいいね。俺まだ1回しか飲んだことないや。」
「私初めてだよ。いおりんは?」
「この前バナナとピーチのスムージー飲んだよ。今は期間限定でスイカスムージーやってるよ。」
智裕以外は女子トークに花を咲かせていた。智裕はスマホの振動に気がつき、確認すると、拓海からのメッセージを受信したので光の速さでアプリを開いた。
_今日の夜9時に、俺の家に来てください。
目線を上に動かして現在時刻を確認する。17時34分。ため息を吐いて項垂れた。
(なげーよ……マジでなげーよ……9時…うう……このお預け感は厳しいーーー!)
電車は目的の駅に到着した。
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