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夏が始まる

オオタケくんの変化(※)

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 社会科準備室は、昼間なのに薄暗くなっていた。

「ふ……んん……せんせ……あ、ぁ…。」
「声、外に漏れるぞ?鍵かけてんのに意味なくなる。」
「や、だ……んん……っ!」

 少し大きめの教員用の椅子に腰を掛けている裕紀ヒロキに向かい合ってまたが一起カズキは繋がっていた。裕紀が下から突き上げる刺激に一起は翻弄され、声を出さないようにと、裕紀にしがみつく。

「イ……く……せんせ……あぁ…。」
「じゃあイケよ。」
「はぁ、あ、あ、だめ…ヤバい……んんんっ!」
「……くっ…っ!」

 一起は達してナカを収縮させ、その締め付けで裕紀も達した。汚れないように2人とも避妊具コンドームでソレを覆っていたが、一起はゴム越しからも裕紀の欲望の熱さを感じて余韻に浸る。

「はぁ……あ、あ……用事って……セックスなんですか?」
ちげぇよ、真面目な話だったんだけど…一起が煽ってきたんだろ?」
「煽ってないですよ……普通に話しただけ……や……もぉ…抜く…っ!」
「一起ぃ、拗ねんなよ。」

 腰を浮かしてナカから裕紀の自身を抜こうとした一起を制して、裕紀は一起にディープキスを強制する。クチュ、クチュ、と水音が響く。

「先生……昼休み…終わりますから……。」
「はいはい。」

 一起の秘部から自身を引き抜き、手早く身なりを整えながら裕紀は本題に入った。

「来週期末テストだろ。そんで野球部の県予選が期末終わった翌日なんだよ。ここまで言えばわかるだろ?」
「松田の勉強の面倒見ろってことですね。」
「森先生からは、松田に関しては昼休みにと部活後のトレーニングを禁止にしてもらってる。その時間を勉強に充てろとのことだ。」
「………善処します。」
「ついでに宮西も頼むな。あいつマジでやんねーと留年だからな。」
「それも善処します。」

 事務的な返事しかしない一起に裕紀はちょっかいをかけるように後ろから抱きしめた。

「先生、もう教室戻りますから。」
「一起が甘えてくれたら離してやるよ。」
「はぁ⁉︎」
「せんせーだいすきー(はぁと)、くらい言って欲しいなぁ。」

 一起は赤面して俯く。瞳は困惑で揺れている。


「す………好き、です………。」


 聞こえるか聞こえないかくらいの声量。裕紀は一起の顔を掴んで振り向かせると、深い口づけをした。甘く、とろけるような。


***


裕也ユウヤ先輩、なんでこんなの分からないんですか?」
「お前は1年なのに何で分かるんだよ。」

 一方、2年5組の教室で5限目に提出しなければならない古典のプリントと格闘している裕也とその向かいに直倫ナオミチが座っていた。

「古文なんて基本的なこと押さえればあとは応用ですよ。」
「知るか!大体俺漫画しか読まねーし!」

 2年の裕也が1年の直倫に教わるという逆転現象が起こっていた。

「お前赤松あかまつに教えてもらってんの?プップー、傑作だな。」
「松田、お前他人ひとのこと言える立場じゃねーんだよ。」

 近くの席の智裕トモヒロ野村のむら清田きよたに監視されて、裕也と全く同じプリントの空欄を埋めていた。

「赤点取ったら決勝の日に補習とかシャレになんねーんだからな。」
「松田くんがバカなのは知ってたけど、さすがにシャレにならないよ。去年はアレだったからいいけど今年は森監督だからね、学業優先だよ。」
「わーってるよ!つーか赤松は1年なのに何でわかるんだよ!」
「それさっき俺が言った。」
「文武両道ですよ。それに俺、去年の夏までは聖斎せいさい学園に行くつもりでしたし。」
「聖斎ぃ⁉︎」

 智裕以外の3人は思わず直倫を見て驚いた。

「聖斎ってどこ?」
「トモ、お前知らねーのかよ⁉︎この県で1番の甲子園常連校だよ!」
「しかも聖斎の野球部って偏差値も高くてまさに文武両道だよ。」
「あー…そういや聖斎の今年のエースって確か…。」

 清田は智裕の頭を叩く用に持ってきていた「週間 野球マガジン 甲子園直前特別号」をパラパラと開く。

「あー、やっぱそうだ。3年、右投げ右打ちの赤松あかまつ直能ナオタカ……赤松?」
「はい、俺の兄です。」

 3人は一斉に驚いた。智裕は机の上に置かれたページを見る。

「あー…確かに赤松と似てるわー……最高155km/hぉ⁉︎」
「兄はストレートが武器です。平均でも150近くありますよ。」

 知りたくなかった敵情報を聞くと、智裕は清田にすがりついた。

「清田ぁ…頼むぞ。俺応援してるからぁ。」
「何言ってんだよ、聖斎と当たったらお前100%パー先発だからな。」
「こんなの打てるわけねーだろ!高校野球も国際基準で指名打者DH制度にしろよなぁぁぁぁぁ!エースで4番とか漫画だけなんだよ!」

 智裕はバッティングが大の苦手だった。左打ちになってまともにはなったが、バッティングセンターに行っても裕也に劣る時さえある。本当に投球技術だけでエースナンバーを背負っている。

「でも松田くんには1番で出塁した赤松くんを犠打バントで進塁させることだけしか期待してないから安心してね。」
「カッちゃん、追い詰めるねぇ……。」

 智裕は野村の言葉がトドメになり机に伏せて撃沈してしまった。
 同時に直倫も少し難しい顔をして裕也から目を逸らした。裕也はそんな直倫に気がついて、声をかけようとした。

「松田、大竹、古文のプリント埋めたのか?もう昼休み終わるぞ。」

 教室に戻ってきた一起が5人の輪に入って、智裕と裕也に発破をかけた。

「今は古文どころじゃねーよ…。」
「清田、何で松田は魂抜けてんだ?」
「敵の内情を知って絶望しているだけだ。おい、さっさとプリントやらねーと江川に半殺しにされるぞ。」

 「江川の半殺し」という魔法の言葉で智裕は真面目にプリントと向き合った。裕也は最早諦めて、清田の持ってた雑誌を見た。

「ほんとに似てるな、赤松ブラザーズ。サイズもほぼ一緒じゃん。」
「俺は……まだまだです。」
「そうかぁ?野手と投手じゃ比較することもねーと思うけど。」
「兄は聖斎のクリーンアップです。」
「二刀流かよ!」

 裕也は食い入るように、「赤松直能」の記事を読む。直倫の心の奥底に嫉妬の炎がぼんやりと出火する。それを察したのか野村が雑誌を取り上げた。

「はい、大竹くんもちゃっちゃとプリント終わらせようね。」
「はいはーい……赤松、この問題ってどーゆー意味?」

 裕也がすぐに切り替えて直倫に質問をするが、直倫は立ち上がる。

「すいません、俺も次の授業の準備あるんでこれで失礼します。」
「え?」

 そして一度も裕也の方を見ずに2年5組の教室をあとにした。取り残された裕也はただポカーンと直倫が去って行った方向を見ていた。

「赤松?なんだあいつ。」

 清田は呆れたようにため息を吐いた。

「江川、ほっしゃんにバカどものこと頼まれたって感じだろ?」
「あぁ……俺もテスト期間はバイト休みだし引き受けたよ。」
「じゃああとは頼んだぜ。俺じゃ手に負えん。」

 そう清田は匙を投げるとムカついたので松田の後頭部に1発入れて教室を出て行った。

「松田、俺は先生に頼まれたからな。徹底的に全教科赤点回避。今日から覚悟しとけよ。赤点取ったらマジで殺す。」
「わかってるわかってるわかってるからぁあああ!勘弁してよ江川っちー!」

 必死になって空欄を埋めていく智裕は、残り1問になって安堵した。するともう1人の問題児こと宮西みやにしが一起の隣にやってきた。

「………江川、首、なんか鬱血してる。」
「は?」
「ほら、此処……。」

 宮西は一起の髪を少し上げて耳の後ろくらいの場所を触った。


「あ、キスマークだ。出来立てホヤホヤ。」


 宮西はわざと周りに聞こえる音量で淡々と言い放った。そしてクラス中の視線が一起に集中攻撃した。一部の女子(高梨たかなし増田ますだの界隈)からは悲鳴があがる。

「なっ!これは…っ!た、ただの虫刺されだっ!」

(先生、こんなとこに……!)

 一起は思わず手でその箇所を隠し、顔が真っ赤になる。智裕と裕也も立ち上がって一起に近寄る。宮西は某制汗剤のCMの匂い鑑定士のように一起の上半身を嗅ぐ。

「お前ら……な、何してんだよ…!」
「なーんか微妙に香水だか整髪料かの匂いがするなぁ。移り香ってやつか?」
「は、はぁ?」
「彼女か⁉︎お前、そんな澄ました顔して彼女いたのか⁉︎」
「嘘だろ!一起!嘘だと言ってくれ!俺と一緒に童貞の誓いをたてたじゃねーか!一起ぃ!」
「桃園の誓いみたいに言うな!何もないっつの!彼女もいねーよ!」

 一起は追い詰められていたが、チャイムが鳴り、古文の先生が入ってきたので危機は免れた。一起も一息ついて席に座ると、通信アプリからメッセージが飛ばされた。

(増田さんが個人メッセージ?)


_もしかして、星野先生?
_大丈夫、言わないでおくから。
_私の心の中に閉まっておくよ。

 画像が送信された。それは先程、準備室でカーテンを閉める前に裕紀にキスをされた画像だった。

_図書室から戻るときにたまたま見かけちゃっただけだからね♫
_星野先生って情熱的なんだね(*´艸`)
_今度詳しくきかせてね♡


 一起の頭の中はフリーズした。そしてちらりと増田の方を見ると、サムアップポーズで嬉しそうな顔をしていた。一起は引き笑いを返した。



***


 翌日の昼休みから一起のスパルタ塾は開講された。生徒は智裕と宮西。裕也は赤点とろうがあまり関係なかったので傍観者になっている。
 しかし裕也は落ち着かなかった。今日は直倫が来ていない。ミルクティーをすすりながら、目は泳いでいる。

(なんだよ赤松の奴……野球部の昼休み練習禁止だって言ってたくせに……あれ?なんで俺こんな気にしてんの?いつも隙あらば触ろうとして迷惑してたし、俺にとっては良いことなのに……あれ?なんか変だぞ。こう……何でだよ、とか、ふざけんな、とか……あれ?何で?意味わかんねーし!)

「うわあぁぁああ!助けて拓海たくみさーーーん!」
「うるせーよ。県予選終わるまで石蕗つわぶき先生との接近禁止。」
「鬼ぃ!鬼ーーーー!」

 智裕は苦手な勉強漬けと拓海不足で気が狂いそうになっていた。宮西は魂が抜けてロボットのようになっていた。

「そこは、この公式を使えば猿でも解けるだろうが。」
「うーん……xを代入して……これは、zで……うぅぅううぅ……。」

 幼馴染が頑張っている姿は滑稽なのでいつもなら揶揄って笑うのに、裕也は直倫が気になってしまて上の空だった。
 すると野村が近づいて声をかけた。

「大竹くん、ちょっと赤松くんのとこ行ってきてよ。」
「はぁ⁉︎カッちゃんが行けよ。」
「これ、赤松くんに貸すって約束してた本。今日彼フリーバッティングのメインでこれを予習に使ってもらいたいから。」
「だから何で俺が。」
「暇でしょ?俺暇じゃなんだよね。今からほり先輩と今中いまなか先輩と大事なミーティングあるからさ。」

 強引に渡されたのは文庫本サイズの専門書。「アベレージヒッターとパワーヒッターの流儀」と書かれている。

「赤松くん、最近1発を狙いすぎて紅白戦での打率が落ちているんだよね。週末は隣の県の高校と練習試合もあるし、大竹くんも応援してあげてよ。」
「いやいや、俺カンケーなくね?」
「い い か ら 行 っ て こ い 。」


(カッちゃんの目が小4の時に悪ふざけで川に落とした時と同じ目だった……!)


 気迫に負けた裕也は渋々1年の教室があるフロアへ向かう。1年4組の教室の前に着くと、適当に声をかける。

「なぁ、赤松いるか?」

 ドアの近くにいた男子生徒は訊ねられると教室を見渡し、誰かに声をかけた。

「おい、水上みずかみー。赤松ってどこー?」
「んー?知らねーけど。」

 裕也は水上と呼ばれた男子に目を向けると、驚いた。同時に怒りを思い出した。

「あーーーーー!お前、あん時の!」
「あ?あれー、まっつんのツレのおチビさんじゃん。」

 ニヤニヤしながら水上は裕也に近づいた。

(で、でけぇ……。)

「よぉ……まさかテメェのツラを拝むことになるとはなぁ。」
「そうですねー、俺もあのお猿さんにもう1回会えるとは思わなかったなぁ。」
「お前1年だろ!敬語使え!」
「俺、あんたのこと敬ってないから無理だね。」

 2人の間に火花が散る。周りの生徒たちは戦々恐々と遠巻きに見つめる。

「本当にまっつん、まっつんうるせーし。」
「あんたは赤松のだよな。」
「そんなわけねーだろ!」

 水上がバカにしたように小指を立てて見せると、裕也は激しく否定した。

「俺は赤松に渡すモンがあるだけだ!とっとと帰りてーんだよ!」
「赤松ならココにはいねーよ。昼休みになった途端にどっか行ったし。」
「あっそう。教えてくれてどうも。」

 嫌味ったらしい笑顔を水上に向けて裕也はその場を離れようとした。

「なぁ、チビ猿先輩、ひとつ訊きたいんだけど。」
「あ?」
「まっつん、彼女でも出来たの?また元気になったみたいだし。」

(そういや高梨と増田が言ってたな。水上レン……あいつがツワブキちゃんとトモのことを……。)


と仲直りしたっぽいよ。俺たちも見てらんねーくらい超ラブラブだからウゼーの。」


 そう捨て台詞を吐いて走って去った。


***


 直倫は体育館の裏で壁に向かって文字の書かれたゴムボールを投げていた。目を柔軟にするトレーニングだと直倫が自ら学んだ。だが今は上の空になってしまっている。

 タッ、タッ、と誰かの駆け足が近づく。走る呼吸と声。

「……裕也先輩?」

 ボールをキャッチして音の方向を見ると、汗だくで顔を真っ赤にした裕也が肩で息をしていた。

「はぁ……や、やっと見つけたぁー…。」
「どうしたんですか?」
「どーしたもこーしたも、お前への、用事…ゴホッ!お、押し付けられたんだよ!」

 裕也は野村から渡された本を乱暴に直倫に押し付けた。直倫は受け取ると表紙を確認した。

「これ……。」
「カッちゃんからだよ。昼休み中に渡さねーと殺されそうだったし。確かに渡したからなっ!」
「ありがとうございます……。」

 お礼を言いながらも、直倫の顔は相変わらず浮かない。裕也はそれにムカついた。

「何で今日来なかったんだよ。」
「え?」
「こんなわっけわかんねーとこで1人でいてさ、俺のこと好きだなんだ言ってからウゼーのに毎日顔出してたくせに。昨日から様子変だし、俺なんかお前に何かしたんじゃねーかって気になるしさ……あーもー、何が言いたいかっつーと……。」
「裕也先輩?」

 裕也は髪をぐしゃぐしゃにしながら「あー!」と叫び、天を仰いで顔を両手で覆う。変な汗が出てくる。これは暑さのせいではなかった。


「お前いねーと……つまんねーんだよ。」


 いつも表情があまり変わらない直倫が、あからさまに嬉しそうな顔をする。そして裕也の正面に立つと、顔を隠している裕也の手を掴む。裕也はギュッと目をつぶって顔は真っ赤になっている。


「俺、やっぱり裕也先輩が好きです。」


 裕也の唇にキスを落とす。それで直倫の杞憂は随分吹き飛んだ。


 日陰になっている壁にもたれて、2人は並んで座った。直倫はパラパラと貸してもらった本をめくりながら話す。

「俺、中学は聖斎の中等部だったんです。だからそのまま兄と同じチームに行くんだと思ってました。実家からも通える距離でしたし、家族もそのつもりだったんです。けど、去年の県大会の準決勝……それが、兄もベンチ入りした聖斎学園と第四高校の対戦でした。」
「準決勝…ってことは……。」
「松田先輩が先発でした。俺は両親と一緒に兄の応援で観戦してたんですけど、そこで松田先輩の圧倒的なピッチングとマウンドでのオーラに魅せられて……俺は、この人と同じチームで野球がやりたいと思いました。」
「それでこんなフツーの公立とか、絶対親は許さないだろ。」
「はい。だけど兄は賛成してくれて一緒に両親を説得してくれました。そして独り暮らしになるので、炊事洗濯掃除は一通りマスターしてなんとか納得してもらいました。」

 裕也は自分には絶対無理だと感心するのと同時に自身の日頃の生活を思い浮かべた。部屋も散らかし放題で勉強はテスト前に一夜漬けでゴロゴロしては母親に叱られ姉に蹴られる。直倫とは比べ物にならないくらいに堕落している、と落ち込む。

「昨日、裕也先輩が兄の記事をすごい見てて…モヤモヤした気持ちにもなったんですけど、俺は兄にはまだまだ敵わないことが多すぎるはずなのに、張り合おうなんて思ったことが情けなくて…それであんな態度をとってしまって…。」
「俺は…お前は兄貴に充分張り合ってもいいと思うけどな。」
「え?」

 裕也の言葉に直倫は意外だという反応をしめした。

「だって15で実家出て、ダチもいない街に1人で暮らすとか…俺絶対無理だし。それでも頑張って実力でレギュラー取ったんだし、お前の方が立派だと思う…し。」


(あれ?俺なんでこんなムキになって赤松フォローしちゃってんの?あれ?いつもなら笑い飛ばしてんだけど……これがもしトモや椋丞だったら『100年早ぇよひゃーはっはっ!』ってなるのに…あれ?)


 裕也が悶々と考えている最中も、直倫は裕也からのフォローに感激してその一語一句を噛み締めていた。


(もしかして……おれ……。)


 小っ恥ずかしい考えが出てきた裕也は「ぬあー!」と変な雄叫びをあげながら立ち上がる。

「裕也先輩?」
「教室帰る!5限目移動教室だったわ!じゃ、じゃあな!」

 全速力で走り去ろうとするが、右腕を優しく捕らえられた。後ろに倒れそうになったが、ひと回り以上大きな直倫の身体に支えられ収まる。


 ドクン ドクン ドクン


「へ…⁉︎」

(な、な、なんだこれ⁉︎し、心臓……うるさい……っ!)

「ありがとう、裕也先輩……。」
「は、はぁ…。」

(赤松の声…めっちゃ響いて……息が……耳にぃ…っ!)

「俺、また頑張れます。」
「わかった……わかったから…暑い!離せ!」

(もう、これ以上は……!)

 チュッ

「ひゃん……な……っ!」
「本当は押し倒したいくらいなんですけど、今日はこれで我慢します。」
「あ……。」

(なんで……解放されたのに……虚しくなるんだ?寂しい……?)

「か、帰る!」

 裕也は今度こそ全速力で走る。「あー!」と叫びながら、火照った体温を誤魔化した。
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