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マツダくんの秘密
フタリの和睦条例(※)
しおりを挟む拓海に避けられて早4日が経過した。もう週末になっていた。しかも週明けは中間テストで本当に会える時間が少なくなる。智裕は本気で焦っていた。
「あのさ…オフクロ……今から明日まで暇?」
「は?何言ってんのアンタ。」
「暇?」
「まあ特に予定は入れてないけど。」
家族4人が揃う食卓で智裕は突然話を切り出す。母だけでなく、父と弟の頭の上にもクエスチョンマークが浮かぶ。
「何だ、どこか行きたいところでもあるのか?」
「あ、なら俺隣町のホームセンター行きたい!」
普通に考えればそういうことになるだろうが、智裕の理由は家族の斜め上を行ってた。
「今から明日まで隣の茉莉ちゃんの面倒見てくれ!」
立ち上がって、その勢いで口に出した智裕の頼みに唖然として3人とも言葉を失ってしまった。
そして智裕はすぐに家を飛び出した。
「智裕!あんたご飯途中でしょ⁉︎」
「いらねぇ!智之食ってて!」
「マジで⁉︎ラッキー、もーらいっと。」
ガタンガタンと騒がしく音がして玄関は閉まった。そしてものの1分でまた開いて閉まる。母は玄関の照明をつけると、パジャマ姿の茉莉ちゃんがキョトンと立っていた。
「ああいあー!」
父と母のジジババスイッチが入った。
***
智裕の突然の行動に拓海も呆気に取られてしまった。
「ごめん、ちょっと。」
「え、えぇ⁉︎な、何?」
拓海の手を引っぱり、智裕はリビングのソファまで連れ、そこに拓海を座らせた。
「ねぇ、智裕くん、まーちゃんは?どうしたの?」
「2人で話したいから俺んチでお泊り。」
「え?そんなのご迷惑じゃ…。」
「あのジジババ、茉莉ちゃんにメロメロだからいいんだよ。」
拓海に覆いかぶさるように、目の前に迫る。久しぶりの近い距離で拓海は心臓がドクンドクンと打つ。一方の智裕は心が悲鳴をあげている。
(どうしよ、マジで。強引にやっちまった手前後戻り出来ねーよ。なんでこんなことした俺⁉︎つーか茉莉ちゃんを両親に押し付けたのって場合によっちゃ誘拐になるぞこれ。いやでも茉莉ちゃんオフクロと親父に懐いてるし大丈夫なはずなんだよね。あーもー早く言わねーと!マジで終わるっつの!言え!言うんだ俺えぇぇぇえええ!)
「ごめん……嘘、ついて……。」
智裕の声は上ずって泣きそうになっていた。拓海は智裕の顔をずっと見ている。
「ちゃんと…本当のこと……言うから……。」
智裕は拓海から離れて立つと、長袖のシャツを脱いだ。
よく見たらかなり引き締まっている筋肉、普段の智裕は着痩せしていることがわかった。その身体は普通の男子高校生ではなかった。そして左肘を拓海にしっかりと見せると、そこには痛々しい痕があった。
「俺は小3の時に近所のリトルリーグのチームに入った。小5になった時にプロ野球チームのジュニアチームに入った。中学生の時は少し離れた場所の硬式のチームに入って、それから日本代表にもなって、クッソ強いアメリカ相手に8回無失点1安打の成績を残した。強豪高校からスカウト来たけど、厳しい寮生活にビビって今の高校を選んだ。」
きちんと話す智裕は、自然と涙が溢れてきていた。拓海も目頭が熱くなってくる。
「高校は推薦で、野球部入って、すぐにレギュラーになって、先輩たち差し置いてエースナンバー貰った。俺本当は嫌だったけど、監督にすげー怒られて、自分なりに努力してエースになろうとした。だけど先輩らの反発買って、大事な決勝の前に、すっげーボコられて腕の骨と筋がぶっ壊れて手術して入院した。でも俺、エースだから、あと2年やんなきゃいけなくてすげーリハビリ頑張ったけど……けど……もう、投げらんなくて……俺……俺…。」
「もういいよ!わかったから!」
拓海は智裕に抱きついた。そのまま強く抱き締めた。智裕も拓海も涙が止まらなかった。
「マジで…俺ん中じゃ、このことって…すげーダサくて、ヘタレの極みだから…拓海さんに、嫌われたくなくて……嘘ついたのに……ごめん…本当にごめん……。」
「俺はそんなことで…智裕くんのこと嫌いにならないよ……嘘の方が嫌だったよ……。」
「拓海さん……俺、拓海さんのことマジで好きだから……ほんと、辛かった…。」
智裕は安心して腰を抜かしてしまい、膝から崩れ落ちた。拓海も座り、智裕を覗き込む。
「俺……もう大丈夫だから……ぶっちゃけ部活が地獄すぎて早く辞めたかったし……今すげー楽しいし。」
智裕は涙と鼻水を拭いながら顔をあげて、いつものように笑う。
「ヘタレに拍車かかったとか、めっちゃいじられるけど……それでも俺を好きでいてくれる?」
「……俺、若月くんに智裕くんが野球してる動画見せてもらったよ……だけど、俺は、今の智裕くんの方が好きだなぁ…って思ったよ。」
「…………マジ?」
「うん、マジ。だって、智裕くん、すっごい怖い顔してた。こんなに素直で優しいのが消えちゃってたから。」
ふわりと笑ってそう言われると、智裕は救われたような、そしてその笑顔に見惚れる。
「拓海さん……俺、ほんと、好きだ……。」
拓海を引き寄せて、智裕は拓海の唇に触れた。
「拓海……ベッド、行こ?」
小声で囁かれたその願いを、拓海は受け入れる、と小さく頷いた。
ベッドの上で2人は向かい合って座り、互いの両手を握り、何度もキスを繰り返す。舌を絡ませたり、唇に触れるだけだったり。
「……この前、酔ってて…覚えてないから……なんか恥ずかしい…。」
「うん……俺も…ぶっ飛んでたから、緊張する……。」
智裕は拓海の輪郭に触れ、もう一度、キスをする。拓海の着ているTシャツを脱がせて、きめ細かい肌を直に触れる。すると拓海はその手をそっと握る。
もう片方の手で掌に触ると、拓海は気付いた。
「手……硬いんだね。」
「そうかな……?」
「好き……。」
拓海はその掌を愛おしくキスをする。
「智裕くんって、右利き?」
「右利きだけど……運動だと左。左投げ左打ち、蹴るのもクラウチングスタートも左だし…。」
「ふふ……また、智裕くんのこと知れた。」
そうして笑う拓海に、智裕は心臓が跳ねた。拓海がキスしたその手の親指で拓海の艶やかになっている薄い唇をなぞる。
「ん……。」
「可愛いな……。」
拓海は細い身体を引き寄せられて、胡座をかいている智裕の太腿に乗る形になる。智裕の硬い掌が拓海の全身を撫でて、また細い輪郭に添える。拓海は左手で智裕の肩に掴まって、右手で同じように輪郭に添える。お互いの熱を帯びた目線を絡める。
「もう、嘘…つかないで…。」
「うん。」
「俺は、どんな智裕くんも大好きだから……。」
「……じゃあ、本当のこと言うよ。」
智裕は拓海の耳たぶを唇で挟んで、鼓膜に息を吐くように。
「拓海がめちゃくちゃになってんの、すげー見たい。」
輪郭に添えてた手はいつの間にか、拓海の下着の中に侵入していた。薄い茂みを触り、ソコの周りを優しく。
「んん……あ、あぁ…ん。」
緊張と似たような震えが出てくる。デコボコした左手が背をイヤらしく這ってまわる。背骨を触られると、拓海は声を我慢できなかった。
「ひゃあ…ん……あ、ふあ……。」
だけども、肝心な場所に触れてくれないもどかしさから、腰が揺れてしまう。
「拓海、腰、揺れてるけど…?」
「や……ちゃんと……して……ほしいの……。」
「どう、ちゃんとして欲しいの?」
「いじわる……。」
「言ってもらわないと、俺わっかんねーし。」
ニヤリと笑うと、拓海の震える瞼、熱い吐息を出す唇、紅潮する頬と首筋、震わせている肩、それぞれにキスを落とす。刺激的でない触れるだけのもの、その繰り返しが拓海を追い詰める。
「あ、も……ちゃん、と……触ってぇ…ん…。」
「ドコを?」
「ドコって……。」
チュッ
「ふわぁ……あぁ…だめ…。」
チュッ
「やだ……それ、も……。」
拓海の触れられないソレは触れるだけのキスの度に震えて主張が大きくなり、それは苦しい。
触れられない、溜まる熱は全身を巡って、拓海は微熱を出したときのようで、息が荒くなる。
「ドコ、触って欲しいの?」
「はぁ…っん………おれの……たって……るの……。」
「わかった…。」
今度は深くキスをしながら拓海を仰向けに寝かせると、下半身に着てた物を一気に脱がせて生まれたままの姿を晒した。拓海は内股になって隠そうとするが、すぐにそれは阻まれ、智裕の視界に興奮を主張した拓海自身が映った。
智裕は片手で包むようにソレを握って上下に動かす。やっと拓海が求めていた刺激が与えられる。
「あ、んん……あ、だめ……。」
「ダメなら止めるけど。」
「それも、やだ……よ……いじわる……んんあっ!」
拓海は驚いた。ソコには初めての感触があった。ヌルリ、ザラリとした感触。股関節はくすぐられているようで。
拓海がソコを見ると、智裕が股間に顔を埋めていたので、何をされているのか理解する。
「や、やだ……きたないぃ……ああっ!」
ズッ、チュッ、わざとらしいリップ音や水音を立てて、智裕は口で丹念に拓海を愛した。エロ動画の女優の見様見真似の行為で智裕は自信が無いが、悟られないように男前オーラを出す。見事に拓海はヤられている。
舌先で拓海の先端を抉ると、そこから透明な苦い味が溢れ始めた。茎と嚢も舌先の刺激を受けると、拓海は腰を揺らして悶える。拓海は片手は癖を出して指を食んで、もう片方の手は拓海の少し痛んだ茶髪をクシャクシャに掴む。
「や、やだぁ…あ、へん……そこ…っ!」
「はぁ……拓海、めっちゃエロいことになってる。もうドロドロ。」
焦らされた熱で火照る身体と、初めての快感で淫らになる表情、そして溢れる興奮。
「拓海、ローションとゴム、俺の部屋だ……。」
「へ……?」
「ごめん……えっと……だから……お尻、向けて。」
そう言って智裕は拓海をうつ伏せの状態にして、お尻だけを上げている体勢にした。想像以上の痴態で、智裕も苦しくなってきたので下着ごとスウェットを脱いだ。
拓海の肉付きの少ない、だけど綺麗な双丘を撫でて、己を突き刺すその秘部を濡らすように舐める。
「いや、な……おしり……ほんと……やめ…てぇ…。」
「こうしないと、拓海が辛いよ。ね?」
「うぅ……。」
恥ずかしい恰好で恥ずかしい場所を舐められて、拓海は羞恥で泣きそうになる。だが自分のことを思い遣っての行為だと理解すると愛おしくなり、それも快感になっていく。
ピチャ、ピチャ、そんな水音がする。そして智裕の熱い舌が入り口を抉るように触れるので拓海は益々と興奮が高まる。そしてまたもどかしくなる。充分に濡れたところで、智裕は右指を唾液で濡らして、入り口だけをほぐした秘部にズプズプと人差し指を挿れる。この前とは違い、すんなりと入ったので中指もすぐに挿れてナカを解す。後ろからだとよく見えて、色々と動かせる。
「はぁ、あ、あぁ!」
「拓海、ココ、いいの?」
「あ、そこ、へん、なのぉ……ひゃあ、あ、あぁ!」
「気持ちよくない?」
「んん…ん…ちが……あたま、しびれて…あぁっ!」
前立腺のポイントを強めに押され、膝はガクガクと笑い出す。枕に顔を埋めて、首を振ったりして気を紛らわせようとしても、次々と強烈な快感が智裕から与えられる。
智裕は四つん這いになっている拓海の腰を支えて、覆い被さり、耳元への囁きで、拓海の理性を粉々にする。
「拓海、ゴム無いけどさ……ナカに入っていい?」
「あ、い、いい、よ…。」
「ほんとに?」
「いじわる、やだ……ともひろく、ん……。」
「このまま後ろから挿れる?それともキスしながら挿れる?」
「は、あ……きす……しながら…したい……。」
「いいよ。」
拓海を仰向けにすると、秘部を弄られたことで拓海の自身は腹に付きそうなくらいに興奮しきっていた。拓海の細い腿は智裕のゴツい手で持ち上げられ、ヒクつく秘部が智裕によく見えるようになる。
智裕は自身の先端を、ズプリ、と。
「あ、あー…っ!」
「拓海……はぁ……もっと…挿れる、から。」
「うん……。」
深く、奥に向かう。拓海の要望通りに深いキスをしながら。拓海は腕を回して智裕にしがみつくように、口内で暴れ回る智裕の舌を絡ませる。呼吸が上手く出来ないくらいの激しいキスに全身がとろける感覚だった。柔らかくなるソコを一気に貫くと最奥に到達する。
「はぁぁあ……あぁ…おっきぃ……。」
「全部、挿入った……。」
何も隔たりがなく、直に互いの感触と熱さを確かめる。
(やっばい……ゴムしてるのと全然違う……。)
「すっげー……拓海んナカ、この前より熱い。」
「あ……んん…いわ、ない…で……はぁ…。」
「動いていい?も少し、慣らす?」
「うごいてぇ……。」
智裕は拓海の両手に指を絡めて、少しずつ律動を始めた。細かい、振動するだけのような動きでも、その都度に体温は上昇する。智裕の額から滲む汗が拓海の肌にポツリ、ポツリと落ちる。
「はぁ、あ、あ、あ……と、も…ひろ、く……あぁっ!」
「すっごい…絡みつく……。」
「んん……はぁ、あ、こえ…でちゃう…はずかしぃ……。」
「もっと聞きたいよ……可愛い。」
智裕は自身の先端から興奮した液が漏れ出しているのがわかった。それが潤滑剤となって滑らかになり、大きく動けるようになる。
(あー!この前まで童貞だった俺にこれはもうやばい!持ってかれてくし、もうイきそうだし…!)
速くすると達しそうだと判断した智裕は焦らすように、決定的な刺激を与えずゆっくりと、もどかしく動く。抜けるか抜けないかのギリギリまで引くと、ゆっくりとまた奥へ、そんな動きを続ける。
翻弄される拓海は生理的な涙が流れる。ゆるりゆるりと襲う快感が決定的な刺激を求める。欲するように腰を揺らすが。
「拓海、もう終わっていいの?」
「え……な、に……?」
「そんな腰、エロく誘わないで。俺、ヤバいから。」
「だって……は、あぁ…あ、やぁ!」
奥のポイントを硬い先端で突かれ、拓海の膨れ上がった自身からダラダラと透明が漏れ出す。智裕は右手をプルプルと震える拓海を握り、これもゆっくりと上下に動かす。するとナカが智裕をかたどり締め付ける。
一気に限界がおとずれた。
「拓海…っ!」
「あ、ああーっ!」
智裕は両手で拓海の腿を持ち、激しく腰を打ち付けて絶頂に向けて拓海を攻め立てる。手持ち無沙汰になった拓海は枕を握りしめる。
「あ、あ、はげし…っ!あ、やぁあぁぁ!」
「拓海、は?きもち、い?」
「いい、いいの、すご、い…あ、あ、あぁぁぁぁ!」
「すげ…もう、イく……あぁっ!」
「あ、おれも…おしり…あ、だめ、ああっ!イっちゃ…あぁぁあ!」
智裕は間に合わず、全てを拓海のナカに注ぎ込んだ。その熱を受けた拓海はすぐに白濁を吐き出した。
(どくどく…してる……ともひろ、くん……。)
(やべーよ、ナカに出しちまった……やっちまったー。)
まだ名残惜しい智裕は拓海のぐちゃぐちゃになっているナカに挿れたまま。
「はぁ……拓海、きゅうきゅう…してる。」
「ん…だって……ともひろ、くん…の……あついんだもん…。」
「そう……。」
拓海の額に張り付く前髪をかき上げて、額にキスを落として、唇に落として、見つめて、今度は深く。
「拓海……いっぱいキスするから……俺は拓海が1番好きだから……。」
「うん……もう、うそ…つかないで……どんな智裕くんでも大好きだよ…。」
智裕は安心したように笑って、また拓海に何度もキスをした。
(もっと、一緒に、ずっと……。)
***
その頃、松田家では。
「あーいあい!」
「おさるさーんだよー!」
「あーいあーい!」
「茉莉ちゃん、お歌上手ねー。」
「あーい!」
(なんで俺タンバリン叩かされてるんだろ……。)
石蕗茉莉ワンマンショー in 松田家が開催されていた。
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