最も過激で最も普通

ぽあ

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7月

綺麗な薔薇には…。

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バァァアァンッ!!!


「………は?」
「おーおー、派手に突っ込んだなぁ」

突っ込んだ先を見てみれば、くるりとひっくり返っている人影と壊れたなにか…それと、このことを見越していたかのように置かれている、大きなクッションがあった。

「や~ら~れ~た~………」
「何が”や~ら~れ~た~”だ。何度も何度も部室壊そうとしやがって」
「うう、部長怖い!キライ!」
「うるせぇばーか!」
「バカって言った方が馬鹿なんだバーカ!」
「なんだと!?」
「わーん!部長が怒ったー!!」

(な、なにこれ…)

謎の女子生徒は、田中先輩と幼稚な言葉で喧嘩し合っている。
突っ込んできたせいかボサボサの頭だったが…よく見ればとても可愛らしい。
しかし、見た目のインパクトより行動のインパクトが勝ってしまう。
今だって……。

「ねえ”モチさん”!これって私が悪いの?」

・・・・。

「私悪くない!悪くないって!部長が悪い!ざまーみろ!あははははーっ!」
「モチさんはいったい何を見てたんだ!?」

”モチさん”と呼ばれる…綿?餅?…兎?
謎の白い物体に話しかけては何かを聞き取ったようだ。田中先輩も項垂れているけど、俺には何が何だか分からない。

「おいアマミン。新入部員の前なんだ!ちょっとはマトモになってほしい!」
「しんにゅうぶいん…?さては部長、ついに幻覚を見るようになったわね…」
「幻覚じゃないし!…違うよな?ちゃんとそこにいるよなハルティー!!」
「い、います!」
「………」

「えーーっ!!!?ホンモノーーーっ!?」

”アマミン”と呼ばれた女子生徒は、俺を見て叫んだかと思うと、パタンと気絶したように倒れこんだ。

「え、え?」
「…こういう時はな、モチさんに話しかけるんだ」
「え、あ、…?ええと、モチ、さん?」

・・・・・・。

「……………????」
「……おはよう」
「………お、おはようございます?」
「…新入部員の子だったわよね。私は天野恵(あまのめぐみ)よ。よろしく」
「……………????」
「あなたの名前はなんて言うの?」
「え、……えっと、鈴木晴斗……デス」
「そう、晴斗くんね。分かったわ」

先程とは全く違い、落ち着いた声音で話しかけてくれるアマミンこと、天野先輩……。
気絶して落ち着いたのか、それとも二重人格……?俺の頭の中は、ハテナで溢れてしまった。

「…田中先輩、どういう事ですか…?」
「知らね」
「ええ……」
「コイツの事はよく知らないけど、俺は暴走してる方をアマミン。落ち着いた方を恵って呼んでる」
「な、なるほど…?」

「おい恵。他のふたりは?もう時間すぎてるだろ」
「さあ、知らない。もうすぐ来るんじゃないかしら?」
「はあ…」
「そんなことより…昨日植えたレモンバーム…ちゃんと水あげてくれた?」
「あ……ごめん、忘れた…!」
「………」


「うわぁあああん!!部長キライ!!バーカバーカ!!やっぱりバーーーカッ!!!」
「ごめんってえぇ!!!」

(怖っ……)
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