めろめろ☆れしぴ 2nd

ヒイラギ

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8. めろめろのワガママ

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(あー、やっぱり、大きぃなー)

うちの高校の体操服に袖を通しながら、オレは、心の中でつぶやいた。
着てみれば、白い体操服はスソが腿あたりまでくるし、先に履いていた紺色の短パンもウエストの紐で、いつも以上に調整しないとずり落ちそうだ。
借り物の体操服は、ちょっとぶかぶかだけど、うん、まあ、いけるだろう。
よし準備OK!
見回せば、更衣室に残ってるのは、オレらと、あと2、3人の生徒だけになっていた。
さっきまで大騒ぎだった男子更衣室の中は、すごい静かになっていて、それとは反対にドア向こうの体育館がにぎやかになっている。
その体育館からは、バスケットボールが床を打つ音と、クラスのヤツラが走り回っている足音と陽気な声が聞こえてくる。

(オレも早く、行こ!)

授業じゃバレーボールをやってるけど、先生が来る前のちょっとしたバスケ遊びに、オレも参戦すべく、短パンのウエストの紐をキュキュッと結んだ。
隣では、えーしはもう着がえ終わってる。

「えーしも着がえたんなら、行こっか」

オレは、えーしに声をかけた。
けど、ジャージに着がえてるえーしは動こうとしない。
いつもだったら、えーしのほうから、「さあ、行くよ」って声を掛けてくるのに。
今日は、なんか、解けない回答を求めるみたいに、オレのことを見ながら、眉根を寄せてムズカシイ顔をしてる。

「えーし?」

どうかした? って聞く前に、えーしが口を開いた。

「どういうことなんだろう?」

めずらしく、えーしが首をひねった。
えーしの格好は、上下ジャージだ。
今は9月の終わりで、それなり秋っぽく涼しい日もあるけど、体育なんかの時はまだまだ暑いから、大抵のヤツが半袖・短パンの体操服だ。けど、オレのせいで、えーしは、今日、ジャージを着ている。
って言うのも、昼休みに教室で飲んでたコーラをだばーっとこぼしてしまって、自分の机が濡れただけならよかったんだけど ―――、
机の横に下げてた体操服を入れてた袋にまで、コーラがかかったから、中身もずぶ濡れになってしまったんだ。
クラスの友だちの宇佐美と、ケータイゲームの話しで盛り上がってて、オレが身振り手振りでしゃべってたら、食堂の自販機で買ってきてた紙コップ入りのコーラをひっくり返しちゃったんだよなー・・。
うっわ、やっば、5時間目の体育は制服で受けなきゃかもとあわててたら、丁度、昼休みに行われてた委員長会の集まりから戻ってきたえーしが「僕はジャージがあるから、皓也に夏用の体操服を貸すよ」って言ってくれたんだ。
でも、ジャージだとまだ暑いから、オレがジャージを着る、って言ったけど、えーしが「ジャージだと皓也には大きすぎるから、動きにくいよ」って言ってくれた。

(なんか、すごい、うれしかった)

だって、体操服をダメにしちゃったのは自分のせいだから、例え動きづらくたって、オレ、全然、ジャージでも良かったんだ。でも、もう、えーしが有無を言わせない感じで、オレに半袖のほうを渡して来たから、「ありがとう」って言って、こっちのほうを貸りたんだ。
そんなわけで、えーしはジャージを着てるんだけど、暑っ苦しい男子更衣室の中に居ても、姿勢正しいえーしの立ち姿はどこか涼しげだ。
そのえーしが、腕組みをして、片手はあごの下に添えて、なんか、考え込んでる。
しかも、オレのこと上から下まで検分するように見てくるから、なんか、居心地が悪い。
まさか、オレ、体操服を後ろ前に着てないよな、ってチェックしてると、えーしがつぶやいた。

「なんて言うべきか・・・」

更にめずらしく、言葉を見つけられないみたいだ。
その時、バタン、とドアの閉まる音がした。
着がえを終えたクラスメイトたちが出てったみたいで、更衣室にはオレとえーしだけが残った。

「 ――― この頃まで、僕はフェティシズムの嗜好は持ち合わせていないと思っていたんだけどな」

ふぇてしずむ???

「どうして、こんなにも、僕の体操服を着ている皓也を見ると、たまらなくムラムラするんだろう」

・・・・・。
そんなこと真顔で言われてもわかんないし。
っていうより、学校でそんなこと言わないでほしい。
えーしは、いつもみたいに静かに佇んでる。けど、眼鏡越しに見える瞳が、キラキラっとしてる ――― アブナイ感じに。。。


(なんか、ヤバイ、かも)
スッと伸びてきた手を、オレは気づかないふりをして素早くかわした。
今、えーしが、ちょっと目を細めて、機嫌をわるくしたっぽいけど、見なかったふり・・、見なかったふりっ!

「えーし、授業、始まるよ!」

オレはわざと明るく言った。
ヘンな空気に向かわないように。
そして、自分から、えーしの腕をつかんで、オレよりも大きな身体を引っ張りながら、戸口へと歩き出した。

「オレ、バレーボールって、あんまし得意じゃないけど、えーし、けっこう上手いよね。この前の授業で、アタック決めてるの、すっごいカッコよかった。オレ、自分のことじゃないのに、なんか、すごい、」

しゃべりながら、ドアノブをつかもうとしたら、
不意に、
ドアに押し付けられて、強引にキスされた。

「ぁ、」

いつのまにか手早く、えーしが自分の眼鏡をはずしてたみたいで、最初っから、くちびるが深く合わさる。
大きな声を出すと体育館にいるクラスメイト達に気づかれてしまいそうで・・。
そんな心配から、オレはろくに抵抗も出来ずに、えーしのキスを受け入れていた。





ぬるぬると舌をこすれあわせてるだけで、もう、頭がのぼせたみたいになってくる。

「皓也、」

キスの角度を変えるときに、えーしがオレの名前を呼んだ。
身体がぞくりとするような甘い低音の響きに、えーしを諌める気持ちが小さくなっていってしまう。

(ずるいんだから・・)

えーし、オレのウィークポイントを知りすぎだ。
ようやく、キスがほどかれて、はぁ、と湿った息を漏らすと、 ――― 今度は、耳に舌を入れられた。

「ゃ・・っ」

ぬるんとした感触に、身体が甘くすくむ。
オレがヘンな声をだしたことに、えーしが満足気にちいさく笑う気配がした。

(耳、弱いの知ってるクセに)

自分の目がうるんでくのがわかる。
もう、オレの両手は、えーしの身体を押し返そうとしているのか、しがみついてしまっているのか、わかんなくなった・・。

「ココとかココに、アトをつけたいな」

オレの首すじや、鎖骨んとこに、えーしがくちびるでふれる。

「だめ、」

そんなことされたら、授業を受けれなくなる。
名残惜しそうに、えーしがオレの首のつけ根に、かるく歯を当てると、ようやく顔を上げた。
オレは、えーしと視線を合わせないように、目をそらした。
いやらしいことをオレにしてくる時みたいな、熱っぽい目で見られたら、オレはきっと、身動きができなくなる。

「えーし、授業に、行こ・・」

って言ったのに、今度は体操服のスソから中に忍び込んできたえーしの手が、オレの肌をまさぐりはじめた。

「ちょ・・・、やめ」

オレは服の上から、えーしの手を押さえて止めようとするけど、うまくいかない。

「こんなに簡単に手が入れられるなんて、無防備すぎると思わない?」

えーしの湿った手のひらが、オレの胸のあたりをさわる。
そんなこと言ったって、これ、えーしの体操服だし。

「ここだって、開きすぎだよ」

そう言って、えーしが鎖骨んところに、くちびるを押し当てる。

「失敗したよ。皓也には、ジャージを貸せばよかった」

えーしの言ってる意味がわからない。ただ、えーしがしゃべるたびに湿った呼気が肌を撫でるから、身体がざわざわしてくる。

「皓也の心臓、すごくドキドキしてるね」

それに、さわるんなら、心臓のとこだけにして・・。

「ここ、硬くなってる」

「・・ばか、」

いちいち、言わないでほしい。
親指の腹で、胸んとこをいじられて、腰のあたりがやばい感じになってくる。
オレの両脚の間に入れてきてるえーしの脚が意味深に動いて、オレの熱を上げようとする。

「ゃ・・だっ、」

今度こそ、渾身の力で、えーしの両肩を押した。
そしたら、胸んとこをクリっといじられた。

「ぁ・・っ」

声が大きくならないように、息をこらえて、快感をやりすごす。
こんなことをされても、本気で怒ってやめさせようとしないオレって、ダメダメだと思う。

(どこかで、もっと、って思ってしまう・・・)

「ここじゃ、・・やだ」

だって、ここ、学校だ。

「どこがいい?」

えーしが、ようやく、顔を上げた。射抜くような眼光でオレのことを見ている。いつもより、頬が上気してるし、くちびるもヤらしぃ感じに濡れている。
えーしなら体育の先生をうまく言いくるめて、オレと二人して授業を抜けるのなんてお手の物だ。
このまま、どこかに連れてかれる前に、ちゃんと言っとかないと。
オレは、ゆっくりと口を開いた。

「 ――― えーしんち」

「皓也は僕の部屋がいいんだ」

「・・うん、」

「僕の部屋なら、僕に何されてもいい?」

な、何、って・・・、なに?
オレは、下くちびるをかんで、えーしのことを見上げた。

「別に、こわいことなんかしないよ。 ―――― いつも、そうだろう?」

そぅ、だけど。
でも、こわくはナイけど、すごい、恥ずかしぃときがあるし。
甘くて甘くて、とろとろのときもある。

(今日は、どんなふうにするんだろう?)

「・・こわいことしないんならいいけど」

オレはうつむいて、ちぃさな声で返事した。

「約束、成立だね」 

そう言うと、えーしはオレのことをしっかり立たせて、めくれあがっていた体操服を素早くなおしてくれた。そして、ポケットに突っ込んでたらしい眼鏡を装着した。
そうやって、あっという間に、えーしはいつものクールな委員長顔に戻った。

(・・・えーしだけ、ずるい)

オレは、ぽゎん、とゆるい感じになってしまってる身体を、どうにかくるりと返して、えーしに背を向けた。
そして、更衣室のドアを開け、

「オレ、顔を洗ってくる」

って、言って、体育館の出入り口のすぐそばに設置されてる水飲み場へ向かった。
冷たい水で肌を覚まさないと ―――、最後に体操服の上から約束のしるし、みたいにキスされた胸のとこがじんじんしたまんまだ。





体育館内に設置されたバレーボールコートは、出席番号順に分けられたチーム対抗試合のまっさい中だ。
オレの番は終わったから、いくらか気楽な気持ちで、オレは体育館の壁にもたれて目の前のゲームを見ていた。
そのゲームでは、えーしのチームと隣のクラスのチームが戦っている。
はぁぁ、とオレはため息をついた。
さっきの、オレが出た試合は、なんか、頭ん中、ぐちゃぐちゃで凡ミスの連発だった。
同じチームの熱血スポーツ男の高山からは、「お前、やる気あんのかっ!」って、体育のセンセーより激しい檄をくらったし。
オレはそんななのに、えーしは全然、普段通りだ。
むしろ、活躍してるし。
あーゆーことしても、えーしは全然、平気で、オレばっかりがいっつもオタオタしたりオロオロしたりしてて、・・・なんか、やだ。
えーしも、ちょっとは、動揺すればいいのに、って思うけど、そんなことないし。

(オレばっかりなのが、くやしぃ)

って、ちょっと、えーしにムカっとしてるけど、

(えーし、暑くないかなぁ)

って、えーしの体調を心配してしまう。
体育館の窓は全開になってるけど、館内はすごい熱気だ。えーしのチームが相手しているチームにはバレー部のヤツが居るせいか、ボールのラリーが激しくて、みんなすごく動き回ってるし。
オレは汗ばんでいる自分のてのひらをギュっとにぎりしめた。
なんか、自分の気持ちがあっちに行ったり、こっちに行ったりしてて落ち着かない。
そんな緊張感から、ふぅ、って息を吐いた時、

「お前、気合入れて見てるなぁ」

って、不意に肩をぽんっとたたかれた。
驚いて隣を見たら、誰も周りに居る気配はなかったのに、クラスの友だちの宇佐美が立っていた。

「うっわ、びっくりした! 宇佐美っ、いつからソコに居たんだよ?!」

「いつからって、ひどいなー。前の試合が終わって、すぐ、お前の横に来ただろ」

え、ホントに? 全然、気がつかなかった。
背が高くて派手な容貌をしている宇佐美に気づかなかったなんて・・・。

「そんなにー、一生懸命ぃー、何を見ていたのかなぁー」

ウェーブを描く茶色の髪を後ろで束ねている宇佐美が、ふざけた感じでそんなことを言った。

「べっつに。さっきの試合で疲れたから、ぼーっとしてただけだし」

内心、ドキっとしながら、オレは適当にごまかした。
オレの目はどうしても、えーしを追ってしまっている。
こうやって、宇佐美と話しながらでも、視線のはしっこで、えーしの姿を捉えていた。
だって、しょうがない。みんな白の半袖の体操服だけど、えーしだけ上下紺色のジャージだから、目立つんだ。そやって、目立ってるから、イヤでも目に入ってくるだけだから。別に、オレ、えーしのこと見たくて見てるわけじゃないし。
誰にも聞かれてないのに、そんな言い訳を ―――、自分にしてしまう。

「へー」

宇佐美がにやにやと笑う。
口調も軽いし、くっきり二重の瞳はカーブがやわらかいせいか、いつも冗談きついのに、なんだか憎めない。
その宇佐美が、オレの耳に口を寄せて、こそっと囁いた。

「俺はてっきり誰かさんのことを見てるのかと思ったぜ」

宇佐美は、オレとえーしがつきあってるのを知っている。
オレがえーしとつきあい始めた頃は、いろいろと相談にのってもらったりして、その度に、真剣に応えてくれた。
そして、今は、ときどき、オレとえーしのことをからかってきたりする。

「なんのこと言ってんのか、オレ、全然意味わかんないけどッ」

オレは焦って、早口で言った。

(な、なななんで、わかったんだろう???)

「そうか? お前、かーなーりー、うっとりした顔で誰かさんのことを見つめちゃってるからさあ」

「 えッ?!」

うそ! さっきの余波で、まだ、顔が赤いのかな。
オレはあわてて自分の頬を押さえた。

「 ――― なーんて、な。ジョーダンだよ!」

明るく笑って、宇佐美がオレの首に腕をまわしてきた。
身長の高い宇佐美がオレに体重を掛けてくるから、脚がよろめきそうになる。

「お前、相変わらず、ひっかかりやすいなー」

「宇佐美ッ!!」

もう、なにコイツ! 冗談にしても、タイミング悪すぎだ。
本気で宇佐美に文句を言おうとした時、きれいにまっすぐトスされたバレーボールを、えーしが敵コートに打ち込んだのが見えた。
ピーッっと甲高い笛が鳴って、えーしのチームに一点が追加された。
やったぁ! えーし、かっこいい!
オレは、えーしに拍手を送りたくなったけど、グっとがまんした。

(オレ、そんなに、えーしのことなんか見てないし!)

「あ、やっべ、委員長が睨んでる」

そう言って、宇佐美が近づけていた顔をオレから離した。
でも、別に、えーしはチームの仲間とハイタッチしてるだけだ。

「お前も大変だね、独占欲の強いカレシを持つと」

声をひそめて宇佐美が言った。

「そんな、独占欲とか、 ――― 全然ないし」

他の生徒たちは少し離れた所に立ってるから、誰にも聞かれてないと思うけど、オレも宇佐美と同じくらい小さな声でしゃべった。
オレは自分の視線を、えーしからムリヤリ引きはなした。

「なになに、今は、カレシの愚痴を言いたい気分かなあ?」

「全然、ちっがうし!」

からかってくる宇佐美にオレはムキになって返事した。

「あ、べつに、ノロケでもいいぞ。やっさしーよなあ、お前に、その体操服を貸してさ、この暑い中、自分はジャージを着るなんてさ」

オレが昼休みにコーラをこぼして自分の体操服を濡らしたことも、そんなオレにえーしが体操服を貸してくれたことも知っている宇佐美が飄々とした口調で言った。
うん、えーしがやさしいのはわかってる。

「・・けど、時々、自分勝手なんだ」

そうだ、さっきなんて、ホント、すごい勝手だった。

「へー、自分勝手、ねぇ」

「うん、えっと、たまーに」

そう。いつもじゃなくて、ホント、たまになんだけど。それで、その、たまにあるのも、よくよく考えたら、すっごい大迷惑で、もうめちゃめちゃ困って、どうしようもない、ってわけでもないし・・・。

「ま、そーゆーこともあるだろーうけどさ」

宇佐美が肩をすくめた。

「それって、お互いさまだろ? そーゆーのをさどこまで許せるかが、恋愛の醍醐味じゃねーの?」

高校生なのに恋多き男、宇佐美が言うと、なんだか説得力がある。

「レンアイのダイゴミとか、よくわかんないけど、・・・・・お互いさま、なのかなぁ」

自分じゃ、よくわかんないけど、オレも、自分勝手だったり、するのかな。

「だって、お前だって、いろいろワガママ言ったりしてんだろ?」

「え、言ってないよ」

「そうかあ?」

なんだよその疑いのまなざしは!

「ま、わがまま言ってないにしても、世話は焼かせてるよな」

う゛ッ!
・・・うん、そのとおりだ。
ホントのことすぎて、オレは宇佐美に返事できなかった。
でも、なんか、宇佐美に、すこーし本音をもらしたら、ちょびっと落ち着いてきた。
その時、ピーッという笛の音がした。
試合が終わったみたいだ。
目の前のコートから、ばらばらっと生徒たちが出て行き、次の試合をする生徒たちと入れ替わった。
紺色のジャージ姿のえーしが、まっすぐオレらのほうに来るのが視界に入った。

「おう、お疲れ!」

オレより先に、宇佐美がえーしに声をかけた。

「ああ、」

えーしが、片手を上げて、宇佐美に返事した。
額に、すごく汗をかいている。
ジッパーを胸元までおろしてるから、首から下も汗で濡れているのが見て取れた。
男っぽい、首筋から鎖骨のライン見えて、不意にドキリとする。
オレはあわてて、そこから目をそらした。

「委員長、大活躍だったな」

宇佐美が、オレの横に並んだえーしに話しかけた。
えーしは、まだ肩で息をしている。

「そうでもないよ。田辺のほうが点数を入れていたし」

ジャージの袖で額の汗をぬぐいながら、えーしが返事した。

「それだって、委員長のナイスフォローがあったからだろ」

オレをはさんで、オレより頭半分(・・以上、かな)高い、えーしと宇佐美が話してて、なんか、オレの頭越しに会話が言ったり来たりしている。

「曽根谷が、やたら煽って来るから、みんな、かなり本気モードになっていたんだ」

「ああ、あいつ、バレー部だからなあ。負けらんねえ、って思ったんだろう」

「えーし、暑い?」

オレは、えーしと宇佐美の会話にムリヤリ割り込んだ。
オレのえーしなのに、宇佐美とばっかりしゃべってるのがヤダ。

「大丈夫だよ」

えーしがようやくオレのほうを向いた。

「ほんと? えーし、すごい、汗いっぱいだし」

「本当だよ。皓也、僕のこと心配してくれたんだ」

「うん、だって、オレのせいだし」

「本当に、大丈夫だよ。体育でこのぐらい汗をかくなんていつものことだよ。皓也だって、たくさん汗をかいただろう」

「ぅん、そぅだけど」

その時、

「うっわ、まじ、あっちぃ! 半端なく、暑いわ、こりゃ」

って言う、宇佐美の大げさな声がした。
見れば、手をあおいで、オレとえーしに風を送る仕草をしている。

「俺、もっと涼しい所へ行くわ。んじゃな」

と言って、こっそりオレの背中をたたくと、他のクラスメイトたちが居るほうへ足早に歩いて行った。
目の前のコートでは、もう、次の試合が始まっている。

「あのね、」

オレは、えーしにそろっと半歩、近づいた。
えーしに対して、ズルイとかクヤシイとか思ってた、っていうか、まだすこーし思ってる、けど、でも、思いきって言ってみることにした。

「うん?」

「 ―――― さっきの試合、えーしが佐伯がミスったボールを走ってってレシーブして、得点につなげたの、すごいカッコよかった」

うっわ、と思って、大丈夫っ?! って心配して、それから、やったあ! スゴイ!! って感じたことを素直に言ってみた。

「そうだった? ありがとう」

きっちり作ったような笑顔に、クールな言い方だったけど、オレ、わかった。

(えーし、今、ちょびっと、はにかんだ)

なんか、オレのほうが照れくさくなって、オレは、へへへ、とごまかし笑いをした。








ふに、っとくちびるがくっついてきた。
そのやわらかな感触が、少しくすぐったい。
そっと、くちびるの合わせ目を舌で舐められて、オレは少しだけ口をひらいた。
すぐに、ヤらしぃキスをほどこされる。

「もう、こんなになってる」

ボタンを2つ目まではずされたシャツの上から、まったいらな胸の頂をさわられて、そんなこと言われた。
いやらしいんだね、と言われたみたいで恥ずかしくて身をよじると、腰に回っていたほうのえーしの手に力が入った。
制服のまま、オレとえーしはえーしの部屋のベッドに並んですわっていた。
更衣室での約束通りに、放課後、オレは、えーしんちに来ていた。

「気持ちイイことキライなの?」

ちがうけど、そうじゃないけど、だって・・。

「だって、恥ずかしぃし、」

「服、めくってみせて ―――― どのくらい恥ずかしい身体になってるか検査するから」

う・・、
泣きそうになって、えーしを見上げたけど、有無を言わさぬ表情で、「さあ、やって」と言われた。
そんなの、できない。

「こうや?」

できない、のに。
そんなふうに、やさしく名前を呼ばれたら、逆らえない・・。
オレは、とっくにウエストから引き抜かれていたシャツを、ゆっくりとめくり上げた。
肌が外気が当たって、ヒヤリとする。
でも、それ以上に、えーしの視線に感覚が灼かれていく。

「もっと上まで」

おへその辺りで戸惑ってると、えーしが冷たい声で言った。
オレは、意を決して、えいっと、ぎりぎり上まで、肌着ごとシャツを持ち上げた。

「もう、こんなにして、何を期待しているんだろうね」

えーしの視線がオレの胸元に集中している。
今までにされたことが瞬時によみがえった ―――― 指とか、くちとか、舌、とかで、いぢわるされて、「もっとして」ってねだるような言葉を口にするまで、肝心なトコにさわってくれないんだ。

「ちっちゃくてカワイイピンクだけど、吸うといやらしいラズベリー色になるよね」

ふぅっと、えーしがソコに息を吹きかけてきた。
感じてる声をだすと、もっと、意地悪なことを言われそうで、オレはくちびるを噛んで我慢した。

「ねえ、ときどき、シャツにすれて感じたりしない?」

「しない、そんなのしない」

嘘。ホントは、時々、そうなる。なんか、身体に静電気がはしったみたいになって、いたたまれなくなる。

「へえ、そうなんだ。ときどき、制服のシャツから皓也のここが尖ってるのが見えて、ものすごくドキドキしてるんだ」

「う・・そ、」

「本当だよ。真面目な顔をつくるのが難しくて、いつも困ってる」

って耳元で、うるんだような声で言われた。
こーゆーときにしか聴かない、えーしの興奮してるような声に、身体の芯が熱くなってゆく。

「僕の頭の中では、皓也が、ココ、自分でいじってたりするんだけど」

ココ、と言って、えーしがオレのチクビを指でゆるく、なでた。

「・・ぁ」

「今日、して見せて」

えーしがオレのシャツに手を掛けてきて、そのまま、すっぽりと頭から服を脱がされた。
オレだけ、上半身裸になってるのに、えーしはまだ制服のまんまだし。眼鏡だって外してない。
いたたまれなくて、オレは、えーしから少し後ずさると、

「部屋、もっと、暗くして」

って、お願いした。
薄いレースのカーテンを閉めただけじゃ、いくら部屋の電気をつけていないとはいえ、明るすぎる。

「皓也は、ワガママばかり言うんだね」

ちがうし。こんなん、全然、わがまま、とかじゃないし・・。
けど、そんなふうに誤解したまま、えーしは「仕方ないね」と立ち上がると、窓辺のカーテンを閉めてくれた。
とたんに、室内が薄暗くなる。
それでもまだ夕方前だ。
身体の輪郭も表情もはっきりとわかる。
えーしはベッドサイドに戻ってくると、当たり前のように、服をぬぎすて、眼鏡を取った。
えーしのは変化の兆しを見せていた。

(こんなに、普通の表情で、全然、いつもと変わらないのに)

・・・・・、オレばっかりがオカシクなってきてるんだと思ってた。

「暗くしたよ」

えーしが、も一回、オレの横に、ぺったりとくっつくように座った。
お礼を言うべきなのかを迷っていると、キスされた。
汗をうっすらとかき始めている肌が密着する。

「えーし、」

わけもなく心細くなって、キスの合い間に、えーしの名前を呼んだ。
くちゅり、と濡れた音がして、えーしのくちびるがはなれてった。

「何?」

「・・・なんでもなぃ」

「して見せてくれる気になった?」

えーしの手がオレの指をつかんで、胸のあたりに連れていく。

「ちがう、から」

そうじゃなし、そんなことしない、って、えーしの手をふりほどこうとしたら、もっと強くつかまれて、 ―――― 逃げられない。

「誰も知らない皓也を、僕だけが知っておきたいんだよ」

そ・・んなこと、言われたって。

「すこしだけ、ね?」

あまい声にそそのかされる。
まよっていると、オレの指を解放してくれたえーしが、今度は片手をオレの肩にまわしてきて、顔を胸のところにおろしてきた。
やわらかな口の中に、ふくまれて、そこがとても気持ちのいいトコなんだって知らさせる。
交互に吸われて、息があがる。

(・・・・・噛んで、)

だんだんと、つよい刺激が欲しくなってきて、そう思ったとたん、えーしの口がはなれてった。

「ゃダっ・・」

とっさに、えーしの頭をオレの胸にとどめようとしたけど、一瞬の差で、えーしはすり抜けていった。

「皓也」

名前を呼ばれただけで、今、えーしが何を望んでいるか、わかってしまう。
えーしは、それっきり、口を閉ざして、ただ、オレの顔を見てくる。いつもシニカルなすうっとキレイな切れ長の目は、かるく見開かれていて、形のいい薄いくちびるは今、いつもより赤くなっている。そして、すこし、ひらいたそのくちびるから、さっきまで、オレのチクビを舐めていた舌が見える。

「 ――――、す、する、から、・・・見ないで」

しばらくの無言に耐えられなくなったのは、オレのほうだった。

「ダメだよ。見るよ。全部、見る。皓也の恥ずかしがってるところも、気持ちよくなってるところも、僕だけが、全部、見るよ」





はざまを、えーしのがぬるぬると行ったり来たりする。
オレはあお向けにベッドに横たわってて、そのオレに、えーしがおおいかぶさってきていた。
ずっと、いっぱい、いろんなことをされてきていて、興奮しきった身体はとっくに、えーしに向かってひらいていた。
さっき、自分で自分の身体をいじってるとこをえーしに見られた。
それで、いっぱい意地悪なことを言われて涙ぐむと、それからは甘いことばかりをされた。

(でも、まだ、一回もイかせてくれてない)

もぅすこし、と、近づいてきたとこで、そらされてばかりで、オレは、もう、本当におかしくなりそうだった。

「 ――― ぁ、」

もうやく、えーしのが入り口にグっと押しつけられてきた。

(あ、はいってくる)

って、期待したのに、また、ぬるんぬるんとはざまをこすられる。

(なんか、もぅ・・)

じれったくて、

「ぇーし、」

甘えた声で、ねだってみた。
それで、中をいっぱい、こすられたりしたら、すごく気持ちがいぃ。
オレは、自分から、もっと、脚を開いた。
えーしが満足げに笑う。
薄暗い部屋で、オレは一心に、えーしのことを感覚で追っていた。

「息を吐いて」

えーしが言った。
オレは言われたとおりに、ふーっと息を吐いた。
そして、吐ききって、息を吸い始めたタイミングで、入り口に押し当てられていたものが、ぐぅ、っと入って来た。

「あ、」

あつい。
なかを押し広げるように入って来たえーしのが襞をなでていきながら、ゆっくりとすすんでくる。

(はいってくる、えーしのが、オレのなかに)

いっぱいになってく感覚に、なんでか泣きたくなる。

「・・ぃゃ、」

全然、イヤじゃないのに、むしろ望んでたことなのに、身体が逃げようとする。
でも、しっかりと腰を掴まれて、えーしのでずん、と突かれた。

「アっ」

だ、めだ。
身体がゆるゆるになっていくのと同じで、意識もゆるゆるになっていく。

「入ったよ」

「ぜんぶ?」

「うん、全部」

「 ―――― ココも、さわって」

ためらいながらも、えーしの手をとって、胸のトコに連れてった。
きゅ、っとされるのが好き。

「んっ」

「気持ちいいんだ?」

「うん」

きゅん、ってされるたびに、なかがびくびくっとなる。

「いやらしいなあ」

「・・・ちがう。えーしが、さわるからだから」

「僕のせいなんだ」

「そうだから、えーしがするからだし」

キスも、して、って言ったら、えーしがうれしそうに「皓也は本当に、わがままだなあ」って言って、そうしてくれた。

「えーしのほうが、ぃい・・」

音を立てて、ほどかれた舌を名残惜しく目で追いながら、オレはちぃさくつぶやいた。

「なにが?」

えーしも、息づかいが熱い。
はやる気持ちをおさえて、オレは、えーしに言った。

「ここ・・・、えーしにさわられるほうが、きもちいい」

オレは、えーしの手に、自分の手を重ねた。
キスしながら、コリコリといじられてた胸は、きっと、えーしが言うみたいにいやらしい色になっているに違いない。
えーしは、すぅっと目を細めた。そして、欲望をかくさない声音で、オレに告げた。

「動くよ」




えーしの動きは、はじめから激しくて、でも、オレの身体もそれを待っていたから、中を突かれるたびに、声が出た。
中をそんなふうにグリグリされると、ヘンになってく。

「あっ・、ァ・・っ、ぃや、」

絶対、オレ、今、変な顔してる。

「顔を、隠しちゃだめだよ」

「だって、やだ、恥ずかしい」

「うん、誰にも見せられないような、すごくいやらしくて恥ずかしい顔をしているよ。皓也がこんなに、いやらしい身体をしているなんて、きっと、誰も思ってないだろうね」

ねぇ、どうしよう? クラスの誰かに言ってしまおうか?
えっちなことねだってくる皓也には逆らえないんだ、って。
そんなことを耳にささやかれて、オレは身体をよじった。

「・・いじわるっ、」

そんなことしないってわかってても、えーしを詰らずにはいられなかった。

「嘘だよ」

甘い毒みないな声で、えーしが言った。

「僕だけが知っていればいいんだよ。僕にだけ見せればいいんだよ」

まるで呪文みたいな、えーしの言葉。

「うん」

わけもわからず、オレは返事した。
えーしの動きが、小刻みになって、オレの敏感な部分を責めてきて、感じてしまってることを隠せない声が出てしまう。
首や肩にくちづけられて、その、濡れた舌で汗ばんだ肌を撫でられる感触が心地よくて、気がつけば、

「すき、」

って、言葉がこぼれた。

「ココを、こうされるのが?」

熱っぽい口調で、えーしが言った。
そうだけど、それだけじゃない。

「えーしが、すき。いっぱい、すき」

気持ちイイことをしてくれるえーしも、
無理を言ってくるえーしも、
やらしいことしてくるえーしも、
真面目でコワイえーしも、
そして、オレのこと甘やかしてくるえーしも、
ぜんぶ、すき。

「えーしの、こと、すごく好き」

オレは、も一回、言った。
でも、えーしは、困ったように眉をひそめた。

「 ―――― ねえ、僕は皓也のこと、こんなに好きなのに、優しくしたいだけじゃなく、どうして意地悪して泣かせたくなるんだろうね」

ひとりごとのように、えーしがつぶやいた。
その言葉ひとつひとつが、オレの胸の中のいちばん大事なところに、落ちてくる。
なんでか、うれしかった。すごく。

「・・・イジワルしても、いいよ」

だって、えーしは、本当にはヒドイことはしない。

「そんなことを言うと、僕はどんどん皓也にワガママになっていくよ」

なんか、わかんないけど、なんとなく、それってオレのこと独占したいって言ってるみたいに聞こえてきて、オレは、えーしのことを抱きしめたくなった。

「いいよ。オレ、えーしなら、いい」

ゆるやかに穿たれるあまやかなリズムみたいに、えーしになら、許せる。

「えーし、オレに、もっと、いっぱい、イジワルして」

そぅ言ったら、えーしが、すごくコワイ顔をして、「知らないよ」って言った。そうして、オレの腰をつかんでいたえーしの手が、オレの濡れてたちあがってる部分にふれてきた。
そこ、そんなにしたら、すぐにいっちゃいそうになる、のに。

「あ・・ん、ダメ、そこ、・・・だめ」

だめ、って言うのは、もっとシテ、ってことだって、えーしは知ってるから、やめてくれなくて、更に、追いつめられる。

「も、・・い、っちゃぅ」

「うん、イくんだよ」

えーしの荒々しい呼吸音がオレの身体を、とろけさせる。
全身の血液が腰の部分に集まってきたみたいに、
熱くなっててて、
甘く疼いてて、
奥のトコ、ぐりぐりいじめられて、溶けちゃいそうになる。
そして、ダメになっちゃう部分を責められつづけて、がくん、と意識が一瞬、飛んだ。
―――― その瞬間、オレは手を伸ばして、えーしの身体にしがみついた。
こらえたつもりの声は、でも、きっと、えーしに聴かれたはずだ。
熱で高まっていた身体は、ゆっくりとほどけていったけど、イってしまっても、あまくうずいたままの身体のどうしようもない感じがつづいて、えーしの熱を含んでるところが、きゅうぅぅっとなって、えーしのカタチがリアルに感じられたとたん、 かすれた声で名前を呼ばれて、首筋に歯を立てられた。
その甘い痛みと、放出の余韻に、もっと、えーしが欲しくなる。

「だ・・して、」

そんなふうに、ねだったら、真剣な表情をしているえーしの顔がさらに険しくなった。

「えー・・し、おねがぃ」

えーしの眉間にくっきりと、シワが刻み込まれた。そして、聞き慣れない、荒々しい言葉を、えーしは言うと、オレの身体を乱暴にベッドに押さえつけ、もっと激しく腰をうちつけてきた。
壊されてしまいそうで、でも、えーしがいとしくてしかたなくて、オレは、えーしの名前を呼び続けた。
そうして、
えーしは、動きをとめると、息を詰めるような声をもらして、オレのなかでイった。
何度も何度も腰をふるわせて、熱いのでオレの中を濡らしつくすと、オレの身体におおいかぶさって来た。
その熱くて汗に濡れてるえーしの身体の重みを受け止めてるのが、オレはたまらなく、こうふくで仕方がなくて泣きそうになる。
しばらく、荒い呼吸をくりかえしていたえーしが、いっそう、大きく息を吐くと、もぞりと身体を動かした。
解けてしまう抱擁が淋しくて、オレは知らずに腕に力を入れた。

(・・・あ、)

そのまま抱き起こされて、オレはえーしの身体をまたぐかたちになった。

「え、えーし、・・・これ、やだ」

こーゆーふーなのでしたことあるけど、 ―――― なんか、慣れなくて、いつも、イヤって言ってしまう。
戸惑ってると、
えーしのが、オレのなかで、また、おっきくなってきた。

「・・んっ、えーし、だめ」

って、お願いしたのに、
えーしは、大人っぽい笑みを浮かべると、たのしそうに言った。

「僕のワガママを聞いてくれるんだよね?」





( おわり )





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