おっさん探訪記

あに

文字の大きさ
上 下
1 / 108

陽気な女神

しおりを挟む

 タンタカターンタンタンタンタンタカターン!
「はい!というわけで決まりました!」
 うるさい女神のような格好の奴が喋っている。

「…あ?」
「あなたにこの世界に来てもらうことが決まったの!ほら喜んで!ウヒョーとか言って!」

「…あ?」
「いやーん、やめて!メンチきるとこわぁい!だ、か、ら、メンチはダメだぞ!」

「…なんで?」
「あーよかった。あ?しか知らないのかと思った!で今からダーツ投げてもらうから!パジェロ!フゥ!パジェロ!的な?」

「…それ古いから」
「いやぁ、知ってるってことはそれだけで嬉しいもんです!では1回目投げます!」

「…お前が投げるの?」
「遅い遅い!投げちゃうとこだったじゃん!そう!君がな、げ、る、の、さぁ!投げて!」

“トス”
「わお!真ん中、ど真ん中!えっ!もしかしてダーツ得意?って次の体勢に入って投げちゃうの!」
“トス”
「うわぁお…また真ん中じゃね?これはもしかしてーの!」
“トス”
「うおー!ハットトリック!決めちゃったのね!やっちゃってるし」

「…はぁ、で?何がもらえんの?」
「どうしようかな!本当はなんでもあげるってことになってるんだけど!ハットトリックなんて初めて見たし!じゃー三つ選んでちょもらんま!」

「…んじゃ、これとこれとこれ」
「迷いなし!凄い!普通は1日とかかけて選ぶもんなんよ?あなた凄い!うわぁ!こりゃ惚れちゃうぜ!ってことでもう一個選んでいいよ」
「…悪いな、じゃあこれで」
「ふぅー!クールですね!」

「…で?これ持ってどうしろって?」
「あ、楽に生きちゃってください!別にこれと言って使命とかないんで!」

(って言われて来てみたけど…これどうみても森の中だよな?まず一つ目が剣術極)
 走って来たゴブリンを手刀で斬る。
「…っふぅ」
(こいつの剣を貰えばいいか、つか、まんまゲームだな)

「…鑑定」
『鉄の片手剣』
(二つ目も良好か、三つ目は収納)
 ゴブリンがいなくなった。収納に入ったようだ。
(ふぅん、頭の中にあるのはわかるな)

「よし…行くか」
 道は山道が続いている。

「おっ!そこの兄さん!ここは通行禁止だぜ!」
「通りたかったら持ってるもの置いて行け」
「ぐぶぶ!でも、どられぢまうげどな」
(山賊?盗賊?まぁ、どっちでもいいか)
「…どけ」
「…どけ!じゃーねーよ!」
「ぐぶぶ!にでる」
「あはは、お前みたいなやついくらでもみて来てるって」
 3人のチビ、ノッポ、デブの盗賊は賞金首らしい。
(鑑定でここまでわかるんだな。まぁいいか)
“シュパパン”

「おご」
「げぇ!」
「いだっ!」
 のたうち回る3人のうちデブとノッポにトドメを刺すと収納する。
「…アジトはどこだ?」
「ヒェッ!こ、ここっちに」
 よく見るとここからそう遠くない位置に小屋が見える。
(相当腕が立ってここに立てたのか、それともバカなのか)
「あ、あの」
「…死ね」
 チビにトドメを刺すと収納する。

 道はデブが通った跡なのか草が左右に薙ぎ倒されている。
“ガギャッ”
 小屋の前に立つと扉を蹴り飛ばす。奥に立っていたやつまで一緒に蹴り飛ばした様だ。
(やけに重い扉だと思った…)
 饐えた臭いに敏感な鼻が反応するが構わず中に入って行くと、大男がそこで酒を飲んでいた。椅子に死体を使ってるようで気持ち悪さが強調されている。

「誰だテメェ?チビ達はどうした?」
「…死んだよ」
「あ?死んだか…おめぇが殺したんだろ」
「当たり前だろ?」
「殺されてえのか!」
 
 立ち上がると天井スレスレで本当に大男なのがわかるな。
(…やはり死体か)
 裸の訳のわからない死体を椅子にしていたようだ。
「どこみてやがる!おらぁぁ!」
 でかい大剣が振り回されると小屋が半分吹き飛ぶがそれより早く大男の首が飛ぶ。
「…はぁ、汚ねえな」
 収納に大男を取り込むと逃げていくドアの下敷きになってたやつに向かって剣を投げ、突き刺さるとトドメを刺しに行き収納に入れる。
 これで盗賊団が壊滅した。
(さて、物色しないとな)
 無言で物色していると金貨を大量に収納する。マジックバッグと呼ばれるものなども鑑定して収納していく。
 ご丁寧に脱がしてから甚振ったようで傷一つない防具など何着も出て来たので自分に合うものはそれに着替えていく。
 ギルドカードなどはまとめて置いてあったので収納し、他に人がいないか確かめるが、生きているものはいなかった。
 弔う方法がなかったので死体は収納にいれる。

 あまりにひどくてそこで吐いてしまうがこっちに来てから何も口にしていないので胃液しか出てこない。
(あぁ…胸糞悪いな)
 山道に戻り逆に向かって歩く。
 何故ならそちらの方に見せに行った方がこれからここを通る人が増えるはずだからだ。
 下り坂なので運動がてら駆けていく。

 早く口を濯ぎたいのだ。

 やはり近くに街があった。しかも結構立派な街だろう。石造りの塀が長くに渡って作ってある。真ん中に門が見えたのでそこまで行く。
「はぁ、はぁ、はぁ、」
「おう?どうした、走って来たのか?しょうがねぇな!っと!」
 水の入った竹筒を口に含むとうがいをして吐き出す。
「おまっ!ひでぇ奴だな!おい!」
 そのままゴクゴクと音を鳴らして飲むと。
「っは!…盗賊はどうすればいい?殺して来た」
「は?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

達也の女体化事件

愛莉
ファンタジー
21歳実家暮らしのf蘭大学生達也は、朝起きると、股間だけが女性化していて、、!子宮まで形成されていた!?

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

女体化入浴剤

シソ
ファンタジー
康太は大学の帰りにドラッグストアに寄って、女体化入浴剤というものを見つけた。使ってみると最初は変化はなかったが…

名前を書くとお漏らしさせることが出来るノートを拾ったのでイジメてくる女子に復讐します。ついでにアイドルとかも漏らさせてやりたい放題します

カルラ アンジェリ
ファンタジー
平凡な高校生暁 大地は陰キャな性格も手伝って女子からイジメられていた。 そんな毎日に鬱憤が溜まっていたが相手が女子では暴力でやり返すことも出来ず苦しんでいた大地はある日一冊のノートを拾う。 それはお漏らしノートという物でこれに名前を書くと対象を自在にお漏らしさせることが出来るというのだ。 これを使い主人公はいじめっ子女子たちに復讐を開始する。 更にそれがきっかけで元からあったお漏らしフェチの素養は高まりアイドルも漏らさせていきやりたい放題することに。 ネット上ではこの怪事件が何らかの超常現象の力と話題になりそれを失禁王から略してシンと呼び一部から奉られることになる。 しかしその変態行為を許さない美少女名探偵が現れシンの正体を暴くことを誓い…… これはそんな一人の変態男と美少女名探偵の頭脳戦とお漏らしを楽しむ物語。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

処理中です...