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第五章 守護者とコアと中年冒険者

アンコと中年

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 東京ダンジョンから帰って来たら、アンコのようすがおかしい。
 部屋から出て来ない。

 お土産も、買って来たんだが。

 とりあえず何があったのか、モッチーなら知ってるかな? マロンも何か隠している様だし。
 林さん達の様子も見に行かないとな。


 ラボに入るとモッチーはいない、やっぱ家の方かな? 扉を通り、家の中に入ると外から音が聞こえる。

 ドロップと土玉を渡してこようと家の外に向かうと、

「うぉっ! 何してんだ? こんな所で」
 
 階段下の狭い所に挟まっているモッチー。
 引っ張り出すと、手にはボロ切れと壊れたおもちゃ?

「どーした? てかただいま」
「うっうぅぅぅ!」
「こえーよ、どーしたんだよ」
「アンコちゃんがご乱心だ」

 アンコが? って、それを聞きにきたんだった。

「……お前、何かやらかしたのか?」

「……したといえばした。俺ではないがどーしようもない」
 いつものモッチーじゃないな。

「はぁ、いってみろよ、俺が出来る事ならやってやるから」

「本当か? じゃーアンコちゃんと結婚を」
「できるか! あんなちっちゃい子と!」

「……アンコちゃんがカズトの好きな身体にってノセにいうから、あの身体になったのに……そのせいでノセは、今北海道ダンジョンに放り出されてハウスに入れなくなっている」

「……だいたい分かった気がするが分かりたくないなぁ。
 アンコが言ってたのは恋愛対象ってことか? 嫁がいるから他の女は要らないぞ」

「そーですが、もう身体の再構築は無理らしく、半狂乱のアンコちゃんがせっかく作ったクララの服を」


 ボロ切れは服だったのか、
「東京ダンジョンで、年齢詐称のスキルスクロールがあったが使えるか?」

「んーどうだろう、若返りの妙薬の逆があればいいのに」
 歳をとるのか? 欲しくないけど、

「探せばあるんじゃないか?」

「そっか、そだな! それをアンコちゃんに……カズトが言って来てくれ」

「なんでだよ」
「俺はあれから口も聞いてもらえないからだよ!」

 あまりにも情けないので、
「はぁ、仕方ねぇなぁ。行ってくるわ」
 とアンコの所に、

「アンコーちょっといいか?」
「……はい」
 ドアから出てきたのは、いつものキチッとしたアンコだ。
 ちょっと安心したわ。

「ぶっちゃけて言うと、アンコは可愛いぞ?」

「……子供としてですよね?」
 ……それ以外の何があるんだよ。

「まぁそうだな、でモッチーとノセが、若返りの妙薬の逆があるんじゃないかって「あるんでふか!」」

 ……噛んでるし。

「絶対とは言えないが、あるんじゃないか? そろそろノセも許してやれ」

「分かりました! あいつらを使ってなんとしても探してみせます!」
 これでいいのか? まぁ元気が出たみたいだし。

『ノセ、なんとかアンコの許しが貰えたぞ、北海道ダンジョンの扉の前な』
『モッチー、話通したからラボな!』
 と念話して、北海道ダンジョンの扉を開くと、

「お兄さん! ぼ、僕ガハッ!」
 ……アンコってけっこう強いのな。
 
 ボディーに一撃喰らって、屍になったノセを、アンコが引き摺りながらモッチーラボへ入っていった。

 俺もラボに入ると、
「お前らは私に嘘をついた」

「「サーイェッサー」」

「とても傷付いている」

「「サーイェッサー」」

「なんとしても逆若返りの妙薬を手に入れるのだ!」

「「サーイェッサー」」

「よし、いけ!」
「「ゴーゴーゴーゴー!」」
 とハートマンが繰り広げられる。
 ……アイツらはどこに行ったのだろうか?

 まーいっか、と扉から一軒家に戻り、家の外へ。

「……ここまで変わるか」

 なんという事でしょう、
「おーカズト、どうだこの出来は?」

「匠の技ですね。凄いとしか言いようがない」
 
「まーあとは細々とした作業だからなぁ、ゆっくり見ていけよ」

 東京土産を渡すと、
「これなんだ? 泥と泥だんご?」

「泥は石なんかを混ぜると、コンクリートより固くて軽いものになるようです。
 土玉は畑に入れると養分としていいみたいですよ」

「ダンジョン産か?」

「そーです、軽い仕事や家庭菜園にでもと思いまして」

「こんなに使いきれないぞ?」

「皆さんで分けて下さい、その為に持って来たんですから」

「そうか、畑持ってる奴もいるし、ありがたくもらっとくよ、まぁゆっくり見てってくれ」
 とみんなに渡しに行った。

 俺は家をブラブラしながら見ていたが本当に素晴らしい。
 ここに住んでもいいくらいだな。


 今日は斎藤さんが来ていたみたいで、

「お疲れ様です、最近どうですか?」
 と挨拶しに来てくれた。

「お疲れ様です、東京のダンジョンのほうにいってましたよ」

「東京ですか、もしかして美容グッズとか?」
 有名なのか?

「その様で。嫁と一緒にとってきましたよ。
 美容グッズはないですけど、警察でこれなんか使えるんじゃないですか?」
 とG印の筋トレグッズを出す。

「なんですかこの量は! あ、ダンジョン産ですか?」
 まだ出回ってないんだろうな。Gの事は黙っておこう。

「あげますよ、効果のほうはどれくらいか分かりませんけど、使って下さい」

「千社さん、お聞きしますがこれって何層辺りの?」

「んー、秘密ですが、18ですよ」

「えぇ! 本当ですか? 絶対高額になりますよ! 受け取れませんよ!」

「あぁ、どーせ使わないんでワンセットだけでも、持っていってください。効果を教えてくれればいいですし、お土産ですよ」

 まぁ、効果はあるだろうが、使わないものを持っててもしょうがないし。
 真面目な斎藤さんならちゃんと使ってくれるだろ。

 マジックポーチに入れて渡すと、
「いや。流石に高額すぎて貰えません」
 真面目だな、

「んじゃ、その内借りにきて下さいよ。いつでもいいんで、ね?」

「分かりました、その時はレンタルお願いしますね」
 まぁ効果も見てないしな、ノセのポニョポニョボディーがどうなるか見てからでもいいな。

 てかそろそろ時停倉庫を片付けないとなぁ。

 要らないものがドンドン増える。

 斎藤さんと別れて、モッチーラボに帰ると出て行ったはずのノセがいた。

「どうした? 見つかったのか?」

「モッチーさんと話して、お兄さんに手伝ってもらった方がいいって……お願いします!」
 ちょうどいいか、
「ほれ、今日はこれ使って筋トレしてみろ? ダンジョンは一緒に行くけど、今日は休むぞ?」

「はい! じゃあ明日からよろしくお願いします。筋トレ頑張りますねー!」

 と走っていった。

 ハウスに帰ると、アンコが元気になっていつにもましてべったりしてくる。

 まぁ可愛いからいいけどな、お土産を渡すと飛び跳ねて喜んでいた。
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