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第八十四話

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「へぇ、こりゃいいや!」
「私がデザインしたの!」
「そっか!嬢ちゃんありがとよ」
 ガイツにマジックバッグを届けにきた。今日は俺とミリム、グレンで来ている。
 
「嬢ちゃんは斥候か?そのダガー見せてみな」
「ん?はい」
「あー、こりゃいかんな。待ってな!」
 裏から持ってきたのはガイツ特製のダガーだ。
「これは俺からのお返しだ」
「やった!ありがとうガイツさん」
「いいってことよ」
 嬉しそうに腰につける。

「ガイツ、あとこれをまたよろしくな」
「おっ!任せろ!」
 皮を持ってきたのでまたお願いしておく。

 もうみんなマジックバッグは装備しているので今度は売るために作ろうかと思っている。
 『ブラウン』を出て建設途中のクランハウスを見に行くとかなり出来上がっている。
 やはり魔法があるこの世界では建築の仕方も変わってるようだな。
「おっ!ルシエ!見にきたのか?」
「あぁ、これみんなで飲んでくれ」
 と酒樽を置いておく。
「おぉ、こりゃありがてぇな!どうだ?この出来栄え!」
「あぁ、凄いな」
 3階建ての建物は後は内装と窓を取り付けるだけのように感じる。
「あと一週間ってところだな」
「そんなに早いのか?」
「これでも少し遅れてるんだ、まぁ、間に合わせるから心配すんな」
「いや、心配はしてない。そんな急がなくていいからな?」
 ミリムもグレンもここが自分達の家になるのが嬉しいようだ。

「クランハウスが出来ると宿暮らしともおさらばだな」
「グレンは宿は嫌だったか?」
「いや、みんながいる方が落ち着くから宿の方がよかったが、家があるというのもいいな」
「あはは、私は自分の部屋が出来るのが嬉しいです!」
「そうだな。俺もこんな買い物は一生に一度だろうな」
 金がかかってるんだ、しかも前の世界じゃ考えもしなかったからな。
「えへへ、凄いですねぇ」
「だな。家具なんかも買わないといけないな」
「あっ!見に行きましょうよ!」
 という事で家具を見に行く。

 ソファーにダイニングテーブル、椅子にデスクなど見て回るがさすがに13人だからそこまで大きなものはないな。
「特注だな」
「そうですね、これはみんなで決めないといけませんね」
 とりあえずカタログを貰い宿に戻る。

「おぉ!これいいじゃねーか!」
「趣味悪!あんたの部屋に置きなさいよ!」
「なんでだよ!なぁ!これいいよな?」
「いや、それは」
「クソッ!わかんねーかな?このかっこよさが!」
 ラビオンは渋い黒のソファーを選んでいる。
「やっぱピンクよね?」
「ないない!だったら白!断然白!」
「汚れが目立つ!ここは無難に茶色でしょ!」
 ここでの男の意見はないと思った方がいいな。
 
「あと一週間くらいだそうだ」
「え!はやっ!じゃー早く選ばなきゃ!」
「まぁ、出来上がってから決めてもいいと思うぞ?」
「そ、そうね!じゃー、自分の部屋のものは決めないとね!」
 とやっぱり色々と選ぶのが楽しいらしい。


 一週間なんてあっという間に過ぎて、いよいよ受け渡しだ。
「よう!来たな!これが鍵だからなくすなよ?」
 ちゃんと人数分用意してくれている。
「じゃー、中を見てくれ」
 まず入るとリビングダイニングが広がっている。
「広いねー!ここに集まるんだね!」
「テレビがあったらよかったのに!」
「ミリム?テレビって何?」
「あー、こっちの話だから気にしないで」
 やはりテレビがないと物足りなさがある。
「で、こっちが大浴場だ」
「「「「おぉーー!!」」」」
 男女交代で入れるように大きめに作ってもらったからな。
  
 全体的に白に木目がアクセントになっていて落ち着いた雰囲気だ。
 1階は他にもトイレやキッチン、洗濯場や作業部屋が二部屋あるのでそこを一通り見て回る。
 2階から各部屋になっていて、八部屋ずつあるので3部屋余るが、そこはまぁこれから増えるかもしれないからな。

 俺たちのクランハウスは完成し、ここからまたスタートとなる。 

 家具選びは難航したが、リビングソファーはブラウンの落ち着きのあるものを特注し、ダイニングテーブルも木目が綺麗なものを特注で注文した。

 俺の部屋は2階にある、窓は全ての部屋についているし、俺の部屋はベッドと椅子とテーブルが置いてあるだけのシンプルな部屋にした。
 スロウスなんかはベッドだけの部屋だし、みんなそれぞれ個性がでている。

「飯だぞー!」
「呼んでくる!」
 とリミが飛び起きて呼びに行こうとすると上からゾロゾロと降りてくる。
「飯だ飯だ!」
「いいね!こういうの!」
「お腹すいたぁ!」
「スロウス君!起きてよ!」
 賑やかだなぁ。

 飯の後はリビングでくつろぎながら酒を飲む。
「あぁ、美味い酒だ」
「ラビオンはいつでもでしょ?」
「これが違うんだなぁ」
「わかるよ!だってあたし達のハウスだもんね」
 ということでクランハウスも出来上がりここを拠点にしてダンジョン攻略していくか!

 次の日は訓練所組が休みなので10階層まで行く。
 まぁ転移陣は登録してあるので7階層まで降りて登ってくるだけだが、殆ど5人にやってもらう。
 スロウスはティムしているのはハニービーが2匹だけなのでまたテイムしに行かないとな。 
 テイマーは『契約獣空閑』があるのでそこにティムしたモンスターを入れておける。
 俺の収納と似たようなものだな。

 2体のオークが出てくると。
「行ってハニービー」
 1匹のハニービーが撹乱している間に、
「うぉぉ!」
「てや!」
 とラムザとミリムが攻撃して、
「ファイヤーボール」
 ミリアの魔法でトドメだ。
 もう1体はグレンが倒している。
 まぁ、危なげなく倒しているのでヨシとしよう。
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