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第四十六話
しおりを挟む『ラスト』はポイントが奪われた事で俺に標的を定めたようだ。
『あぁ!腹が減った!!お前が先だ!!』
“ヒュンッ!!”
「オラァ!!!ガハハ!盾士舐めるなぁ!!」
ワルツが尾節の攻撃を受け止め、そして弾き返す。
「『抜刀!一閃』」
“ガィンッ”
と鋏で一閃を弾き返される。
「『アイシクルランス!』」
「『サンダーエンチャント!』」
「オラァ!『ライジングインパクト!!』」
アイラの魔法が刺さり、アビーが雷を付与した大剣でラビオンが斬りかかる!
『グァッ!こ、小癪な!!『ヘヴィシザー!』』
「カッ!ぐ、グフッ!!」
「ラビオン!」
鋏の攻撃をモロに受けたラビオンが吹っ飛ぶ。
「ウッ!グゥッ!!」
後ろに転がったラビオンにウリンが近づきポーションを飲ませる。
『じゃまをするなぁぁぁ!!』
『ラスト』が尾節を振り回す。
「グァッ!」
「きゃあぁ!!」
俺たちは数メートル弾き飛ばされる。
「く、くそ!」
皆が立ち上がるとラビオンが剣を構え『ラスト』と対峙していた。
「本当に強過ぎるだろ」
『クフゥゥ…お前ら、さっさと餌になりなよ?』
「いやいや、ならねぇっつーの!」
『大丈夫…気持ち良くしてあげるから!』
「そんな女の誘い文句は嬉しくないねぇ!!」
大剣を振り下ろす、回転斬り、袈裟斬りと連続して攻撃するが、『ラスト』の鋏で受け止められる。
『ほら!捕まえ』
「『パリィ』!させるかよ!!」
『チッ!!うっ!クゥッ!!』
尾節でラビオンを刺そうとしていたので間に入り『パリィ』で弾く。そして突き、斬り上げ、回転斬りと俺もつなげて攻撃を繰り出す。
ラビオンと2人で連撃を繰り出し、『ラスト』に攻撃の隙を与えない。
「「ウォォオォォ!!!」」
『クッ!』
堪らず後退する『ラスト』だがそれを追いかけ連撃を止めない!
『行くぞ!『レイ』』
『グァァアァア』
ウィル・オ・ウィスプが合図をくれたので2人で飛び退くと、光のビームが『ラスト』を貫く。
「ウォォオォォ」
「オラッ!!」
俺とラビオンの剣が『ラスト』の腕を斬り落とす。
『グギャアアァァァ』
もうポイントがないので『再生』はしないだろ!
「もういっちょ!!」
「オラァ!!!」
俺とラビオンの剣は『ラスト』の首と胴体を斬り裂く。
「よしっ!!」
全員無事だったことが何より大事だな。
「ふぅ、これで終わり?」
「それより、こんな時にあっちから来てるのって」
アビーが指差す方を向くと、大勢の冒険者がこちらに向かってきている。
「はぁ、何もこんな時に…」
「ん、えっ!ちょっとまって!」
「ん?」
リミが指差している方を見る。
胴と首を斬り裂いたはずの『ラスト』の死体が残っている?『グラトニー』の時だって消滅したから消えてしまうはずなのに!
「離れるぞ!!」
すぐに動き出すが少し遅かったようだ。
『グオオォォォオォォォォォ!!!!』
巨大な蠍の化け物が『ラストの下』から迫り上がって俺たちを弾き飛ばす。
「うおぉぉ!」
「キャアァァァァ!!」
砂の上に落ちた俺たちは体制を整え、武器を構える。
だが、あまりの巨体の前にリミ達は怯えている。
「アイラはどうした!」
「た、多分反対のほうに落ちたみたい!」
こちらにいるのはリミ、ネイル、ウリンと精霊のウィル・オ・ウィスプだ。
「クソッ!」
『我が見て来てやろう!』
と言ってウィル・オ・ウィスプは飛んでいく。
とりあえず目の前のこいつをどうにかしないとな!
「やぁやぁ!私達『スピア・オブ・ディスティニー』が来たからには『情欲のラスト』!貴様には死、あるのみだ!!」
前方から聞こえてくる声はやはり『SOD』か。
まぁ、戦力が増えるのはありがたいが、黙って攻撃して欲しかった。
「リミ、ネイル、ウリン!とりあえずこの難局を乗り越えるぞ!」
「うん!」
「はい!」
「よし!ルシエに従うからよろしくな!!」
とウリンが言い、俺たちは即席のパーティーを組む。
“ドォン、ドォン、ドォン!!”
と上空で爆発音がし、降りてくるのはウィル・オ・ウィプスだ。
『あちらに他の4人は集まっていたぞ!こちらのことも伝えておいた』
「よし!ラビオン達と一緒なんだな!リミとウィルは遠距離で攻撃!ネイルとウリンは俺と一緒に行くぞ!!」
「「「了解!」」」
「やっちゃって!ウィル・オ・ウィスプ!!」
『分かったよ!愚者火!!』
遠距離でリミは弓、ウィルは魔法で攻撃をし始める。
巨大な脚が動き出し砂埃を上げる。
『グオオォォォオォォォォォ!!』
“ドォオォォォォォン!!!”
と尻尾を地面に叩きつける。
ゴゴゴゴゴゴと地鳴りがし、地面が盛り上がる。
「第一部隊!!撃てぇー!!」
俺たちのいる方、『ラスト』の左側に攻撃魔法が次々と放たれる。
“ドォン!ドォン!ドォン!!”
第一部隊と言えばあの女のような格好の男か!
「ビンゴ!やっぱりこっちにいたんですね!これでヴァンは悔しがります!」
ダイスが空中を飛んでくる。
「さて、こんな蠍ちゃんは早く倒しちゃいましょう!」
と杖を上に掲げ。
「『神の鉄槌』」
“ドッゴォォォォォン!!!”
と空から雷が落ち、大蠍は一瞬で黒く染まる。
「よし!ほらね!」
こっちを向くダイスは無邪気な笑顔を見せる。
「すごいな」
「古代魔法?!」
とりあえずこちらに被害が無くてよかったが、コイツは仲間も巻き込むつもりか?
「おい!一言言ってから使え!」
「ん?いないの確認したから大丈夫でしょ?」
喧嘩をしている状況じゃないが、俺はこいつが嫌いだ!
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