外れスキルと言われたスキルツリーは地球の知識ではチートでした

あに

文字の大きさ
上 下
34 / 95

第三十三話

しおりを挟む


「はぁはぁ…」
 ルックは自分の体に傷がつくのもお構いなしに攻撃してくるので反撃しずらい。
「あはぁ!お前こんなに強かったのか!もっと来い!こんな気持ちのいいのは初めてだ!!」
 なんとか攻撃を凌いで弾いて距離を置く。
「…なんなんだ?お前は?」
「あは、俺様はルック、男爵家に仕える兵士だよ!」
「『パリィ』クソッ!お前はそれだけじゃないだろ!」
 攻撃を弾き返すと後ろに下がる。
「『ファイアボール』」
「来て『サラマンダー』」
『よし来た!いっくぞーー!』
 とリミとアイラが助けに入ってくれる。
「おいおい、俺とお前で気持ちいいことしようじゃねぇかよ!」
「うっさい!気持ち悪いんですけど!」
『ファイアーボール』
「まぁ何人でもいいけどなぁ!『回転斬り』『スラッシュ』」
 と簡単に魔法を打ち消す。
 やばいな…鑑定でルックを見る。

「そう言うことか!んじゃ遠慮なくいくぞ!」
「あはぁ…なんだ?ようやグハッ」
 『気配遮断』で背後にいたネイルが斬ると、
「がら空きだよ『抜刀飛燕』『兜割り』」
「グギャアアァァァ!!」
 前がガラ空きになったので飛燕からの兜割コンボでルック…いや、ルックの皮を被った化物を斬る。

「やったの?!」
「まだだ!畳み掛けるぞ!」
「わ、私達もやります!」
 ネイルはもう脱していたので遠距離で攻撃する。

「ガフッ!いいぞ!気持ちいいぃぃぃいぃ!」
「くそ!お前はもう倒れろ!」
 フラフラのルックに最後の一太刀を浴びせると倒れるルック。
「…あ、りが」
 砂に変わるルックにみんな驚いている。

「な、なぜ?」
「コイツはその50階層の化け物に眷属にされてた様だ」
「化け物?!眷属?どう言うことだ!」

 俺に聞かれてもわからないので俺は首を振る。
「だが、コイツはどこかで蠍の化け物に遭ってるはずだ、眷属にされたのもその時だろう」
「蠍の化け物…」
「そいつが50階層から上にいるから侵入禁止になっている」

 俺はルックの灰になった体を探ると真っ赤な宝石が出て来た。

 鑑定をかけると『傀儡の宝石』らしい。

「サラ、一緒に30階層にいって帰るぞ」
「は、はい」
 サラのメンバーは魔法使いのジュエルと槍師のライドだ。
 七人で先に進む。

 晩飯時になって、ようやくルックの事が聞ける。
「あのルックって男は50階層に行ってたのか?」
「たぶん、これが初めてのダンジョンではないですから」
 サラがそう言うなら50階層に行っててもおかしくないか。

「前は兵士長が訓練でルック達を連れてダンジョンにいってたよ。たしかダンジョンで兵士長が亡くなった時、一緒にいたうちの1人がルックだったよ」
 ライドがそう言う。
「ならその時には眷属化されてたな」
 たぶんラビオン達の言ってた蠍の化け物にこの『傀儡の宝石』を埋め込まれたのだろうな。

「わ、私は、あのまま行ってたらどうなっていたことか…」
「たぶん化け物の餌にされてただろうな」
「ルックが連れて行く役目か…」
 ジュエルは天を仰ぐ。
 仲間だと思ってたやつが自分らを化け物に食わせるために連れて行く役目だとはな。

 ルックが眷属化されてたのは十中八九、ラビオン達の言っていた喋る蠍の化け物だろう。
 もしかしたらまだ眷属化されている人がいるかもしれないな。
 早く帰ってギルドに報告しなければな。

 28階層、
 グレートモスだ。デカい蛾だな。痺れる粉をばら撒いてくるので早めに倒す。
「『抜刀・飛燕』」
 俺はさっさとグレートモスを斬り裂く。
「『炎の刃』えぇい!」
 サラも頑張っているな。
 他のみんなもさっさと倒して行く。
 一番心配してたサラも難なく倒して行っている。

「サラは魔法剣士か?」
「そ、そうです。これでも50階層に通用すると思ってました」
「普通なら通用しそうだが、今はな」
「そんなこと…でもその蠍の化け物な規格外なんでしょうね」
 強い上に今度は眷属化…さすがに俺たちには荷が重いな。

 29階層、
 コカトリス。尻尾が蛇になっている鳥の化け物だ。石化をしてくる嫌な相手だ。
「嘴と尻尾の蛇に気をつけろ!」
「分かってるって!そりゃ」
 リミの矢が蛇を射抜くと、
「アイシクル」
 アイラが氷の魔法でコカトリスにダメージを与える。
『グァァアァア!』
「ここっ!っと」
 ネイルがトドメを刺してコカトリスはドロップに変わる。

 30階層、ボス部屋に入る前に休憩だ。
「サラ、誰が蟹星病なんだ?」
「…はい、私の母が」
「そうか」
「母と言っても実の母ではないんですが…」
「…そうか」
 サラは正妻の子だったはず…母じゃないって事は第二夫人か。男爵も酷な事を命令するな。
「まぁ、薬は俺が持ってるからダンジョンから出たら渡すよ」
「あ、ありがとうございます」
 第二夫人と言ってもサラからしたら赤の他人、他人のために命を張ってこのダンジョンに潜らせるなんてな。


「30階層はたしかバジリスクよね?」
「ラビオン達から聞いた話だとな」
 たしかバジリスクはヒキガエルの下で孵化した鶏の卵から生まれ、コカトリスは蛇が孵化させた鶏の卵から生まれる。
 地球にいた頃何かで見た覚えがあるが、ラビオン達の話だとトカゲの様な見た目で、遠距離で戦えば勝てると言われたな。
「アイラ、魔法を頼むな!リミはいまから精霊召喚しておいてくれ」
「はい!」
「分かった『来て!サラマンダー!』」
 よし、それじゃバジリスク退治と行きますか!
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...