王霞珠玉

あに

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第4章 五個目のダンジョン

五個目のダンジョンと石頭

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ギルドに着くと、中は怪我人だらけでしょうがないから俺らも手伝う、エリアヒール使って殆ど治した。
みんな驚いていたがギルマスがきて連れて行かれる。
二階の事務所のようなところで泣きながら
「ありがとう!ありがとう!」
と顔の怖いおっさんが感謝してるのはやっぱり怖い、ルドルフから預かっていた手紙をカナエが渡すと顔付きが変わり、
「話は聞いているよ、よく来てくれた、儂がギルマスのパーシーじゃ!」
名前可愛いじゃねーか!笑うとこだったわ!ってこいつら三人は!カナエまで笑ってんじゃねーよ!
「気にするな、俺の名前で笑ってくれたら今度から金貨1枚払って貰うから!」
「カナエは?」
「あー、こいつは借金地獄だ!今も笑ったから加算しとくな!」
「そんな名前にしてるのが悪いんです!変えてくださいゴードンとかに」
霞月は分かるから大笑いしてるな、金貨1枚渡してる。
「でそのダンジョンはどこにあるんだ?」
俺がパーシーに聞くと
「ダンジョンはこのギルドの下だ」
「は?」
なんでそんなとこにギルド建てたんだ?
「王の命令で数年前にここにされた、それまでは王国騎士の管轄だったんだが、王令だと逆らえなくてな」
本当ここ腐ってんな!
「んじゃ行きますか!」
「んじゃ僕も!」
「ダチがいくなら我もいくでお、よ」
「いくしかないだろ!」
「本当に危ないんだが宜しく頼む!」
とパーシーは頭を下げてきた。
「軽い軽い!ちゃっちゃといこーぜ!」
「「「「おおー!」」」」
「お前は要らない!」
なにちゃっかり入ってきてんだ!
「強いんでしょう?カナエくらい守ってくれてもいいじゃん」
「霞月、拳骨していいかな?」
「許す!」
「うそ!ごめん!でもダンジョンってお宝あるよね?」
「お前が一人で行けよ」
「死んじゃうから!私だけじゃ!」
「ゴンッ!」
パーシーが拳骨を落とした。
「悪いなこの馬鹿は面倒見るから」
と痛がっているカナエを簀巻きにしている。
「なーんでー!連れてってお宝ちょーだいよー!」「ゴンッ!ゴンッ!」
「行ってくれ!こいつはクビにしてやろうか!」
黙るカナエ、なんでこんなんが諜報員?

ギルド職員に教えてもらいダンジョン入り口に来た。血の匂いが強く、死臭がする。
扉を開けて中に入り扉を閉めて開かないようにしておく。

一層からオークの群れか、一般ならキツイだろうな、装備を整えて群れを駆逐していく、こいつら多いな、氾濫寸前まで来てたみたいだな!
四人とも別れて広いダンジョンを掃除していく、宝箱があったので開けてみると魔鉄のインゴット。
ん?ここって、超上級より上なんじゃね?
とりあえずアイテムボックスに入れマップを確認しながら倒していく、隠し部屋もあるみたいで霞月がやっていたようにやると開いた、中に入り宝箱を鑑定すると睡眠罠、俺にはもう、効かないので開けると宝剣、これもアイテムボックスに入れ、またマップを頼りに走り回る。

ようやく俺の範囲が終わったので集合場所に集まる、霞月とソナタはいるがカナタがまだみたいだ、
「ここって超上級より「上だね」やっぱりか」
「なんか見つけたか?俺は魔鉄のインゴットと宝剣」
「僕も魔鉄のインゴットを二つ」
「我は魔鉄のインゴットと清水の水筒」
と喋っているとカナタが傷だらけで帰ってきた。
「どうした?そんな強い敵でもいたのか?」
カナタは恥ずかしそうに
「宝箱見つけて罠は睡眠だったんだけどいけると思って開けたら寝てて痛くて起きたらまたオークの群れがボコボコにしてた。勿論返り討ちにしてやったけどな!」
「な!じゃない!いま話してたけどここ超上級より上だぞ!一層だから良かったけど下手したら死んでるからな!」
俺が言うとへこんでる
「二層からは二組で動こう、ソナタ、しっかりな!」
「えー!またカナタのお守りでおじゃるかー!」
俺も霞月も嫌なので頷くと肩を落とすソナタ、
「ひどいって!俺はそんなに馬鹿じゃないぞ!」
「そうだ!だが聞いてると城での憂さ晴らしはもういいだろ!命かかってるんだ、もうちょっとしっかりしろ!」
と怒るとやはりやり過ぎなのは自覚してたみたいだな。

二層に入るとオークリーダーとパーティーを組んでる敵、こりゃ最下層は酷いだろうな!
と半々に分かれて行動していく、俺らはとりあえず倒してから探索をかけて色々探っていく、隠し部屋や宝箱の数も多くどれだけ人が入ってないかが伺える。

粗方片付けて合流すると、ソナタがありがとうと言ってきた、カナタが元に戻ったらしい、まぁ、アイツなりの理由でああしてたんだろ。

三層はジェネラルまで出てきてる、敵にはならないが気を引き締めて行かないと何があるかわからない。
また、二組に分かれるが今度はソナタと霞月、俺とカナタで行く事にした、回ってる間に話くらい出来るだろ。

大体回っていると、カナタから喋ってきた
「今回はすまなかったなキング」
「何か訳があるんだろ?喋って楽になるなら聞いてやるよ」
するとカナタは敵を倒しながら
「ソナタは甘やかされて人の気持ちが分からないでいた、何をすれば誰が怒るのか、誰が涙を流すのか、親が見捨てる程酷かった。
俺は妾の子、跡継ぎでは無い、なのにソナタはカナタが皇帝を継げばいいといいやがった。馬鹿にしやがって、とその時激しく彼奴に怒ってしまったが、何が悪いか分からないと泣いて謝ってきたよ。その後乱が生まれたが皇帝が亡くなった。後を追うように妃も、それからが大変だったよ、ソナタを皇帝にする事を反対する人間が多くて、俺を推す声も多かった。だが俺は彼奴の側近になる事で皆に誓った、乱が継ぐまで俺がソナタの面倒を見るからと、ようやく町がまとまり出したのはお前らが来る少し前からだったよ。」
ちゃんとマップを確認しながら罠まで解除して進みながら喋れるこいつはやはり有能なのだ。
「お前らが来てからソナタは変わった、同じ年頃の霞月が眩しく映るのか、たまに遠い目をして見ていたな。だが今度はお前らに甘え出した、着いていけばいい、なんとかなる、自分の意志でお前らと向き合っていないのが悔しくてな、ダチと言われて喜んだが勘違いしているからあんな格好で堂々とこれた」
裸の王様だったな、オニギリ大好きって感じ、
「やはり人と感性が違うのだ、お前らと会うまでの半年、俺はやりたいように、やりたくないように、アイツが嫌がるように、嫌われるように、ソナタがお前らに嫌われないようにやってきた。まだちょっと変わってるがその都度怒って欲しい!見放さないでやって欲しい、やっとアイツに出来た友達なんだ!よろしく頼む!」
と頭を下げて頼む馬鹿が一人、ちょいムカついてチョップ!ゲホ!
「あのなー!勝手に決めんな!アイツの個性はあいつのもんだ!知らなきゃ教えてやればいい!お前が一人で抱え込むことじゃねぇ!
何の為のダチだよ!俺のポリシーの中でのポリシーはダチだ!何があっても何をやってもそいつのダチである事、ダチだから喧嘩もするし、別れる時だってあるがずっとダチは続いてくんだよ!ソナタはソナタ!カナタはカナタ!分かったか?」
カナタは下を向いて頷くと、
急に立ち上がり頭突きをしてきた!
「目が覚めたぜ!よろしくな!キング!」
「うっせー石頭!たんこぶできんぞ?」
吹っ切れたのか楽しそうなカナタ、まぁこんなんで満足するならいつでも聞いてやるさ、
ダチなんだしな!
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