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第20話

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 SWTO、加盟国は166カ国・地域になり、その内の日本とアメリカに姉妹校を作り、SWT特殊異世界渡航者を保護、教育、そして派遣している。
 ダンジョンは少なく、6箇所にしか存在していない。
 魔石が貴重な為、ダンジョンを保有している国がダンジョンを管理し魔石を輸出している。
 日本、アメリカ、ロシア、イギリス、韓国、にあり、うち2ヶ所を保有している国は日本だけである。

 そしてまたダンジョンコアが発見された。

 今回アメリカが本気でダンジョンコアを取りに来ていたのは言うまでもなく、500億ドル、日本円にして約5兆6千億円で落札したのだった。
 
「あーぁ、スズ君は一気にお金持ちの仲間入りだな!」
 と暗い部屋の中でモニターに入力している。
「貴方ナメてるわね?私はコアを持ってきてと頼んだはずよ?」
「しょうがないだろ?俺は常に監視されてる。ここにくるのも月の為だ。お前ではない」
「…そう。私達を敵に回すって言うことね?」
「…これで取り引きは終了だ」
「じゃあ、その首洗って待ってることね」
 女はその場から消えてしまう。
「しょうがない…約束したしな」

 月明かりに照らされたその横顔は寂しそうに目を細める。

「…助けてやれなくてごめんな」


 SWS日本校では期末テストが終わった所だ。
「流石に今回は赤点ないだろ?」
「まぁ、アキの言った通りに勉強したらバッチリだったしな!」
「俺…自信ない」
 ヒカルは真っ白に燃え尽きている。
「何故だ!あれだけ教えただろ!」
 アキが怒るのも無理ないが、あの勉強法は合ってるのか?
「まぁ赤点取ったら帰れないんじゃない?」
「いやだ!それだけは嫌ぁー!!」
 九月から始まった一学期だ。年末が休みになっているのでみんな帰るために必死になって勉強していたのだ。
 ヒカルもアキのシゴキに耐えて頑張ったはず…あれでダメなら方法などない。

「それでなんでここで反省会なんですか?」
 職員室にある宇田先生の部屋に集まっていた。
「あはは、少しでも情に訴えようと思いまして」
「私はちゃんと採点してますよ?不正は人の為ならず!ちゃんと今後に活かしてください」
「ほら!やっぱり!赤点なんだ!みんな…俺はもう…」

「………はぁ、赤点を取った人はいません」
「「「「「えっ!」」」」」
「だから点数は言えませんが赤点を取った人はいないのですよ」
「…や、やった!やったよ!」
「あはは、ありがとうございます」
「だから私はきちんと採点したまでです。分かったら帰って下さい!」
「「「「「はい」」」」」
 赤点の基準が分からなかった為、俺らは宇田先生のとこに乗り込んだのだった。
 これで全員が無事に帰れることになった。

「あれ?あれサンちゃんさん?」
「あ!本当だ、帰ってきたんだ!お帰りなさい!サンちゃんさん!!」
 と走って向かっていると何かおかしい、サンちゃんさんは片腕を上げると前のめりに倒れていく。
“ギュン”
 と足に力が入り、
“ミシッ”と地面がひび割れる。

 一瞬で倒れるサンちゃんさんを抱き抱える。
「た…だいま…帰って…き」
「サンちゃんさん!アカネ!!」
 アカネはまだ遠くを走ってこっちに向かっている。
 血だらけのサンちゃんさんは背中を刺されてるようで血が止まらない。
「ま、待って!今行くから!」
「ヒュー…あ、はは…ドジった、な」
「喋らないで!くそ!」
 ポーションを取り出し飲ませるが効き目が弱い。
「はぁ、はぁ、せ、『聖なる祈り』」
 アカネがようやく来て聖女の回復を使う。
「はぁ…あ、あぁ、ここに来て不正解だった」
「何してるんですか!死ぬ所だったじゃないですか!」
「あぁ、スズ君との約束は果たそうと思って、なんとかここまで来れたんだけど。巻き込むつもりはなかったんだ」
「なんですか!そんな約束した覚えないですよ?」
「したんだ。行ってらっしゃいって言われたら、ただいまって返さないとね」
「そんなことのためですか…もっと体を大切にして下さい」
 と俺の頭を撫でると起き上がる。

「さて!ようやく痛いの治ったよ!ありがとう!あとはこっちでやっとくから早く帰ってね」
 と背中を向ける。
「あ、あはは、なんですかそれ?誰にやられたんですか?」
「ふふん!それは言えないなぁ、でも助けてくれてありがとね!」
 と歩いて帰ろうとするが、
“ギギンッ!!”
 俺の体は勝手に反応し左手で飛んできたナイフを弾き飛ばす。

「だ、だめだ!そいつに関わったら!おい!お前の相手は俺だろ!」
 叫ぶサンちゃんさんは上を見ている。
『なんだその手は?私の攻撃を受け止めた?!』

「『真実の瞳』」
 アキが魔法を放つと姿が見えてくる。

「や、やめろ!お前たちには関係ないだろ!」
「サンちゃんさん?もう遅いですよ?」
 俺たちは敵の姿を確認した。
 木の上に隠れていたのは女性で軍服のような格好をしている。
『見られたからにはころさないとな!!』
“ギュン”
 と筋肉が収縮すると地面に亀裂が入る。
“バキッ”
 カケラが宙に舞う。
「や、やめ」
 サンちゃんさんが俺の前に出ようとするが、その前に俺は敵の目の前にいた。

『なっ!?』
「オラァ!!」
“バキャッ!!”
 殴り飛ばした女は地面にめり込む。
 何が起こったのか分からずに意識を失ったようだ。

“ストン”
 と着地するとみんなの方を見る。

「…敵だよね?」
 俺はこんなにもあっけないとは思っていなかった。
「………プッ!あはははははは!前代未聞だよ!そいつはプロの暗殺者だ」
「え?」
「は?」
 みんな目を丸くする。
 もちろん俺もだ。
「ククッ!いいや、後片付けを呼ぶよ」
 スマホを取り出すサンちゃんさんだが壊れているようで、
「あ、誰かスマホ貸して?」
「あ、はい」
 とヤスがスマホを渡すと、どこかに電話をかける。
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