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聖玉ばら撒き

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 ルナディアで聖玉作りを始めて三日目。
 なんとか十個の聖玉をつくることに成功した。
「これで日本に職業持ちが増えるならいいことだな」
 さっそく宿をあとにして、岡崎ギルドへ。

「あ、小太郎さん!」
 少し賑わいの薄れたギルド内で福田さんと会う。
「今日は忙しそうじゃないですね」
「やっとスクロールの欲しい人が捌けて来たんですよ」
「あぁ、またこれから忙しくなるんじゃないですか?」
「え?」
「まぁ、会議室に行きましょうよ」
「えぇ!」
 福田さんを連れていつもの会議室に入る。

「えーと、コレを触ればいいんですか?」
「そうです」
 そっと触ると光って消える。
「ステータスが見れますよね?」
「ステータス?あ、みれます!」
 どうやら福田さんは錬金術師らしい。
「こんなの一つじゃ足りませんよ!」
「今日は十個持って来ましたよ!」
「やった!これで他のギルドでもこの職業授与ができるんですね!」
「錬金術師の福田さんはスクロールや魔法玉も作れますよ?」
「私は内緒にしときます。今でも忙しいのにそれこそ倒れちゃいますよ」
「ですね」
「じゃあ、この聖玉は?」
「貸し出しってことで無料でいいですよ。出来るだけばらけて大きなギルドで管理して貰えばいいんじゃないですか?」
「そうします!こんなちっさなギルドじゃ大変ですからね」
 福田さんに聖玉を預けてギルドを出る。

 ようやくこれで日本に職業持ちが出来るようになった。
 ……あれ?ルナディアは職業持ちいないよな?
 ルナディアに飛んでルーのとこに行く。
「やぁ、ルー」
「久しぶりだねコタロー」
 さっと立ってコーヒーを淹れに行く。
「久しぶりに来たんだけどさ、このルナディアって職業はどうしてるんだ?」
「そうさね、十五歳には神に祈りに行って授かるさ。でもごく一部の人間だけだね」
「他は?」
「さぁ?その人にあった職業につくんじゃないかい?」
「そこらへんは日本と同じか」
「じゃあこれはいらないかもな」
「それは聖玉かい?まぁあったら使うんじゃないかい?まさかアンタが作ったのかい?」
 ルーのビックリする顔は久しぶりだな。
「俺が作ったよ。もう日本には十一個渡してある」
「へぇ、錬金術に適正があるとはねぇ」
「だれでも作れるんじゃないのか?」
「そりゃそんなに難易度の高いものは無理だねぇ」
 ほぉ、俺ってやるじゃん。
「ギルドに持って行けば高値で買い取ってくれるさね」
「でも金に困ってないんだよな」
「そりゃアンタはそうでも、冒険者はそうでもない。職業がつけばそれだけ稼げるさ」
「あぁ、人助けか。まぁ、作るのは難しいけどやれるだけやってみるよ」
 煙草を吸うとニヤリと笑い。
「かんばんな。坊や」
「けっ、もう立派だぜ」
 二人で笑って別れる。

 また宿に籠って作ろうかな。まだ帰ってくるまで時間もあるしな。
 宿に籠り、あと十個作った。
 デカい街に一個づつ置いて行けばいいだろ。
 王都に帝都に聖教国に自由国家で四つでいいだろ。
 さっさとギルドに配りに行く。
「これを寄付ですか?」
「あぁ、職業が欲しい人に使って欲しい」
「わ、わかりました」
「あ。変な使い方してたら赤の魔女とかくるからタダで使わせることだね」
「わ。わかりましたー!」
 さてつぎ!
 帝都も同じように脅して、聖教国はライラさんに預けた。ギルドで使ってもらえるだろう。
 自由国家はカイサルさんに頼んだ。
 これはお金をとらないでくれと頼んだら、神の宝玉に金は取れないと言われた。
 まぁそう言う言い方もできるか。

 あと七つあるが、一つは持っとくとしてあと六個は海外に送れればいいけどなぁ。

 加藤さんにでも相談してみるか。

「海外ですか?」
「そうです。日本だけだと大変じゃないですか?」
「そりゃ海外からも要請はありますが、日本もそこまで余裕があるわけじゃないんですが」
 加藤さんの立場もわかるが、大勢の人に使って欲しい。
「日本は俺もいますし、他にも錬金術師が出始めたんじゃないですか?」
「はい、それはそうなんですが」
「聖玉だけでも海外に送れないですかね?」
「あれをですか?たいへん貴重だと思いますが」
「ギルドには十個配って来ました」
「なんと!十個も!」
「自衛隊にも一個あるじゃないですか、あれは一回使うだけですから数はそんなに要らないはずです」
「そうですね。上に相談してみます」
「よろしくお願します。じゃないと俺が海外に行かないといけないですからね」
「わかりました!」
 脅しじゃないが俺に行かれると困るだろう。

 今日はようやくみんなが帰ってくるから家の掃除でもしてようかな?
「ただいま」
「おっかえりー!」
 ユフィが飛び込んできた。
「あれ?もう少し遅いと思ったんだけど」
「今日の朝から出発したから今さっき着いた所」
「そうなんだ。爺婆ズは?」
「近所にお土産配りに行ってるよ」
「そうなんだ。で、三人で待ってたの?」
「そう!」
「ルージュもリアもおかえり」
「「ただいま」です」
 二人ともグッタリしてる。
「どうだった?温泉旅行は?」
「面白かったけどつかれた」
「すごく楽しかったんですが、私は話が通じなくて」
「あはは、三人ともお疲れ様」
 ユフィだけは慣れてるから元気なのかな?元からか。
「コタローはなにやってたの?」
「俺はコレを作ってたよ」
「これは?」
「職業を与える聖玉ってやつ」
「あぁ、そういえばやってたね」
「まぁ、俺らはやらなくても召喚された時点で決まってるみたいだったけどな」
「リアはやってないんじゃない?」
「やってみるか?」
「はい」
 リアが触ると光って消える。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リア 506歳
 魔術師
 レベル  78
 力 A+
 体 B+
 速 A+
 魔 A+
 運 B-
 スキル 五行魔法(火・水・土・風・雷)        
     回復魔法 強化魔法 支援魔法   付与魔法
    剣術 弓術 体術 短剣術 感知 集中 天歩 剛断 瞬歩 遠見 暗視 曲射 三連射
 ユニーク
 魔力増加
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 弓師だと思ってたのに魔術師だった。
 ユニークも魔力増加でA+になってる。
「私は魔術師だったんですね」
「でも弓も短剣も使えるから魔術師にこだわる必要はないんじゃないか?」
「そうですね、これでコタロー様の手伝いが出来ますね」
「それはいいから」
 ムンッと力瘤を出すアピールをするリア。
「ルージュは?」
「私はハーフヴァンパイアでユニークは吸血よ」
「そうだよなー」
 だって最初に血吸われたもんな。


 俺も風呂に入ってゆっくりする。ビールを飲みながらテレビをみていると、爺婆ズが、帰って来た。
「おう、小太郎も帰ってきとったか」
「これは温泉饅頭じゃ」
「おう、ありがとう」
 爺婆ズも思い思いの場所に座って、旅の思い出を語り出す。
 相槌をうちながら温泉饅頭をつまみにビールを飲む。結構合うな。
 爺婆ズは眠くなって来たと言って早々と豪邸に帰って行った。だれが相続すんだ?

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