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勇者2

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「さてと、次はどこに行こうかな?」
「たまには休みにするのじゃ!」
「賛成!」
 おっと。んじゃ、
「今日は休みにするぞ!」
「「おー」」
 って昼からごろ寝かよ!
「最近は外に行くのが多くて疲れたのじゃ」
「大いに同意!」
「まぁ、ダンジョンに行きっぱなしだったからな、最近は外にいる方が多かったな」
 テレビを見るのも億劫で見てなかったからな。
 ソファーに座り昼からビールを飲む。俺もどこにも出ないつもりだ。
「あ!我もビール!」
「私も」
「「「カンパーイ」」」
 と昼からピザを頼んでビールを飲む。
「テレビには1人目の勇者が映っている」
「なんじゃこのテレビはもぐ」
「モグモグモグ」
「まぁ、勇者もこちらに馴染んだのだろう」
「モグモグモグ」
「あぁ。女勇者も出てるな」
『忠野という男!こっちに魔王を寄越せ!』
「ぶっ!」
 サーシャは盛大に吹き出した。
「あーぁー、溢すなよな」
「だって今」
「あはは。渡すわけないじゃん」
「私は渡してもいい」
「こらミスティ!なんてことを言うのじゃ!」
「そしたらケントと一緒」
「な、なんてことを!そんなの嫌じゃ」
「だから渡さないって」
 片付けているこっちを無視して話している。2人はつねり合っているが。
「こらやめなさい」
「はっへこひつは」
「ほんほうのほほ」
「だからやめなさい!」
「「はい」」
「まぁ呼んでるんだから行かないわけにはいかないだろうね」

 次の日には警察が来た。
「ご同行願えますか?」
「いいですよ」
 女勇者が与えた情報だろうな。
 勇者の泊まっているホテルの一室を借りての面会だったが。
「この!魔王め」
 いきなり斬り掛かる勇者の剣を捕まえて、
「まずは話だろ?」
「お前が忠野か?」
「そうだが?なにか?」
「お前が吹き込んだのだろう!」
 この勇者は話を全く聞かないな。
「ま、まず座ってください」
 警察に言われて渋々座る勇者とこっちを見ない女勇者。
「まずこの世界に来たならこの世界を知るんだな」
「は?何を言っているのか、この魔王を倒すために我らはいるのだ」
「黒龍の波動」
“ブワァッ”と風がなびき全員が震える。
「聞けよ?」
「な、な、なんだ!」
「お前に魔王は殺せない。俺がいるから」
「な、何故ヒューマンなのに魔王に肩入れする!」
「それは魔法国家の王だからだ」
 警察もザワザワし始める。
「そこの人。魔法国家の王はなんと呼ばれるか分かりますか?」
「ま。魔王ですかね?」
「そうですね。ありがとうございます」
「そ、それがどうした」
「お前たちは侵略者だ!そこをわきまえろ」
「な!なぜだ!勇者は魔王を倒すものだろ!」
「そこが間違ってるって言ってるだろうが!」
「ひ、ひぃ!」
 勇者の顔が青ざめている。
「お前のやったことは他の国を侵略、略奪したということだ」
「ち、違う!勇者とし「勇者は関係ない!」は、はい!」
「お前の国を魔法国家は侵略したのか?」
「魔物が」
「魔物は魔物だ!それくらいわかるだろ!」
「は、はい」
 ようやく落ち着いて話せるな。黒龍の波動を抑える。
「魔法国家の王だ。ただの国同士の喧嘩なんだよ?お前たちはその駒に使われただけだ」
「そ、そんな」
「警察の人もわかったでしょうけどね」
 頷く人が大半だった。
「そんな、じゃあ、僕らは」
「ただ。他国に入って侵略していっただけだ」
「そんな」
「ってところでいいかな?とりあえず謝れば?」
「す、すいませんでした」
「女勇者は?お前が焚き付けたんだろ?」
「す、すいませんでした」
「もう良い。我はもう王ではない、民のいない王などいてたまるか」
「じゃ。帰るか」
 立ち上がると警察が寄ってきて、
「お送りします」
「よろしく」
 あとはよろしく頼むよ、警察さん。

 パトカーで送られ、家に戻る。
「はぁ。腹が立ったなぁ」
「なんなんじゃ?あの波動は?」
「あぁ。黒龍の波動だってさ」
「そんなスキルがあったのか」
「ビックリしたよ」
「まぁ、あの場にはぴったりだっただろ」
「あぁ、助かったのじゃ」
 ビールを開けて飲むと2人とも自分の分を取って開ける。
「まぁ、かんぱいだな」
「うん、カンパイ」
「カンパイ」

 次の日から勇者の姿をテレビで見ることはなかった。

 反省したならそれでいいんだけどな。

 さて、他のダンジョンにも行こうかと言うところで速報が入った。ダンジョンからモンスターが出てきていると言うものだ、墨田区のスカイツリーダンジョンから出てきているようなのですぐに向かうが走った方が早いな!
「行くぞ!」
「はいなのじゃ」
「うん」
 
 走って行くと至る所で冒険者が戦っている。
「放置してたり人が死にすぎるとこう言うことが起きるのじゃ」
「マジかよ!」
「黒龍の波動」
 少しは違うだろうが、怪獣映画か?これは?
「レッドドラゴンなんかも出てきておるのう!」
「ーッシ」
“キゥォォォォォ”
 ミスティの矢がこめかみに当たり消えるレッドドラゴン。
「俺たちもバラけるぞ!」
「「はい!」」
 斬って斬って斬りまくると、少しずつモンスターが消えている。
 凄い有様だな。

 なんとか落ち着いて腰を下ろすと、瓦礫の山だ。
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