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聖ブルノア魔術学園編
第72話 入学式
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聖ブルノア魔術学園 入学式
首席入学者によるスピーチが行われている最中、アルベルトがボソリと呟く。
「まさか首席がダリアじゃないなんてな。」
「わたくしも不思議に思いましたわ。ダリア様なら難なく解けた試験でしたでしょうに。」
小さい声でアルマがダリアの顔を覗き込むと小さく息を吐いて二人の質問に簡単に答えた。
「今年は私たち以外にも面白い人が入学すると知ってね。どんな人か気になったんだ。」
「面白い人、だと?」
ダリアは静かに目を開け、壇上で冷静にスピーチをする男を見上げた。
アルマとアルベルトも釣られるようにダリアの目線の先を追い、「彼が?」と再びダリアに視線を向けた。
「そ、彼。ネーヴェ・ノルンティーヌ。ノルンティーヌ侯爵の一人息子。」
「、、、あいつが噂の。」
「そう、魔法五大属性 水 火 風 光 闇。彼はどの属性にも属さない。氷属性の魔法の持ち主だ。」
「彼がネーヴェ・ノルンティーヌ。まさか、この学園に氷属性の者が入学したなんて。」
「魔法だけじゃない、座学も剣術も優秀らしい。実に魅力的な逸材じゃないか。」
口の端を引き上げるダリアにアルベルトはやれやれと呆れ返っていた。
厳かに始まった入学式は首席のネーヴェによるスピーチで締めくくられダリアたちはこれから過ごす寮へと案内される。
学園から世話係のメイドを手配されたもののダリアはその申し出を断り、代わりにリアーナと隣の部屋にし彼女をダリアの世話係とした。
「公女、やはり1人くらいメイドを用意した方が良いのでは?も、もちろん!公女のお世話は完璧に務めるつもりです!ですが公爵家ご令嬢でありアルベルト殿下の婚約者であらせられます、、、」
「学園を出たら嫌でもお世話されるんだ、今のうちに自分で出来ることはしておかないと!そういえば、リアーナ。君にも婚約の話が出ているとフォンティーヌ卿に聞いたが?」
「え?いや、その、、、そう、みたいです。」
顔を赤らめながらダリアの荷物を部屋の中に入れ込んでいくリアーナにダリアも自分の荷物をベッドに乱暴に置く。
「皆そろそろ婚約者の話しが出てきてもおかしくない歳だからね。この学園でもそういう話はよく聞くようになるだろう。」
「公女はアルベルト殿下の婚約者であらせられますからできるだけ共に行動するようにと陛下から、、、」
「まぁ、、、ね。嫌だ嫌だと喚けばキースにどやされるだろうし。今回は大人しく言うこと聞くよ。」
「そんなに殿下との婚約がお嫌なのですか?」
不思議そうに首を傾げるリアーナに人差し指をピッと立てると意味ありげに笑みを浮かべた。
「殿下ではなく、男に傅く私をいい気味だと言わんばかりに嘲笑う連中が嫌なのさ。」
「ですが殿下との婚約は王命のはず、そんな簡単に、、、」
リアーナはトランクから藍色のドレスを取り出すとダリアに手早く着せていく。
この後開かれる入学パーティのためだ。
久しぶりに着るドレスと言えどダリアは恐ろしく着こなしていた。
「この先のことなんて誰にもわからないだろう?殿下の心を射止める乙女が出てくるかもしれないじゃないか。」
(そろそろ彼女が現れる頃だろうし。このまま順調に進むのならふたりは惹かれ合うはず。まぁ、ベルファはダリアに惹かれていたけど、、、)
すると部屋の外から学園のメイドが食事の用意ができたと知らせに来た。
「では殿下を迎えに行きますか。」
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌌
首席入学者によるスピーチが行われている最中、アルベルトがボソリと呟く。
「まさか首席がダリアじゃないなんてな。」
「わたくしも不思議に思いましたわ。ダリア様なら難なく解けた試験でしたでしょうに。」
小さい声でアルマがダリアの顔を覗き込むと小さく息を吐いて二人の質問に簡単に答えた。
「今年は私たち以外にも面白い人が入学すると知ってね。どんな人か気になったんだ。」
「面白い人、だと?」
ダリアは静かに目を開け、壇上で冷静にスピーチをする男を見上げた。
アルマとアルベルトも釣られるようにダリアの目線の先を追い、「彼が?」と再びダリアに視線を向けた。
「そ、彼。ネーヴェ・ノルンティーヌ。ノルンティーヌ侯爵の一人息子。」
「、、、あいつが噂の。」
「そう、魔法五大属性 水 火 風 光 闇。彼はどの属性にも属さない。氷属性の魔法の持ち主だ。」
「彼がネーヴェ・ノルンティーヌ。まさか、この学園に氷属性の者が入学したなんて。」
「魔法だけじゃない、座学も剣術も優秀らしい。実に魅力的な逸材じゃないか。」
口の端を引き上げるダリアにアルベルトはやれやれと呆れ返っていた。
厳かに始まった入学式は首席のネーヴェによるスピーチで締めくくられダリアたちはこれから過ごす寮へと案内される。
学園から世話係のメイドを手配されたもののダリアはその申し出を断り、代わりにリアーナと隣の部屋にし彼女をダリアの世話係とした。
「公女、やはり1人くらいメイドを用意した方が良いのでは?も、もちろん!公女のお世話は完璧に務めるつもりです!ですが公爵家ご令嬢でありアルベルト殿下の婚約者であらせられます、、、」
「学園を出たら嫌でもお世話されるんだ、今のうちに自分で出来ることはしておかないと!そういえば、リアーナ。君にも婚約の話が出ているとフォンティーヌ卿に聞いたが?」
「え?いや、その、、、そう、みたいです。」
顔を赤らめながらダリアの荷物を部屋の中に入れ込んでいくリアーナにダリアも自分の荷物をベッドに乱暴に置く。
「皆そろそろ婚約者の話しが出てきてもおかしくない歳だからね。この学園でもそういう話はよく聞くようになるだろう。」
「公女はアルベルト殿下の婚約者であらせられますからできるだけ共に行動するようにと陛下から、、、」
「まぁ、、、ね。嫌だ嫌だと喚けばキースにどやされるだろうし。今回は大人しく言うこと聞くよ。」
「そんなに殿下との婚約がお嫌なのですか?」
不思議そうに首を傾げるリアーナに人差し指をピッと立てると意味ありげに笑みを浮かべた。
「殿下ではなく、男に傅く私をいい気味だと言わんばかりに嘲笑う連中が嫌なのさ。」
「ですが殿下との婚約は王命のはず、そんな簡単に、、、」
リアーナはトランクから藍色のドレスを取り出すとダリアに手早く着せていく。
この後開かれる入学パーティのためだ。
久しぶりに着るドレスと言えどダリアは恐ろしく着こなしていた。
「この先のことなんて誰にもわからないだろう?殿下の心を射止める乙女が出てくるかもしれないじゃないか。」
(そろそろ彼女が現れる頃だろうし。このまま順調に進むのならふたりは惹かれ合うはず。まぁ、ベルファはダリアに惹かれていたけど、、、)
すると部屋の外から学園のメイドが食事の用意ができたと知らせに来た。
「では殿下を迎えに行きますか。」
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