悪役令嬢の心変わり

ナナスケ

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剣術トーナメント編

第53話 国の価値

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トーナメントはその後順調に進んで行った。
当然のように勝ち上がっていくリアーナ、キース、ノア。
アストルム騎士団の幹部と呼ばれる3人の戦いは子供とは思えないものだった。

風属性の魔法を得意とするリアーナは風のように真っ直ぐに力強い剣術で相手をなぎ倒していく。

水属性の魔法を得意とするキースは水の如く流れるような剣さばきで時に力強く時に鋭く相手を切り伏せていく。

そしてダリアと同じ闇属性の魔法を得意とするノアは気配を消す特技を使い相手の懐に近づき無力化させる。
この戦い方は騎士らしくないと不評が多い。
だからダリアはノア含めた闇属性の魔法を得意とする騎士達にふたつの戦い方を教えた。
属性を最大に活かせる暗殺術と騎士道らしく戦える剣道を。

「どんな力を持っているかではなく、その力をどう使うかが問題だ。その力を正義のために使うならば何人も英雄となろう。」

ダリアの言葉に今まで躊躇っていた闇属性の魔法の力を持つ者は騎士服を身にまとい剣を取った。

ノアの戦いぶりを見て満足そうにしながら控えているロランに自慢げに口を開く。

「大人というのは形をやたら重んじるんだ。だがその重要さは分かっているつもりだ。そこらへんのチンピラに人の命を預けるかと言ったらそうもいかないだろ?だが形だけを追い求めていては今の王国騎士のようにいざと言う時に役に立たない組織が出来上がってしまう。」

やたらと厳しい言葉にロランは純粋に疑問が浮かんだ。
なぜこのように王国騎士団に厳しいのか。
本来騎士になりたいと思うのなら王国騎士団に入りたいと思うのが筋なのだ。
だがダリアはそれを拒絶し自ら騎士団を作り上げた。

「お嬢様、なぜこの騎士団を創立なされたのですか?」

不意に問われたダリアは少しだけ考えると頬杖をつきながら観客席の方に目線をやり語り始めた。

「この世界は魔物を忌み嫌うくせに平気で畜生にも劣る所業をやってのける。実に人間らしいよ。」

「私は貴族が嫌いだ。だから同じ貴族に生まれながら貴族を憎む者たちを集めたんだ。貴族のためでも名誉のためでもない、私が守りたいものを守るための騎士団を作り上げるために。」

「その中に王宮はもちろん入っているのでしょうね。」

額に汗をかきながら恐る恐る聞くロランにダリアはフッと静かに笑いながら

「それほどの価値があるならば、、、ね。」


(このお方は単に力を示すためにこの大会を開いたのでは無い、、、何時でも国を乗っ取ることが出来るぞと国に対して忠告するつもりで開いたんだ。)

ロランはまさかそんなはずは無いと思っていた仮説のひとつを今核心へと変えた。

「ロラン、私が守ってあげたいと思っている子は昔から、、、生まれた時から一人だけなんだよ。」





𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌃




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