63 / 114
剣術トーナメント編
第53話 国の価値
しおりを挟む
トーナメントはその後順調に進んで行った。
当然のように勝ち上がっていくリアーナ、キース、ノア。
アストルム騎士団の幹部と呼ばれる3人の戦いは子供とは思えないものだった。
風属性の魔法を得意とするリアーナは風のように真っ直ぐに力強い剣術で相手をなぎ倒していく。
水属性の魔法を得意とするキースは水の如く流れるような剣さばきで時に力強く時に鋭く相手を切り伏せていく。
そしてダリアと同じ闇属性の魔法を得意とするノアは気配を消す特技を使い相手の懐に近づき無力化させる。
この戦い方は騎士らしくないと不評が多い。
だからダリアはノア含めた闇属性の魔法を得意とする騎士達にふたつの戦い方を教えた。
属性を最大に活かせる暗殺術と騎士道らしく戦える剣道を。
「どんな力を持っているかではなく、その力をどう使うかが問題だ。その力を正義のために使うならば何人も英雄となろう。」
ダリアの言葉に今まで躊躇っていた闇属性の魔法の力を持つ者は騎士服を身にまとい剣を取った。
ノアの戦いぶりを見て満足そうにしながら控えているロランに自慢げに口を開く。
「大人というのは形をやたら重んじるんだ。だがその重要さは分かっているつもりだ。そこらへんのチンピラに人の命を預けるかと言ったらそうもいかないだろ?だが形だけを追い求めていては今の王国騎士のようにいざと言う時に役に立たない組織が出来上がってしまう。」
やたらと厳しい言葉にロランは純粋に疑問が浮かんだ。
なぜこのように王国騎士団に厳しいのか。
本来騎士になりたいと思うのなら王国騎士団に入りたいと思うのが筋なのだ。
だがダリアはそれを拒絶し自ら騎士団を作り上げた。
「お嬢様、なぜこの騎士団を創立なされたのですか?」
不意に問われたダリアは少しだけ考えると頬杖をつきながら観客席の方に目線をやり語り始めた。
「この世界は魔物を忌み嫌うくせに平気で畜生にも劣る所業をやってのける。実に人間らしいよ。」
「私は貴族が嫌いだ。だから同じ貴族に生まれながら貴族を憎む者たちを集めたんだ。貴族のためでも名誉のためでもない、私が守りたいものを守るための騎士団を作り上げるために。」
「その中に王宮はもちろん入っているのでしょうね。」
額に汗をかきながら恐る恐る聞くロランにダリアはフッと静かに笑いながら
「それほどの価値があるならば、、、ね。」
(このお方は単に力を示すためにこの大会を開いたのでは無い、、、何時でも国を乗っ取ることが出来るぞと国に対して忠告するつもりで開いたんだ。)
ロランはまさかそんなはずは無いと思っていた仮説のひとつを今核心へと変えた。
「ロラン、私が守ってあげたいと思っている子は昔から、、、生まれた時から一人だけなんだよ。」
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌃
当然のように勝ち上がっていくリアーナ、キース、ノア。
アストルム騎士団の幹部と呼ばれる3人の戦いは子供とは思えないものだった。
風属性の魔法を得意とするリアーナは風のように真っ直ぐに力強い剣術で相手をなぎ倒していく。
水属性の魔法を得意とするキースは水の如く流れるような剣さばきで時に力強く時に鋭く相手を切り伏せていく。
そしてダリアと同じ闇属性の魔法を得意とするノアは気配を消す特技を使い相手の懐に近づき無力化させる。
この戦い方は騎士らしくないと不評が多い。
だからダリアはノア含めた闇属性の魔法を得意とする騎士達にふたつの戦い方を教えた。
属性を最大に活かせる暗殺術と騎士道らしく戦える剣道を。
「どんな力を持っているかではなく、その力をどう使うかが問題だ。その力を正義のために使うならば何人も英雄となろう。」
ダリアの言葉に今まで躊躇っていた闇属性の魔法の力を持つ者は騎士服を身にまとい剣を取った。
ノアの戦いぶりを見て満足そうにしながら控えているロランに自慢げに口を開く。
「大人というのは形をやたら重んじるんだ。だがその重要さは分かっているつもりだ。そこらへんのチンピラに人の命を預けるかと言ったらそうもいかないだろ?だが形だけを追い求めていては今の王国騎士のようにいざと言う時に役に立たない組織が出来上がってしまう。」
やたらと厳しい言葉にロランは純粋に疑問が浮かんだ。
なぜこのように王国騎士団に厳しいのか。
本来騎士になりたいと思うのなら王国騎士団に入りたいと思うのが筋なのだ。
だがダリアはそれを拒絶し自ら騎士団を作り上げた。
「お嬢様、なぜこの騎士団を創立なされたのですか?」
不意に問われたダリアは少しだけ考えると頬杖をつきながら観客席の方に目線をやり語り始めた。
「この世界は魔物を忌み嫌うくせに平気で畜生にも劣る所業をやってのける。実に人間らしいよ。」
「私は貴族が嫌いだ。だから同じ貴族に生まれながら貴族を憎む者たちを集めたんだ。貴族のためでも名誉のためでもない、私が守りたいものを守るための騎士団を作り上げるために。」
「その中に王宮はもちろん入っているのでしょうね。」
額に汗をかきながら恐る恐る聞くロランにダリアはフッと静かに笑いながら
「それほどの価値があるならば、、、ね。」
(このお方は単に力を示すためにこの大会を開いたのでは無い、、、何時でも国を乗っ取ることが出来るぞと国に対して忠告するつもりで開いたんだ。)
ロランはまさかそんなはずは無いと思っていた仮説のひとつを今核心へと変えた。
「ロラン、私が守ってあげたいと思っている子は昔から、、、生まれた時から一人だけなんだよ。」
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌃
24
お気に入りに追加
208
あなたにおすすめの小説
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
獣人の彼はつがいの彼女を逃がさない
たま
恋愛
気が付いたら異世界、深魔の森でした。
何にも思い出せないパニック中、恐ろしい生き物に襲われていた所を、年齢不詳な美人薬師の師匠に助けられた。そんな優しい師匠の側でのんびりこ生きて、いつか、い つ か、この世界を見て回れたらと思っていたのに。運命のつがいだと言う狼獣人に、強制的に広い世界に連れ出されちゃう話
悪妃の愛娘
りーさん
恋愛
私の名前はリリー。五歳のかわいい盛りの王女である。私は、前世の記憶を持っていて、父子家庭で育ったからか、母親には特別な思いがあった。
その心残りからか、転生を果たした私は、母親の王妃にそれはもう可愛がられている。
そんなある日、そんな母が父である国王に怒鳴られていて、泣いているのを見たときに、私は誓った。私がお母さまを幸せにして見せると!
いろいろ調べてみると、母親が悪妃と呼ばれていたり、腹違いの弟妹がひどい扱いを受けていたりと、お城は問題だらけ!
こうなったら、私が全部解決してみせるといろいろやっていたら、なんでか父親に構われだした。
あんたなんてどうでもいいからほっといてくれ!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる