悪役令嬢の心変わり

ナナスケ

文字の大きさ
上 下
61 / 115
剣術トーナメント編

第51話 アストルム騎士団 剣術トーナメント

しおりを挟む
ついに始まったアストルム騎士団剣術トーナメント。
ベルメールの街並みは観光客で溢れかえり、騎士団で使っている闘技場は熱気と歓声で盛り上がりを見せていた。

その闘技場には王国騎士団や王宮内の要人もいた。

王国騎士副団長 バッカス・アグレスト。
最後までアストルム騎士団創立に反対をしていた男である。

「公女、王国騎士副 副団長のバッカスがご挨拶をしたいと申しております。」

足を組みながら不敵な笑みを浮かべ闘技場を座席から見つめるダリア。
その笑みをさらに引き上げさせるとキースに「いいよ」と入室を許可した。

30ぐらいの厳格そうな男が観戦部屋に入りダリアに礼を尽くす。

「楽にしていいよ。」

「は、お初にお目にかかります。ダリア嬢。バッカス・アグレストにございます。」

「やぁ、貴殿がアグレスト伯爵か。私の招待には応じないと思っていたよ。」

「公爵家直々のご招待に応じない者などおりません。大変光栄に存じます。」

「詭弁はよせ。こんな子供のお遊びに付き合わされてさぞ不満だろう。」

「決してそのようなことは、、、しかし、騎士団の大半が11歳前後の者たちで構成されていることは少々問題かと。」

そう言ったバッカス伯爵の目は鋭く光っていた。

「将来有望ではないか。私は見込みあるものしか入団を許したりしていないよ。」

頬杖をつきながらダリアは変わらずにバッカス伯爵に視線を向けることなく闘技場を見つめていた。

「しかし、今回は剣術のみの戦闘を許すとは何をお考えで?」

「これがアストルム騎士団だ。私たちは騎士団でありサーカス団ではない。魔法を見せびらかすために存在している訳では無いだろう。」

「魔法は力です。力なきものがどう国を守れると?」

「そうやって魔法だけが力だと思っているから王国騎士はとても弱いんだ。」

王国騎士を侮辱されバッカス伯爵の目に怒りが宿る。
だがダリアは目だけをバッカス伯爵に向けると不敵な笑みを浮かべながら口を開く。

「ファン・モンフォーヌ。先日王国騎士に入団しただろう。ウチのノア・モンフォーヌの兄だ。」

「それが、、、、」

「彼は既に兄を超えてるぞ?」

「そんなはずが彼には才能が!」

「信じられないのであれば今日特別枠として戦わせてみよう。いかに貴殿達の教育が行き届いていないかその目でしかと見ることだな。」

最後に冷たくそう言い放つとバッカス伯爵に「下がれ」と命じ「ハッ」と鼻で笑って見せた。




𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌌



しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです

月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。 妹のルルだけが特別なのはどうして? 婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの? でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。 愛されないのは当然です。 だって私は…。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、 飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、 気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、 まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、 推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、 思ってたらなぜか主人公を押し退け、 攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・ ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

悪役令嬢は間違えない

スノウ
恋愛
 王太子の婚約者候補として横暴に振る舞ってきた公爵令嬢のジゼット。  その行動はだんだんエスカレートしていき、ついには癒しの聖女であるリリーという少女を害したことで王太子から断罪され、公開処刑を言い渡される。  処刑までの牢獄での暮らしは劣悪なもので、ジゼットのプライドはズタズタにされ、彼女は生きる希望を失ってしまう。  処刑当日、ジゼットの従者だったダリルが助けに来てくれたものの、看守に見つかり、脱獄は叶わなかった。  しかし、ジゼットは唯一自分を助けようとしてくれたダリルの行動に涙を流し、彼への感謝を胸に断頭台に上がった。  そして、ジゼットの処刑は執行された……はずだった。  ジゼットが気がつくと、彼女が9歳だった時まで時間が巻き戻っていた。  ジゼットは決意する。  次は絶対に間違えない。  処刑なんかされずに、寿命をまっとうしてみせる。  そして、唯一自分を助けようとしてくれたダリルを大切にする、と。   ────────────    毎日20時頃に投稿します。  お気に入り登録をしてくださった方、いいねをくださった方、エールをくださった方、どうもありがとうございます。  とても励みになります。  

【完結】あわよくば好きになって欲しい(短編集)

野村にれ
恋愛
番(つがい)の物語。 ※短編集となります。時代背景や国が違うこともあります。 ※定期的に番(つがい)の話を書きたくなるのですが、 どうしても溺愛ハッピーエンドにはならないことが多いです。

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

処理中です...