悪役令嬢の心変わり

ナナスケ

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アストルム騎士団創立編

第41話 悪役令嬢の報告

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たった10歳で領地で行われていた不正横領、王宮で禁止されている薬物取引、密輸武器の取り締まり。
荒れ果てた街を復興させた功績でこれに関与した騎士見習いは全て騎士として認められ、ダリアはこの騎士たちをまとめる騎士団創立を許された。

【アストルム騎士団】

それは騎士団長であるダリアが夜空の星々のように何人たりともかけることは許されないと口々に言っていたためこの名前になった。

大きな特徴は五大属性全ての人材が揃っていること。
普通の騎士団は何かに偏っていることが多く、炎で固まっている騎士団もあれば風で固まる騎士団もいる。
アストルム騎士団はそんな中全ての属性が揃っており設立後も団員は増えていく。

そして、騎士団が作られたことである噂が囁かれる。

「ダリア・クロウリーは聖女候補選抜を辞退するのではないか。」

というものだ。

当の本人はもちろんそのつもりだ。
しかし世間は「まさかそんな、」というまだ疑いだけで本当に辞退するつもりとは思ってもいなかったのだ。

数ヶ月ぶりに本邸に戻ったダリアの元に妹のヒナが駆けつける。

「お兄様っ!」

「ヒナ」

嬉しそうなヒナの頭を優しく撫でてやると顔を赤らめて俯く。
数ヶ月しか経っていないがやはり成長期なのだろう背も少し伸び髪質も改善されて所作も更に磨きがかかっていた。
ダリアは順調にレディとして育っているとうんうん唸りながら感心していた。

「変わりはないか?」

「はい、お兄様もお疲れではございませんか?」

「そうだね、少し疲れたな。」

何時間も馬に乗っていたためダリアの腰は石のように固まっている。
ヒナに手を引かれながら部屋に向かうとどこからかアルベルトの声が近づいてくる。

「ダリア!」

「あ、アルベルト、、、様。」

酷く拗ねた様子でダリアを睨みつけるアルベルトにダリアは内心ため息をついていた。

「何ヶ月も留守にしていると思えば手紙もよこさないなんて!」

「お兄様はお疲れなのです、そんなに大声出さないでください。」

「これは婚約者としての問題だ、妹は引っ込んでろ。」

「っ!わ、私はお兄様の妹として!」

ふたりがぎゃいぎゃいと騒いでるうちにダリアは1人部屋に入りベッドに飛び込んだ。

(疲れた、、、、帰れば休めると思ったんだけど。)


ゆっくりと手を伸ばし手のひらに風や水の魔法を使って弄ぶ。

(本来、他の属性を扱うことなど不可能だ。しかし、わたしは扱える。世界を跨いだ記憶を持つ者の特権ということか。なんにしろこの力についても調べなければ。)

この数ヶ月で成し遂げたことは領地復興だけではなかった。
自分が五大属性全てを扱えることがわかった。
もちろんその中でいちばん得意なのは闇属性の魔法だ。
しかし、このことは誰にも明かしてはいない。
そんなことを知られようものなら聖女候補にすぐさま祭り上げられてしまうだろう。
ダリアはこのことを話すのは少数に限ろうと考えていた。

魔法について仰向けになりながら考えていてもなお部屋の外は騒がしかった。
やすむのはもう少しあとだと悟ったダリアは騎士の制服からシャツに着替えると部屋の外に顔を出した。

「騒がしくて休めたものじゃないよ。」

分かりやすくため息を着くとヒナは大変申し訳なさそうに謝罪をする。
アルベルトはフンっと鼻を鳴らしながらそっぽを向くと「まずは婚約者に報告が先だろう。」
と言った。

「わかったわかった、ではアフタヌーンティーにするとしよう。ヒナ、お前もどうだ?」

「はい!お兄様!」

3人はアフタヌーンティーを楽しみながらダリアを中心として元クロース領で起こったことについて話した。

「そんな悪行が、、、」

「この国では横行していることさ。だが皆目を瞑っている。」

「今回のことでお兄様が誰かに恨まれるようなことはありませんか?」

「今回は自身の領内でした事だ。ほかの貴族の領地は我々の領分では無いからね。手も出せないし、向こうだって今回のことで恨む筋合いがないから大丈夫だよ。」

「しかし、気をつけろよ。少なからずお前が騎士団を作ったことは誰かにとっては面白くないはずだからな。」

「見ない間に随分賢くなったねアル。」

「お前な、仮にも王子だぞ。」

「殿下の教養の深さには感服致します。」

「お前、、、思ってないな。」







𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌌





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