37 / 114
アストルム騎士団創立編
第31話 悪役令嬢 兄になる
しおりを挟む
「あ、、、あの、、お兄様とお呼びしてもよろしいでしょうか!」
おにい?私女やぞ。
「、、、私は女だ。」
「わ、わかってます!ただ、お姉様と及ぶするより。も、もちろんダリア様はお綺麗ですしドレスをお召になったらお美しいと思います!でも、、、」
あー、いつも屋敷では。というか公的な場でない限り私は男みたいな格好してるからな。
それに髪も短いし、姉と呼ぶよりか兄と呼んだ方がしっくり来るのだろう。
まぁ、別に構わないか。困る訳でもないしな。
ドレス着て変な男が寄ってくるよりマシか。
「いいよ、お前の好きにしな。でも、父上や母上の前では言うんじゃないぞ?」
「は、はい!」
まぁ、兄でも姉でも家族だと思ってくれるならどちらでも構わないか。
これから公爵家の娘として自覚を持って聖女候補選抜に挑んで欲しいのだから。
その日からヒナは度々私の元へ訪れるようになった。
新しく与えられた執務室にいるときや乗馬訓練、戦闘訓練の時も見学だと言って見に来ていた。
だが騒ぐことなくただそこにいるだけだった。
執務室に来る時は本を持って読みながら私の用事が終わるのを待っていた。
コンコン、
「お嬢様、ヒナお嬢様がお見えになっています。」
「通していいよ。」
「お兄様っ!」
報告に来ていたキースとリアーナが驚いた表情でゆっくりとこちらを見る。
まるで「なんて呼ばせてんだ」とでも言うかのような目で。
「そんな目で見るな。ヒナが勝手に呼んでるんだ。」
「か、勝手にではございません、、、」
少し落ち込みながら俯くヒナに溜息をつきながら言葉を訂正した。
「ヒナが呼びたいと言うから許可したんだ。お姉様という柄でもないしな。」
「な、なるほど。」
「お前、そんなことより魔法の練習はどうした?」
「先生の都合で午前に練習の時間を取りまして、これからマナー指導を受けるところです。」
私は2ヶ月後には与えられた領地に赴かなければならない。
それまでにヒナをある程度この貴族社会に慣れさせなければ。
「そうか、、、」
ヒナは私の前まで歩むと不安そうな表情で問いかける。
「このヒナが選抜で聖女候補に選ばれればお兄様のお役に立てるのですよね?」
こんなことを言ってくれるほど懐いてくれていたとは。
懐かれるほど優しくしているつもりは無いんだけどな。
「あぁ、そうだな。私のためにも公爵家のためにもなる。レッスンに励め。」
「はい!お兄様!それでは失礼致します。」
ヒナが嬉しそうに部屋を出た扉を唖然とした表情で見つめながらゆっくりとこちらに振り向く2人。
うるさい視線に私の眉毛がぴくりと動く。
「なんだ。」
「い、いえ。ただダリア様は凄いなと。」
リアーナの苦笑いになんのことを言っているのか分からずに首を傾げていると感心したかのように語り始める。
「ヒナお嬢様を屋敷でお見かけする時はいつも浮かない表情で歩いていらっしゃいます。ダリア様が使用人を変えたとはいえ奥様の厳しいお言葉はご健在のようで。」
「この屋敷を1歩でも踏み出せばヒナのことを悪く言う連中など虫のように湧いてでるだろう。いつも一緒にいれる訳では無いんだ。この程度鼻で笑って無礼だと威厳を示せるようにならないと意味が無い。」
「ダリア様は相変わらずお厳しいですね。」
キースの言葉に私は視線だけを向けてすぐに伏せる。
「私たちが子供だと舐められているウチに事を終わらせたい。私の妹ならば着いてきてもらわなければ困るんだ。」
「近いうちに王宮にご挨拶しなければなりませんからね。」
「そうだ、全てを完璧にしないとな。」
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌃
おにい?私女やぞ。
「、、、私は女だ。」
「わ、わかってます!ただ、お姉様と及ぶするより。も、もちろんダリア様はお綺麗ですしドレスをお召になったらお美しいと思います!でも、、、」
あー、いつも屋敷では。というか公的な場でない限り私は男みたいな格好してるからな。
それに髪も短いし、姉と呼ぶよりか兄と呼んだ方がしっくり来るのだろう。
まぁ、別に構わないか。困る訳でもないしな。
ドレス着て変な男が寄ってくるよりマシか。
「いいよ、お前の好きにしな。でも、父上や母上の前では言うんじゃないぞ?」
「は、はい!」
まぁ、兄でも姉でも家族だと思ってくれるならどちらでも構わないか。
これから公爵家の娘として自覚を持って聖女候補選抜に挑んで欲しいのだから。
その日からヒナは度々私の元へ訪れるようになった。
新しく与えられた執務室にいるときや乗馬訓練、戦闘訓練の時も見学だと言って見に来ていた。
だが騒ぐことなくただそこにいるだけだった。
執務室に来る時は本を持って読みながら私の用事が終わるのを待っていた。
コンコン、
「お嬢様、ヒナお嬢様がお見えになっています。」
「通していいよ。」
「お兄様っ!」
報告に来ていたキースとリアーナが驚いた表情でゆっくりとこちらを見る。
まるで「なんて呼ばせてんだ」とでも言うかのような目で。
「そんな目で見るな。ヒナが勝手に呼んでるんだ。」
「か、勝手にではございません、、、」
少し落ち込みながら俯くヒナに溜息をつきながら言葉を訂正した。
「ヒナが呼びたいと言うから許可したんだ。お姉様という柄でもないしな。」
「な、なるほど。」
「お前、そんなことより魔法の練習はどうした?」
「先生の都合で午前に練習の時間を取りまして、これからマナー指導を受けるところです。」
私は2ヶ月後には与えられた領地に赴かなければならない。
それまでにヒナをある程度この貴族社会に慣れさせなければ。
「そうか、、、」
ヒナは私の前まで歩むと不安そうな表情で問いかける。
「このヒナが選抜で聖女候補に選ばれればお兄様のお役に立てるのですよね?」
こんなことを言ってくれるほど懐いてくれていたとは。
懐かれるほど優しくしているつもりは無いんだけどな。
「あぁ、そうだな。私のためにも公爵家のためにもなる。レッスンに励め。」
「はい!お兄様!それでは失礼致します。」
ヒナが嬉しそうに部屋を出た扉を唖然とした表情で見つめながらゆっくりとこちらに振り向く2人。
うるさい視線に私の眉毛がぴくりと動く。
「なんだ。」
「い、いえ。ただダリア様は凄いなと。」
リアーナの苦笑いになんのことを言っているのか分からずに首を傾げていると感心したかのように語り始める。
「ヒナお嬢様を屋敷でお見かけする時はいつも浮かない表情で歩いていらっしゃいます。ダリア様が使用人を変えたとはいえ奥様の厳しいお言葉はご健在のようで。」
「この屋敷を1歩でも踏み出せばヒナのことを悪く言う連中など虫のように湧いてでるだろう。いつも一緒にいれる訳では無いんだ。この程度鼻で笑って無礼だと威厳を示せるようにならないと意味が無い。」
「ダリア様は相変わらずお厳しいですね。」
キースの言葉に私は視線だけを向けてすぐに伏せる。
「私たちが子供だと舐められているウチに事を終わらせたい。私の妹ならば着いてきてもらわなければ困るんだ。」
「近いうちに王宮にご挨拶しなければなりませんからね。」
「そうだ、全てを完璧にしないとな。」
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌃
22
お気に入りに追加
208
あなたにおすすめの小説
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
獣人の彼はつがいの彼女を逃がさない
たま
恋愛
気が付いたら異世界、深魔の森でした。
何にも思い出せないパニック中、恐ろしい生き物に襲われていた所を、年齢不詳な美人薬師の師匠に助けられた。そんな優しい師匠の側でのんびりこ生きて、いつか、い つ か、この世界を見て回れたらと思っていたのに。運命のつがいだと言う狼獣人に、強制的に広い世界に連れ出されちゃう話
悪妃の愛娘
りーさん
恋愛
私の名前はリリー。五歳のかわいい盛りの王女である。私は、前世の記憶を持っていて、父子家庭で育ったからか、母親には特別な思いがあった。
その心残りからか、転生を果たした私は、母親の王妃にそれはもう可愛がられている。
そんなある日、そんな母が父である国王に怒鳴られていて、泣いているのを見たときに、私は誓った。私がお母さまを幸せにして見せると!
いろいろ調べてみると、母親が悪妃と呼ばれていたり、腹違いの弟妹がひどい扱いを受けていたりと、お城は問題だらけ!
こうなったら、私が全部解決してみせるといろいろやっていたら、なんでか父親に構われだした。
あんたなんてどうでもいいからほっといてくれ!
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる