悪役令嬢の心変わり

ナナスケ

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〜幼少期編〜

第21話 悪役令嬢の目覚め

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パーティでの仕事はこんなものだろう。
それにこの体は9歳の子供だ。た、体力が。

ふ、フォンティーヌ伯爵を呼んでお暇させて頂こう。
しかし、公爵令嬢がこんなに活発に動いているのが珍しいのか。公爵家に媚びを売りたいのか。
大人達は容赦なく寄って集ってくる。

「ダリア様!今度ぜひうちに遊びに!」

「公爵様は次のパーティの予定はございますかな?もし良かったらうちで開くパーティーに!」

「えぇ、そうですね。そのうちに。その件は父に聞いてみます。」

あ、ダメだ、、、目の前が歪んで。

足に、力が。はい、、、ら、、、


「ったく、何をそんなにムキになってるんだ。」

倒れそうになったのを誰かの手がしっかりと抱いて受け止めてくれていた。
そして小声で乱暴にそう言ったのは誰でもないアルベルトだった。

「失礼、の婚約者は疲れてしまったようです。この辺でお暇させていただきます。」

アルベルトはそうゲストたちに挨拶を済ませると付き人を呼んで私を馬車まで運ばせてくれた。
運ばれる時に感じる揺れが心地よくて私は眠ってしまった。




「ダリア令嬢、変わられましたな。殿下。」

「いや、こいつは昔から献身的だった。対象が変わっただけだ。」

そう言うアルベルトの表情はどこか懐かしそうな、、、そして切なく微笑みを浮かべていた。

ダリアを馬車に乗せるとダリアの執事であるロランに一言、「初めて一人でパーティーに来たんだ。疲れたんだろう。暫くは家で大人しく休ませてろ。」と言って自分の馬車に戻って行った。



目が覚めると私の部屋の天井が目に入る。
昨日の記憶をぼんやりと思い出しているとアルベルトが倒れそうになったのを支えてくれていたことを思い出す。

帰った、、、はずなのにな。


「お嬢様、おはようございます。ご気分はいかがですか?」

マーサが紅茶を入れながら心配そうにこちらを伺う。

「おはよう、マーサ。あぁ、とても良いよ。」

マーサから紅茶を受け取ると一口カップに口をつける。

「アルベルト王子からお見舞いの品が届いております。」

「見舞い?別に病で倒れたわけではあるまいし。」

マーサが見舞いの品とやらを見る視線を共に追っていくとメアリーがカゴを持って近づいてくる。

「それか?見舞いの品とやらは。」

「はい、アルベルト王子から美味しそうなフルーツが届いておりますよ。」

カゴの中にはいっぱいに林檎が入っておりどれも真っ赤で凄く美味しそうに見えた。

「とても美味しそうだ、有難く頂こう。」

「後でアップルパイをお作りしましょう。」

「それはいいな。是非頼むよ。そうだ、マーサ、ロランを呼んでくれ。今頃父上に私に代わり昨日のパーティーの報告でもしているだろうから。」

「かしこまりました。」

さぁ、初めての大仕事は終わらせた。
これからも忙しくなるだろうからな、暫しの休日を過ごすとしよう。





𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌃
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