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〜幼少期編〜
第14話 第二王子の憂鬱
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お嬢様は私を部屋に連れていくまで終始無言だった。
いくらメアリーが私の無実を訴えてくれたとしても私には前科がある。
改めてお嬢様の後ろを歩いていると大きくなられたと感じた。
こんな時に感じるものでは無いだろうが、パーティから半年でこんなに大きくなるなんて。
メアリーがいうにはお嬢様は剣の練習を始めたとか。
お話に聞くお嬢様はもっと違う印象だった。
ワガママで奥様と同じ癇癪持ちで手に負えない令嬢だと。
「メアリーが戻ったら手当をしてもらおう。その間に私は風呂の支度をするか。」
そういうとお嬢様は私を椅子に座らせると淡々と準備を進めようとした。
「あ、あの!お嬢様っ」
「ん?」
あまり表情が豊かとは言えないが穏やかな表情で私に視線を向ける。
「何故、、、このような待遇。わたくしは疑いをかけられている身です。それなのに何故優しくしていただけるのですか?」
思ったことを口にしてみた。
なにか条件があるのなら何でも受け入れる覚悟だってある。
「お父様とは何も無いんだろう?」
「も、勿論でございます!命にかけてそのような!」
咄嗟に否定を口にするとお嬢様は目を細めて落ち着いた声で仰った。
「じゃあ私はその言葉を信じるよ。」
その真夜中を思わせるどこまでも深い青色の瞳は真っ直ぐと私を見つめていた。
こんなに目を見て口を聞いてくださった方はいただろうか?
•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆
どいつもこいつも全くもって煩わしい。
いちいち兄上と比べて、見て呉れと地位に目が眩んだ女どもが俺に言い寄る。
ダリア・クロウリーもそのひとりだ。
「あ、アルベルト王子!今日もご機嫌麗しゅう。」
ワガママで気に入らないとすぐに怒る。実に退屈な女だな。
「アルベルト王子は何のお花がお好きですの?」
「アルベルト王子の魔法は本当にお美しいですわ!」
「今度わたくしの誕生日パーティがありますの!ぜひいらっしゃってください!」
隣でかしましく話す女には何の興味も湧かない。
どうせ父上は俺とこの女を婚約させようとしているのだからこのような機会は要らぬ世話というやつだ。
「では、クロウリー嬢。俺はこれで。」
頼まれなくとも俺はお前のパーティに行くように父上に言われるんだ。
誰もが俺を地位が高いというが俺の行動は命令によるものだ。
意味が無い。
「王子、ダリア・クロウリー様の7歳の誕生日パーティではお父上である王から婚約者としての申し込みをするようにと言付かっております。」
「フンっまぁ、外見は整っているからな。婚約者さえ決まればもう煩わしいことは無いだろう。」
膝まづいて少し微笑めば喜んで承諾するだろう。
だが、、、、
目の前のダリアはいつもと様子が違った。
いつもならすぐ俺の姿を探し出して抱きつくのに、俺に気付きもしない。
近寄っても、、、
話しかけても、、、
眉をひそめて何かを考えている。
この俺の前で!
「コホンっダリア嬢。」
一度も読んだことないお前の名前だ。
いつもはファミリーネームで呼んでいたからな。
これなら泣いて喜、、、、
「たしか、、、でも、、」
泣いて、、、喜んで。
「ダリア嬢?、、、ダリア嬢。ダリア、、、ダリア。」
「はっ!」
「聞いていますか?」
「あ!あ、アルベルト様この度はパーティにお越しくださいまして、、、」
丁寧にお辞儀するダリアに思わず黙ってしまった。
いつものこいつならばすぐに俺に抱きついてかしましく騒ぎ立てるところだろ!
クソっきっと何か企んでいるに違いないっ
この俺さまが暴いてやる!
「ダリア嬢?」
「な、なんでしょうかアルベルト様。」
「いえ、なんだかいつもと様子が。」
「そ、それはもう7歳になったのですから大人にならないといけませんわ!いつまでも子供という訳にはいきませんからね!」
大人っぽいところを見せたかっただけなのか?
いやこいつなら有り得る。
見栄っ張りな性格でやったという可能性は高いからな。
だが、確信を得るまで徹底的に調べさせてもらうぞ!ダリア・クロウリー。
「では改めて、ダリア・クロウリー。僕と婚約をして欲しい。」
どうだ?その、見栄も剥がれ落ちるだろう!
「嬉しいですわ!アルベルト様!もちろんお受け致しますとも!」
そういっていつものように俺に抱きついてくるダリア・クロウリー。
思わず俺の口元も勝利を確信して緩んでしまう。
やっぱり、どの女も一緒だな。
「アルベルト様、2人きりでお話したいことが。ベランダでお待ちしております。」
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌃
いくらメアリーが私の無実を訴えてくれたとしても私には前科がある。
改めてお嬢様の後ろを歩いていると大きくなられたと感じた。
こんな時に感じるものでは無いだろうが、パーティから半年でこんなに大きくなるなんて。
メアリーがいうにはお嬢様は剣の練習を始めたとか。
お話に聞くお嬢様はもっと違う印象だった。
ワガママで奥様と同じ癇癪持ちで手に負えない令嬢だと。
「メアリーが戻ったら手当をしてもらおう。その間に私は風呂の支度をするか。」
そういうとお嬢様は私を椅子に座らせると淡々と準備を進めようとした。
「あ、あの!お嬢様っ」
「ん?」
あまり表情が豊かとは言えないが穏やかな表情で私に視線を向ける。
「何故、、、このような待遇。わたくしは疑いをかけられている身です。それなのに何故優しくしていただけるのですか?」
思ったことを口にしてみた。
なにか条件があるのなら何でも受け入れる覚悟だってある。
「お父様とは何も無いんだろう?」
「も、勿論でございます!命にかけてそのような!」
咄嗟に否定を口にするとお嬢様は目を細めて落ち着いた声で仰った。
「じゃあ私はその言葉を信じるよ。」
その真夜中を思わせるどこまでも深い青色の瞳は真っ直ぐと私を見つめていた。
こんなに目を見て口を聞いてくださった方はいただろうか?
•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆
どいつもこいつも全くもって煩わしい。
いちいち兄上と比べて、見て呉れと地位に目が眩んだ女どもが俺に言い寄る。
ダリア・クロウリーもそのひとりだ。
「あ、アルベルト王子!今日もご機嫌麗しゅう。」
ワガママで気に入らないとすぐに怒る。実に退屈な女だな。
「アルベルト王子は何のお花がお好きですの?」
「アルベルト王子の魔法は本当にお美しいですわ!」
「今度わたくしの誕生日パーティがありますの!ぜひいらっしゃってください!」
隣でかしましく話す女には何の興味も湧かない。
どうせ父上は俺とこの女を婚約させようとしているのだからこのような機会は要らぬ世話というやつだ。
「では、クロウリー嬢。俺はこれで。」
頼まれなくとも俺はお前のパーティに行くように父上に言われるんだ。
誰もが俺を地位が高いというが俺の行動は命令によるものだ。
意味が無い。
「王子、ダリア・クロウリー様の7歳の誕生日パーティではお父上である王から婚約者としての申し込みをするようにと言付かっております。」
「フンっまぁ、外見は整っているからな。婚約者さえ決まればもう煩わしいことは無いだろう。」
膝まづいて少し微笑めば喜んで承諾するだろう。
だが、、、、
目の前のダリアはいつもと様子が違った。
いつもならすぐ俺の姿を探し出して抱きつくのに、俺に気付きもしない。
近寄っても、、、
話しかけても、、、
眉をひそめて何かを考えている。
この俺の前で!
「コホンっダリア嬢。」
一度も読んだことないお前の名前だ。
いつもはファミリーネームで呼んでいたからな。
これなら泣いて喜、、、、
「たしか、、、でも、、」
泣いて、、、喜んで。
「ダリア嬢?、、、ダリア嬢。ダリア、、、ダリア。」
「はっ!」
「聞いていますか?」
「あ!あ、アルベルト様この度はパーティにお越しくださいまして、、、」
丁寧にお辞儀するダリアに思わず黙ってしまった。
いつものこいつならばすぐに俺に抱きついてかしましく騒ぎ立てるところだろ!
クソっきっと何か企んでいるに違いないっ
この俺さまが暴いてやる!
「ダリア嬢?」
「な、なんでしょうかアルベルト様。」
「いえ、なんだかいつもと様子が。」
「そ、それはもう7歳になったのですから大人にならないといけませんわ!いつまでも子供という訳にはいきませんからね!」
大人っぽいところを見せたかっただけなのか?
いやこいつなら有り得る。
見栄っ張りな性格でやったという可能性は高いからな。
だが、確信を得るまで徹底的に調べさせてもらうぞ!ダリア・クロウリー。
「では改めて、ダリア・クロウリー。僕と婚約をして欲しい。」
どうだ?その、見栄も剥がれ落ちるだろう!
「嬉しいですわ!アルベルト様!もちろんお受け致しますとも!」
そういっていつものように俺に抱きついてくるダリア・クロウリー。
思わず俺の口元も勝利を確信して緩んでしまう。
やっぱり、どの女も一緒だな。
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