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〜幼少期編〜
第3話 悪役令嬢 自分の誕生日を知る
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屋敷内を歩いていると本当に嫌われているのが手に取るようにわかる。
そして、どうやら10日後は私の7歳の誕生日なのだという。
だが、あまり興味はなかった。自分でもこんな娘の誕生日などお祝いしたくもない。
「聞いた?今年の誕生日はいつもよりら特別だと奥様が漏らしていたようよ?」
「え、何それ?どういうこと?」
遠くから聞こえてくるメイドたちの話し声に耳を澄ますと何やらとんでもない事が聞こえたような。
「それがね、お嬢様の婚約を発表なさるみたいなの。」
な、、、なんだってぇぇぇぇぇぇ?!
いやいや、落ち着け。このくらいの歳はもう婚約者があてがわれてもおかしくない。
しかし違うのだああああああああぁぁぁ。
このダリア・クロウリーの婚約者はひと味違うのだっ!
こんなことならゲームをやれば良かった!第2王子との婚約ってこんなに早かったの?!
「メアリー。」
私はそばに居るメイド。メアリーに声をかけるといつも早い返事がなかなか帰ってこないので怪訝そうに見上げると、目を丸くして驚いているメアリーの顔があった。
「メアリー?」
「お、お嬢様。わたくしの名前を?」
え?メアリーじゃなかったっけ?
記憶が戻る前はどうでもよかったみたいだけど流石に名前で呼ばないと誰を呼んでいるのかわからないし。
「あなたはメアリーじゃないの?」
「い、いえ!メアリーでございます。」
なんか、少し意外な反応。
「ご用はなんでございましょう、お嬢様。」
「10日後の私の誕生日の事なんだけど。」
真剣な面持ちでメアリーを見つめながら言葉を吐いた。
「なにか特別なことでもあるの?」
「と、特別でございますか?そ、それはお嬢様のお誕生日でございますし特別かと。」
「いや、、、その。」
私が次の言葉を言おうとした瞬間、食堂からなにか割れる大きな物音がした。
それと同時にお母様の怒鳴り声、思い出した。
お母様はワガママ故、こうしてたまに使用人に対して癇癪を起こす。
一度私、ダリアがお母様に口答えをした時も酷く怒鳴られたような。
そこからダリアはお母様に逆らうことはなくなったし、より一層母のように振る舞うようになった。
「メアリーはそこにいなさい、少し見てくるわ。」
「え?お嬢様?お待ちください!」
私は着いてこようとするメアリーに「そこにいなさい」ともう一度念を押して食堂へと向かった。
食堂に入ると割れた食器に手から血を流す1人のメイドと今にも爆発しそうなお母様の姿。
すぐに理解した。なにか気に入らないことをしてしまったのだ。
「お母様。」
「あらダリアちゃん、危ないから部屋に戻ってなさい。」
私の顔を見るなり万遍の笑みを浮かべて猫なで声を出すお母様。
「大きな音が聞こえたので気になってしまって。」
20歳超えた大人が甘えるような声出しちゃって。
早く大人になりたいわ。
「そうなのよぉ、もうすぐダリアちゃんのお誕生日でしょう?それなのにこのメイドがグズだから間に合いそうにないのよ。もっとマシなメイドを雇わないとね。」
「そうなのですか。」
あぁ、嫌だ。私もこんな感じだったなんて。
虫唾が走る。だが、この姿で私に出来ることは少ない。
従順な振りをしよう。
時が来るまで。
「せっかくのわたくしの誕生日パーティですのにほんとに不愉快ですわ!お母様、このメイドのお仕置はわたくしにお任せして頂けませんか?お母様みたいな立派なレディになるために!」
6歳児の飛び切りの笑顔でいうとお母様は二つ返事でOKしてくれた。
早速座り込むメイドのそばに寄って見下すと以下にも悪役らしく「来なさい。」と吐き捨てた。
食堂を出るとメアリーの元へ戻りメイドに渡すように言いつけた。
「メアリー、この子怪我してるから手当してあげて。あと、あなた名前は?」
「は、はい。マーサと申します。」
「そう、今日はもう休んでいいわよ。」
そういうとマーサは真っ青な顔で勢いよく私の下に膝まづいていた。
哀願するかのように縋り付くような目に涙いっぱい貯めて許しを乞うていた。
「お嬢様!申し訳ございません!お嬢様の誕生日のご準備に手間取ってしまい申し訳ございません!なので!どうか!どうか暇だけは!」
ん?あぁ、クビを言い渡されたと思ったのか。
そりゃ今までのことがあるからね、、、やりかねない。
「そうじゃないよ、私は君を追い出そうとしてるんじゃない。あの時はお母様がいたからね、あれ以上怒らせたらその手の傷だけじゃ済まなかったよ。」
「お嬢、、、様?」
あ、素で話してしまった。まぁ、、、後々こういう風に話す予定だったし。いいか!
「お母様には上手くいっておくから早く行って。」
そういうと2人は足早にその場を後にした。
「さて、、、と。」
これからどうしたものか。
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌃
そして、どうやら10日後は私の7歳の誕生日なのだという。
だが、あまり興味はなかった。自分でもこんな娘の誕生日などお祝いしたくもない。
「聞いた?今年の誕生日はいつもよりら特別だと奥様が漏らしていたようよ?」
「え、何それ?どういうこと?」
遠くから聞こえてくるメイドたちの話し声に耳を澄ますと何やらとんでもない事が聞こえたような。
「それがね、お嬢様の婚約を発表なさるみたいなの。」
な、、、なんだってぇぇぇぇぇぇ?!
いやいや、落ち着け。このくらいの歳はもう婚約者があてがわれてもおかしくない。
しかし違うのだああああああああぁぁぁ。
このダリア・クロウリーの婚約者はひと味違うのだっ!
こんなことならゲームをやれば良かった!第2王子との婚約ってこんなに早かったの?!
「メアリー。」
私はそばに居るメイド。メアリーに声をかけるといつも早い返事がなかなか帰ってこないので怪訝そうに見上げると、目を丸くして驚いているメアリーの顔があった。
「メアリー?」
「お、お嬢様。わたくしの名前を?」
え?メアリーじゃなかったっけ?
記憶が戻る前はどうでもよかったみたいだけど流石に名前で呼ばないと誰を呼んでいるのかわからないし。
「あなたはメアリーじゃないの?」
「い、いえ!メアリーでございます。」
なんか、少し意外な反応。
「ご用はなんでございましょう、お嬢様。」
「10日後の私の誕生日の事なんだけど。」
真剣な面持ちでメアリーを見つめながら言葉を吐いた。
「なにか特別なことでもあるの?」
「と、特別でございますか?そ、それはお嬢様のお誕生日でございますし特別かと。」
「いや、、、その。」
私が次の言葉を言おうとした瞬間、食堂からなにか割れる大きな物音がした。
それと同時にお母様の怒鳴り声、思い出した。
お母様はワガママ故、こうしてたまに使用人に対して癇癪を起こす。
一度私、ダリアがお母様に口答えをした時も酷く怒鳴られたような。
そこからダリアはお母様に逆らうことはなくなったし、より一層母のように振る舞うようになった。
「メアリーはそこにいなさい、少し見てくるわ。」
「え?お嬢様?お待ちください!」
私は着いてこようとするメアリーに「そこにいなさい」ともう一度念を押して食堂へと向かった。
食堂に入ると割れた食器に手から血を流す1人のメイドと今にも爆発しそうなお母様の姿。
すぐに理解した。なにか気に入らないことをしてしまったのだ。
「お母様。」
「あらダリアちゃん、危ないから部屋に戻ってなさい。」
私の顔を見るなり万遍の笑みを浮かべて猫なで声を出すお母様。
「大きな音が聞こえたので気になってしまって。」
20歳超えた大人が甘えるような声出しちゃって。
早く大人になりたいわ。
「そうなのよぉ、もうすぐダリアちゃんのお誕生日でしょう?それなのにこのメイドがグズだから間に合いそうにないのよ。もっとマシなメイドを雇わないとね。」
「そうなのですか。」
あぁ、嫌だ。私もこんな感じだったなんて。
虫唾が走る。だが、この姿で私に出来ることは少ない。
従順な振りをしよう。
時が来るまで。
「せっかくのわたくしの誕生日パーティですのにほんとに不愉快ですわ!お母様、このメイドのお仕置はわたくしにお任せして頂けませんか?お母様みたいな立派なレディになるために!」
6歳児の飛び切りの笑顔でいうとお母様は二つ返事でOKしてくれた。
早速座り込むメイドのそばに寄って見下すと以下にも悪役らしく「来なさい。」と吐き捨てた。
食堂を出るとメアリーの元へ戻りメイドに渡すように言いつけた。
「メアリー、この子怪我してるから手当してあげて。あと、あなた名前は?」
「は、はい。マーサと申します。」
「そう、今日はもう休んでいいわよ。」
そういうとマーサは真っ青な顔で勢いよく私の下に膝まづいていた。
哀願するかのように縋り付くような目に涙いっぱい貯めて許しを乞うていた。
「お嬢様!申し訳ございません!お嬢様の誕生日のご準備に手間取ってしまい申し訳ございません!なので!どうか!どうか暇だけは!」
ん?あぁ、クビを言い渡されたと思ったのか。
そりゃ今までのことがあるからね、、、やりかねない。
「そうじゃないよ、私は君を追い出そうとしてるんじゃない。あの時はお母様がいたからね、あれ以上怒らせたらその手の傷だけじゃ済まなかったよ。」
「お嬢、、、様?」
あ、素で話してしまった。まぁ、、、後々こういう風に話す予定だったし。いいか!
「お母様には上手くいっておくから早く行って。」
そういうと2人は足早にその場を後にした。
「さて、、、と。」
これからどうしたものか。
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