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91 バーシム先生が教えてくれた事
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翌日、兄様はくれぐれも無理はしないようにと言ってフィンレー公爵領に出かけて行った。
仕事は元々マルリカの実の会議に出る筈だったのでお休みだったんだけど、先週末から休んでいるから、ミッチェル君には書簡を出した。
まだ公にはしないけれど、マルリカの実で子を授かった事と、今後の仕事のやり方については今日お医者様と相談をするって。
なのに…………
「エディ!」
なんとなく来るだろうなって思ったけれど、書簡を送ってすぐだとは思わなかった。さすがミッチェル君。
「おめでとう! 仕事は僕とブライアンが出来る限りやるし、エディの承認が必要なものだけスティーブに渡すよ! だからエディは安心して、絶対に無理しないで!」
「うん、ありがとう。でも今日お医者様とお話するから無理がないように仕事はするよ。ほら、ルシルも前に身体を動かさなきゃダメって」
「そのお医者様の話、僕も聞いたらダメかな。気をつける事をちゃんと聞いて頭の中に叩き込むから! ブライアンには僕が伝えるよ! あぁ、嬉しいけど心配! でもやっぱり嬉しくて泣けてくる! エディほんとにおめでとう! でも無理は絶対に」
エンドレスになりそうなミッチェル君をスティーブ君がにっこり笑って回収していった。
ありがとう、ミッチェル君。あ、でも他の人には知らせないでっていうの忘れていた。
そう言うとスティーブ君が「しっかり言い含めておきました」って。うん。スティーブ君もさすがだね。
でも心配性なのはどうも兄様やミッチェル君だけではなかったみたいで、父様も、母様も、そしてお祖父様まで体調の事と、お医者様の話をしっかり聞きなさいっていうのと、無理をしてはいけないってそれぞれに書簡がきたんだ。僕ってそんなに無茶をする感じなのかな。そんな事ないよね。
とりあえず今日はもう一度バーシム先生とお話をして、僕自身の事をちゃんと分かって、皆が心配をしないようにしなければ。
◆◆◆
「こんにちは。エドワード様」
「こんにちは、バーシム先生。今日はよろしくお願いします」
「はい。よろしくお願いします。ふふふ、沢山いらっしゃいますね」
「ああ、えっと……はい……あの、すみません」
「いえいえ大丈夫ですよ。グリーンベリー、いえ、フィンレー家ではマルリカの実を使っての出産はエドワード様が初めてでしたね。皆様が気になってしまうのは当然の事です。情報を共有するのは良い事だと思いますよ。それでマルリカの実の事を知る人が増えるのは私にとっても良い事です。沢山の人がマルリカの正しい知識を深めていく事が偏見を無くしていく一歩だと思っています」
「はい」
ああ、きっとバーシムさんは今ルフェリットで問題になっている差別の事を知っていらっしゃるんだな。もしかしたらそれは先に実を使っていたシェルバーネも通った道なのかもしれない。
部屋の壁際には今日も先生を連れてきてくれたダリウス叔父様と、この話を聞きたいと昨日から申し出ていたマリーとレオラの他に、テオドールとスティーブ、そしてなぜかミッチェル君もいたんだ。まぁ、気になって仕事にならなかったんだろうな。
「ではまずは身体の変化のお話からいたしましょう」
バーシム先生はそう言って話し始めた。
マルリカの実とそれを使用した者の魔力で子を作り、育てていく器官を作るのは実を食べた三日間。この三日間で女性の子宮のような器官が出来て、赤ちゃんも出来る。でも最初のうちは新しい器官が身体になじまなかったり、赤ちゃんがうまく魔力を取り込めなかったりして、育たなくなってしまう事もあると言われたよ。
僕の場合は昨日はっきりと僕とは違う魔力の動きを感じたから、今のところは順調だけど、男性の場合はなかった器官が作られて、そこで育てていくわけだから、もしも魔力不足を感じるような事があったら、相手と手を合わせたりしてゆっくりと魔力を流してもらうようにって。
「過度に魔力を流し込んでしまうと危ないので、くれぐれも安定期に入るまでは性交は控えてください」
一瞬何を言われたのは分からなくて、ポカンとしてしまったけれど、意味が分かって一気に顔が熱くなった。
視界の端っこでミッチェル君が壁の方を向いてしゃがみ込んだのが見えた。
うん。びっくりしたよね。でもそうなのか……。赤ちゃんがいても安定期っていう時期になったら、そうしてもいいって事? えぇぇぇぇ……
「ルフェリットの方は元々魔力を持っていらっしゃる方が多いので、育てる為の魔力が不足するという事は少ないようですが、稀に子供の魔力が強くて身ごもっている方の魔力までも奪ってしまうような場合もいくつか報告されています。その場合は魔力回復ポーションなども有効です」
「そ、そうですか」
美味しいポーションが出来ていて良かったって思ったよ。
バーシム先生はその他にも色々教えてくれた。
一般的な妊娠の期間が二百八十日で、マルリカの実を使った場合は三日目の日から数える事。特に男性の場合は出産までが二百八十日以下の場合が多い事。器官がしっかりと子を抱え、十分に安定をして馬車などに乗っても大丈夫なのは百三、四十日以降の安定期に入ってからで、それまでは無理をせず、重いものを運んだり、転移などのように強い魔力を通したり、あるいは強い魔力を使う魔法の使用を避け、過度な運動なども控える事。
あと、安定期に入る前、身体が自分とは異なる魔力に慣れるまでの間、「つわり」という気持ちが悪くなってしまったり、食が細くなってしまったり、感情がうまく制御出来なくなったりする事もあるらしい。
出来るだけゆったりと過ごせるように伴侶の方と話をしてくださいって。
「とは言っても約九ヵ月もの間、子を抱えているわけですから、常にゆっくり、穏やかに過ごすというのもかえって神経質になってしまったり、出来なかったと落ち込んでしまったりする事もあるかと思います。あまり気負わず、普段通りに過ごしていただけたら大丈夫ですよ」
「はい」
ちなみにお腹が膨らみ始めるのも安定期くらいからだそう。なんだかまだ想像出来ないな。
そして出産は作られた器官と一緒に魔力で出てくるから心配しないでも大丈夫だと言われたよ。
「まぁ、仕方のない事ですが、時々腹が破けてしまうのではないかとか、出るところが裂けてしまうのではないかとかものすごく心配される方がいらっしゃるのですが、そのような事はないのでご安心ください」
ああ、そうなんだ。うん。前にルシルもそんな事を言っていたけど、お医者様から聞くと、なんていうかすごく衝撃的な感じだね。ああ、ミッチェル君がまた座り込んでいるね。
「多分実際に変化があったりすると不安になったり疑問に思う事も出てくるかと思います。その時には書簡でお知らせ頂ければお返事をいたしますし、定期的に診察をさせていただきたいと思います」
「よろしくお願いします」
思っていたよりも色々と大変だけど、こうして自分の心も身体もお母さんになっていくのかなって思うとなんだかすごく不思議で嬉しい気持ちになったよ。
何よりもバーシム先生を紹介してくれたシャマル様とダリウス叔父様には本当に感謝だ。
話し合いが終わってからテオが今日の事は父様達にお知らせをしてもいいかって尋ねてきたから、別に構わないって答えたけれど、妊娠している人が気を付ける事を聞いて父様達はどうするんだろう?
「エディ、僕も色々と分かったような気がしたから、無理なく、頑張ってね。仕事はちゃんとするからそちらは気にしないで。あと、えっと他の人にはお知らせしないようにするからそれも大丈夫。エディが知らせるべき事を奪ったりはしないよ。あと、あと、えっと元気な赤ちゃんが生まれますようにお祈りするね」
「ありがとう、ミッチェル。仕事の方は色々と忙しくさせちゃうかもしれないけれど、僕も出来るところはちゃんとするからね。一緒によろしくね」
「うん。僕もがんばるよ!」
ミッチェル君はそう言って、何だかものすごく張り切って帰っていった。
そして、夜になって兄様が戻ってきた。実の振り分けの会議は一日で無事終わり、それぞれの国の提示した数をまかなえたって。今日は数の事と過去に起きていた事件のその後の報告で終わり、明日は今後についての話し合いがされる事になったらしい。
「エディが頑張ってくれたお陰だ。収穫数について、皆が驚きをもって感謝をしていた。昨年のやり取りもあるので会議への直接参加は控えさせた事にしたから、皆くれぐれもよろしく伝えてほしいと言っていたよ」
「ありがとうございます。僕も今日はバーシム先生から色々なお話を聞く事が出来て感謝しています。ありがとうございます。安定期っていうのに入るまでは少し時間がかかるようですが、よろしくお願いします」
「うん。こちらこそよろしくね」
そう言って兄様は僕の額に触れるだけの口づけをしてふわりと笑った。
---------
妊夫の心得をお知らせされる皆様( ̄m ̄〃)ぷぷっ!
仕事は元々マルリカの実の会議に出る筈だったのでお休みだったんだけど、先週末から休んでいるから、ミッチェル君には書簡を出した。
まだ公にはしないけれど、マルリカの実で子を授かった事と、今後の仕事のやり方については今日お医者様と相談をするって。
なのに…………
「エディ!」
なんとなく来るだろうなって思ったけれど、書簡を送ってすぐだとは思わなかった。さすがミッチェル君。
「おめでとう! 仕事は僕とブライアンが出来る限りやるし、エディの承認が必要なものだけスティーブに渡すよ! だからエディは安心して、絶対に無理しないで!」
「うん、ありがとう。でも今日お医者様とお話するから無理がないように仕事はするよ。ほら、ルシルも前に身体を動かさなきゃダメって」
「そのお医者様の話、僕も聞いたらダメかな。気をつける事をちゃんと聞いて頭の中に叩き込むから! ブライアンには僕が伝えるよ! あぁ、嬉しいけど心配! でもやっぱり嬉しくて泣けてくる! エディほんとにおめでとう! でも無理は絶対に」
エンドレスになりそうなミッチェル君をスティーブ君がにっこり笑って回収していった。
ありがとう、ミッチェル君。あ、でも他の人には知らせないでっていうの忘れていた。
そう言うとスティーブ君が「しっかり言い含めておきました」って。うん。スティーブ君もさすがだね。
でも心配性なのはどうも兄様やミッチェル君だけではなかったみたいで、父様も、母様も、そしてお祖父様まで体調の事と、お医者様の話をしっかり聞きなさいっていうのと、無理をしてはいけないってそれぞれに書簡がきたんだ。僕ってそんなに無茶をする感じなのかな。そんな事ないよね。
とりあえず今日はもう一度バーシム先生とお話をして、僕自身の事をちゃんと分かって、皆が心配をしないようにしなければ。
◆◆◆
「こんにちは。エドワード様」
「こんにちは、バーシム先生。今日はよろしくお願いします」
「はい。よろしくお願いします。ふふふ、沢山いらっしゃいますね」
「ああ、えっと……はい……あの、すみません」
「いえいえ大丈夫ですよ。グリーンベリー、いえ、フィンレー家ではマルリカの実を使っての出産はエドワード様が初めてでしたね。皆様が気になってしまうのは当然の事です。情報を共有するのは良い事だと思いますよ。それでマルリカの実の事を知る人が増えるのは私にとっても良い事です。沢山の人がマルリカの正しい知識を深めていく事が偏見を無くしていく一歩だと思っています」
「はい」
ああ、きっとバーシムさんは今ルフェリットで問題になっている差別の事を知っていらっしゃるんだな。もしかしたらそれは先に実を使っていたシェルバーネも通った道なのかもしれない。
部屋の壁際には今日も先生を連れてきてくれたダリウス叔父様と、この話を聞きたいと昨日から申し出ていたマリーとレオラの他に、テオドールとスティーブ、そしてなぜかミッチェル君もいたんだ。まぁ、気になって仕事にならなかったんだろうな。
「ではまずは身体の変化のお話からいたしましょう」
バーシム先生はそう言って話し始めた。
マルリカの実とそれを使用した者の魔力で子を作り、育てていく器官を作るのは実を食べた三日間。この三日間で女性の子宮のような器官が出来て、赤ちゃんも出来る。でも最初のうちは新しい器官が身体になじまなかったり、赤ちゃんがうまく魔力を取り込めなかったりして、育たなくなってしまう事もあると言われたよ。
僕の場合は昨日はっきりと僕とは違う魔力の動きを感じたから、今のところは順調だけど、男性の場合はなかった器官が作られて、そこで育てていくわけだから、もしも魔力不足を感じるような事があったら、相手と手を合わせたりしてゆっくりと魔力を流してもらうようにって。
「過度に魔力を流し込んでしまうと危ないので、くれぐれも安定期に入るまでは性交は控えてください」
一瞬何を言われたのは分からなくて、ポカンとしてしまったけれど、意味が分かって一気に顔が熱くなった。
視界の端っこでミッチェル君が壁の方を向いてしゃがみ込んだのが見えた。
うん。びっくりしたよね。でもそうなのか……。赤ちゃんがいても安定期っていう時期になったら、そうしてもいいって事? えぇぇぇぇ……
「ルフェリットの方は元々魔力を持っていらっしゃる方が多いので、育てる為の魔力が不足するという事は少ないようですが、稀に子供の魔力が強くて身ごもっている方の魔力までも奪ってしまうような場合もいくつか報告されています。その場合は魔力回復ポーションなども有効です」
「そ、そうですか」
美味しいポーションが出来ていて良かったって思ったよ。
バーシム先生はその他にも色々教えてくれた。
一般的な妊娠の期間が二百八十日で、マルリカの実を使った場合は三日目の日から数える事。特に男性の場合は出産までが二百八十日以下の場合が多い事。器官がしっかりと子を抱え、十分に安定をして馬車などに乗っても大丈夫なのは百三、四十日以降の安定期に入ってからで、それまでは無理をせず、重いものを運んだり、転移などのように強い魔力を通したり、あるいは強い魔力を使う魔法の使用を避け、過度な運動なども控える事。
あと、安定期に入る前、身体が自分とは異なる魔力に慣れるまでの間、「つわり」という気持ちが悪くなってしまったり、食が細くなってしまったり、感情がうまく制御出来なくなったりする事もあるらしい。
出来るだけゆったりと過ごせるように伴侶の方と話をしてくださいって。
「とは言っても約九ヵ月もの間、子を抱えているわけですから、常にゆっくり、穏やかに過ごすというのもかえって神経質になってしまったり、出来なかったと落ち込んでしまったりする事もあるかと思います。あまり気負わず、普段通りに過ごしていただけたら大丈夫ですよ」
「はい」
ちなみにお腹が膨らみ始めるのも安定期くらいからだそう。なんだかまだ想像出来ないな。
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ああ、そうなんだ。うん。前にルシルもそんな事を言っていたけど、お医者様から聞くと、なんていうかすごく衝撃的な感じだね。ああ、ミッチェル君がまた座り込んでいるね。
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話し合いが終わってからテオが今日の事は父様達にお知らせをしてもいいかって尋ねてきたから、別に構わないって答えたけれど、妊娠している人が気を付ける事を聞いて父様達はどうするんだろう?
「エディ、僕も色々と分かったような気がしたから、無理なく、頑張ってね。仕事はちゃんとするからそちらは気にしないで。あと、えっと他の人にはお知らせしないようにするからそれも大丈夫。エディが知らせるべき事を奪ったりはしないよ。あと、あと、えっと元気な赤ちゃんが生まれますようにお祈りするね」
「ありがとう、ミッチェル。仕事の方は色々と忙しくさせちゃうかもしれないけれど、僕も出来るところはちゃんとするからね。一緒によろしくね」
「うん。僕もがんばるよ!」
ミッチェル君はそう言って、何だかものすごく張り切って帰っていった。
そして、夜になって兄様が戻ってきた。実の振り分けの会議は一日で無事終わり、それぞれの国の提示した数をまかなえたって。今日は数の事と過去に起きていた事件のその後の報告で終わり、明日は今後についての話し合いがされる事になったらしい。
「エディが頑張ってくれたお陰だ。収穫数について、皆が驚きをもって感謝をしていた。昨年のやり取りもあるので会議への直接参加は控えさせた事にしたから、皆くれぐれもよろしく伝えてほしいと言っていたよ」
「ありがとうございます。僕も今日はバーシム先生から色々なお話を聞く事が出来て感謝しています。ありがとうございます。安定期っていうのに入るまでは少し時間がかかるようですが、よろしくお願いします」
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そう言って兄様は僕の額に触れるだけの口づけをしてふわりと笑った。
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