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68 若妻たちとプラス1 ③

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 何だかよく分からないけど、マルリカの話だよね! って強制的にミッチェル君が引き戻して、どの辺の情報が不足しているのか上げてみようという事になった。
 でもどの辺もこの辺も何が分かっていないのか分からないから、経験をした人がこうだったのか! って思った事を拾い上げて行く方がいいんじゃない? って話になった。

「何が不安なのかって聞かれたら分からないから全部って言いたくなっちゃうよ。それにそんな風に思うのは自分だけじゃないのかなとも考えちゃうし。だから経験した人がこうだったんだって思うものを教えてもらえるのはすごくいいと思う」

 トーマス君の言葉に僕はうんうんって頷いた。

「そうだね。体験談もあるといいのかな。あと、もし手紙とか冊子のようなものにするなら質問と答えみたいな書き方が分かりやすいのかもしれないな。例えばトムは最初に何が分からなかった? その……使い方以外で」

 ルシルが尋ねるとトーマス君は「えぇぇ」って声を出してチラッと僕を見た。

「さっきも出たけど、分からないのが分からないんだ。でも基本的な知識は欲しいかな。マルリカの実でどうして子供が出来るのかとか、その……男性の場合はどこに出来て育っていくのかとか、う、産む時は痛くないのかなとか? だって! だって、出てくるのってやっぱりあそこでしょ? そこから赤ちゃんが出てきたら、ここここ怖いよね!」

 これ以上は無理というほど顔を赤くしたトーマス君はそう言いきって両手で顔を隠してしまった。
 うん。僕もそう思ったよ。ありがとう、トーマス君。
 ミッチェル君も僕も顔を赤くしてコクコクと頷いた。

「あ~、うんそうだよね。僕も不安だったよ。お医者様もマルリカの実の子供は初めての場合が多いみたいだし。でも徐々に経験のある助産師様が増えてくるんじゃないかなって、それで思い出した! なんかさー! マルリカの実って魔力が多い方がお産が楽みたいな事をシェルバーネに知り合いがいる人に聞いたとかってシルヴィが言ってそれなら自分が付きそうとか言い出してさ!」
「えぇぇ!」
「ありえないでしょ!? 足開いていきんでるところなんて見られたくないにきまってるし! 大体助産師を入れるっていう時にも愚図ったんだよ! そんな所を見せるのかとか! 見せるも見せないもないじゃない! だって出てきたのを自分で取り上げるのなんて出来ないしさ!」

 はわわわ……ルシルが壊れた!

「でも考えたら治癒魔法とかあるから医者に身体見せる事ってあんまりないもんね。こいつ馬鹿なの? って思ってからそういえばって思い返したんだけど……あ、ごめん、皆大丈夫?」
「……う、うん」
「えっと、きっと二人の旦那様はそんな事言わないと思うから大丈夫だよ。ミッチェルはそういう人を選んでね。とにかく、産む前にね、その……これは女性も男性も同じだけど、洗浄魔法をかけるから赤ちゃんじゃないものが出てきちゃう心配はないよ」

 ミッチェル君が隣で小さく「ひぃ!」って言ったのが聞こえた。

「痛いのは痛いけど、最初の陣痛、うーん、赤ちゃんが出てくるよっていうお知らせみたいなのが一番痛かった。出てくる時はマルリカの実が作っている膜みたいな、入れ物みたいなそれごと出てくるの。勿論圧迫感はあるけど、多分魔力がここで必要なんだと思う、赤ちゃんにも、母親にも。だからさっきトムが言っていたけどどうして通るのか分からないけど、赤ちゃんをくるんで守っているそれが外に出ると大きくなって、膜は剥がれて赤ちゃんが残るんだって。僕は何が何だか分からなかったけど、生まれ落ちたっていう感覚で、少ししたら泣き声が聞こえてきたの。それで「おめでとうございます」って助産師さんが顔の近くに赤ちゃんを置いてくれたんだ。もっとも泣き声を聞いたシルヴィーが部屋に入ろうとしてちょっと揉めていたみたいだけど。ふふふ、もうさ~なんかこう、笑っちゃうよね」

 ルシルはそう言って困ったような、けれどどこか嬉しそうな顔をして笑って、僕達は何をどう答えていいのか分からなくて、ぐったりしてしまった。
 
 とりあえず、それなりに大変そうだけど体験談とかこうなるよみたいなものは、不安な人たちの為に出した方がいいと思う。でもどこまで解説するのかは確かに難しいかも。あまりはっきりだと余計怖くなっちゃうかもしれないって思ったもの。
 ちなみに僕たち三人は帰ってからみんな熱を出した。
 知恵熱だよね。
 兄様には心配されてしまったけど、聞いてきた話をさすがにそのまま話す事は出来なかったよ。



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ふふふ、まぁこんな感じで生まれるという事で…………|ω・)
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