悪役令息にならなかったので、僕は兄様と幸せになりました!

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56 久しぶりのお茶会

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 四の月に入って今年の分のマルリカの実の販売が始まった。
 グリーンベリーでは最初の一週間で15個が販売された。まずまずのスタートだと思う。
 約二千個のマルリカの実。会議では今年は増えるって皆言っていたけれど、どうなるのかな。とりあえず僕は苗木を増やす作業を始めている。専用の温室が出来たらマルリカの木は全てお引越しだ。

 でも領主としての仕事としては、年明けのバタバタとした事も落ち着き始めていて、新しく雇った人たちも大分仕事に慣れてきた。ここからは当分の間、通常業務の繰り返しだ。

 だから僕は久しぶりに皆に元気ですか? っていう書簡を出した。良かったら近況を話しにきませんか? っていうお誘いに返事があったのはトーマス君とレナード君。
 ミッチェル君とクラウス君とスティーブ君はグリーンベリーに居るから「来てね」の一言で終了。
 そして、ルシルも気分転換をしたいっていう返事があった。
 ユージーン君はトーマス君と二人で参加は難しいからっていうお返事で、エリック君は妹さんが出産の為に実家に戻ってきているそうで、そろそろ生まれる予定なので、また声をかけてほしいというお返事だった。
 せっかくだからブライアン君にも声をかけてみたんだけど、やんわりとお断りをされてしまった。せっかくの集まりなので楽しんで下さいって。

 シャマル様は四の月の終わり頃になりそうだってダリウス叔父様から書簡が届いていたから、お茶会は四の月の十八日にした。
 それぞれの転移陣はフィンレーと同じように別棟の方に設置をした。ルシルとトーマス君はすでに設置済みだから今回はレナード君の転移陣を設置した。これでエスポワールとの行き来も可能になった。


 ◇ ◇ ◇

 
 久しぶりのお茶会にシェフが張り切って、準備はばっちり。
 当日はとても良い天気で、小サロンから見える庭はマーク達が手入れをしている薔薇が綺麗に咲いていた。

 僕は出迎えの為に別棟の転移陣を設置した部屋に来ていた。
 そろそろ予定の時間まで十リィン(分)程になるとロマースクのユージーン君達の屋敷と繋いだ陣が使用された印が光り、中からトーマス君がニコニコと笑いながら出てきた。
「エディ、お久しぶり」
「いらっしゃい、トム」

 その後すぐにエスポワールとの転移陣にも印が光った。

「お招きありがとうございます、エディ」
「わぁ、レオン久しぶり。ねぇ、また背が伸びたの?」
「う~ん、どうだろう」
「ミッチェルとクラウスとスティーブは小サロンの方で待っているんだ、もうルシルも来ると思うから護衛たちと一緒に先に行っていてくれるかな。案内をお願い」
「はい。どうぞこちらへ」
「ルシルは今日来られるの?」

 トーマス君はルシルが懐妊した事を知っているんだ。

「うん。とにかく気分転換をしたいから必ず行くっていう返事が来たよ」
「そうなんだ。会えるのを楽しみにしていたから嬉しい。じゃあ先に部屋に行っているね」
「うん」

 トーマス君とレナード君を見送って僕は転移陣のある部屋を振り返った。

「何か連絡が来ている?」
「いえ、書簡などが届きましたらすぐに知らせが参ります」

 専属メイドの一人が答えた。彼女もフィンレーからずっと仕えてくれている女性だ。

「そう。ならもうそろそろ来るかな」

 そう言っているとリュミエールとの転移陣が使われた印が光った。そして。

「遅くなってごめんなさい!」

 中から少しだけお腹がふっくらとしたルシルが現れた。ああ、良かった。元気そうだってホッとした途端。

「もうさ~! 安定期に入っているって言っているのに、転移陣は大丈夫なのかってくどいんだ! 昨日の夜もちゃんと話をしたのにさ! 動かないで体重が増えすぎる方が大変なんだっていくら言っても聞かないし! しかも護衛は自分がするって馬鹿なの⁉」
「ル、ルシル……」
「あ、うん。ごめんね、エディ。今日はよろしくね」

 これは相当溜め込んでいるなと思いながら、僕達はお茶会の会場である小サロンに向かった。

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激おこルシル。
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