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お気に入り1234記念『彼誰時の独り言』(かわたれどきのひとりごと)

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 結婚をしてからしばらくの間、目が覚めて、隣にある温もりにハッとして顔を上げて確かめて、それからホッとしてもう一度そのぬくもりの隣に戻る。そんな事をしていた。
 戻ると無意識にもぞもぞと近づいて来る身体が愛おしくて、そっと抱き寄せる。
 それがひどく嬉しくて、愛おしかった。


 グリーンベリーはフィンレーに比べて冬でもあまり雪が降らない。
 勿論寒くはなるけれど、それでも一面が銀世界になるような事も、魔道具が設置をされていない廊下の寒さに驚くような事もなく、夏は夏だと分かるような、冬は冬だと分かるような、そんな気候の中で農村地域と鉱石や金属などを産出したり加工をしたりする地域に分かれている興味深い領だ。
 色々な事に興味を持って、自分の中に吸収をしていくエディに良く合っていると思う。

 十二の時に自分の気持ちを自覚した。
 そうして、ただただ驚かせないように、怖がらせないように、そして絶対的な味方としながらも、大好きだよと繰り返した。
 向けられている気持ちは、家族に対するものだとしても、勿論それだけで終わらせるわけにはいかない。
 だけど、それでもエディの中でその気持ちが家族以上のものにならなければ、その時は……

「そんな事を、思ったりもしたんだけどね……」

 部屋の中はまだ薄暗くて、まだ起きるには早い時間だと伝えてくる。

「……でも、諦めるつもりはなかったけどね」

 呟きながらそっとミルクティ色の髪に口づけて、私はそっと目を閉じた。


*****


 けれどその数日後……

「ふふ……兄様の寝顔だ……」」

 小さな声が聞こえて来て、ふわりと意識が浮かんだけれど、見つめられている感覚にそのままで居ると温かなぬくもりがもぞもぞとしがみついてくる。

「……うん。夢じゃない」

 聞こえてきたほっとしたような色を含んだ言葉。
 どうやら、私たちはお互いに同じような事をしていたらしい。
 顔がにやけそうになってくるのを隠すように、寝返りを装ってしがみついている身体を抱き寄せた。

 腕の中の身体はすぐに力が抜けて、小さな寝息が聞こえ始める。



 ねぇ、エディ。私たちは似た者夫婦なのかもしれないね。



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かわたれどき(彼誰時) 人の見分けがつきにくい夜明けの薄暗い時刻
  ↕
たそがれどき(黄昏時) 
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