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19 考える事は無駄な事ではない
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父様から会議や事件の事を聞いた時に、屋敷と執務室のある役所の防御を高くするように言われて、僕は魔法陣を組んでそうしたんだけど、シェルバーネとの話し合いの後で父様は、更に強い防御と結界の魔法が施すと言った。
三の月の収穫後にルフェリットではマルリカの実の事を国内に発表する事になったから、雇った人たちも、もう一度きちんと調べ直すって。
多分どこかから実の事が漏れている可能性があるというのが気がかりなんだろうなって思った。
そしてその話を聞いた翌日、お祖父様とレイモンドの魔導士たちがやって来た。レイモンド家は魔導騎士の強さで有名なんだけど、とても力のある魔導士もいるんだ。要するに魔法に関してすごく長けている家柄っていうのかな。
以前はその事で嫡男のアシュトンさんと次男のマーティン君が揉めたり、ミッチェル君がレイモンドの跡を継ぐような話が出たりゴタゴタしていたんだけど、どうやらアシュトンさんが家督を継ぐ事が本決まりになりそうなんだって。まだ決まってはいないみたいだけど。
でもフィンレーもそうだけど、現当主はまだまだ元気だし、これからも是非とも頑張ってほしいなって思っている。きっと父様にそれを言ったら困ったような顔をされちゃうんだろうな。
二日ほどして屋敷の防御結界の新たな魔法陣が完成して、更に結界強化の為の魔道具を設置して、僕の屋敷と僕の働く場所はものすごく守りが強くなった。あの魔人騒ぎの時よりも強く改良をしたんだって聞いてちょっと引いてしまった。
そうなると妖精たちがまた入れなくなるかもしれないなって思ったけど、妖精たちはすでに自分たちだけが使える道があるから大丈夫だと言っていた。
ちなみに屋敷の方には怪しい人はいなかったみたいだけど、執務用の方には二人位いて、父様達がすみやかに辞めさせたって言っていた。
そんな感じで時間が過ぎて、もう二の月も後半だ。
マルリカの実の事をどうするか相談をしなきゃって思っていたんだけど、自分でも何をどうしていいのか分からないまま相談をするっていうのもなって思って、僕は兄様に中々言い出せずにいた。そうしたら父様の方から声がかかった。
執務室でミッチェル君たちと、試作場で最終確認をしていた苗の販売について確認をしていた午後、スティーブ君が父様と兄様が屋敷に来ているので戻ってほしいって言いに来たんだ。予定外の訪問に僕はビックリして、ミッチェル君達に確認は明日にするって言って屋敷に戻った。
「急に時間を取らせてすまないね。シェルバーネとの対談の日が三の月の十五日に決まった。実の成長に問題がなければ十三日までに収穫を終えて最終的な数を出してほしい」
「分かりました」
「それでね、エドワード。マルリカの実に何か付与が出来ないかを考えていると、アルフレッドや父から少し聞いたのだけれど」
父様の言葉に兄様は少しだけすまなそうな表情を浮かべていた。きっと勝手に話してすまなかったって思っているのかもしれないな。だけどここまで相談を出来なかったのは僕自身だし、収穫の日時も決まってこれから何かというのも難しいと思うんだ。
「……はい。事件の事を聞いて、きっと父様やハワード先生、そしてシェルバーネの方たちも同じような事が起こらないように法を作られたり、策を講じると思ったのですが、もし、実自体に犯罪を防げるような力を付与する事が出来たらと思っていました。ただ、兄様からも一緒に相談をしようと言われたのですが、付与が出来たとしてもどんな付与がいいのか、僕自身が決めかねていて相談を出来ずにいました。すみません」
僕の話を聞いて父様は「なるほど」と短く答えて言葉を繋げた。
「謝る事はないよ。考える事は無駄な事ではないからね。ちなみに、どのような事を考えていたのか聞いてもいいかい?」
「……はい。あの……付与の内容以前に【緑の手】の力で植物に何かの力の付与は可能なのか。加護によって力を付与した物を食べるという事が安全なのか、付与する事に対してどのような事が起こるのかをもっと検証しなければならないという事も考えました」
「うん」
「付与の内容については、その……望まない子供は出来ないようにならないかと考えました。本当に実を使う二人の気持ちが本当に子供を望まなければ、子を授かる事がないような。そうすれば売られてきた人を、実を使う為に買う様な事は無くなるのかなって……。だけどそれがどこまで抑止力になるのかは分からないなって思ったりして。それならどういうものがいいのか……」
どんどん小さくなっていく僕の言葉に、父様は二度三度と頷きながら父様は「エドワードは子供を本当に望む者にしか、実の力を出せないようにするという事を考えたんだね」と話し始めた。
-------
一旦切ります。
三の月の収穫後にルフェリットではマルリカの実の事を国内に発表する事になったから、雇った人たちも、もう一度きちんと調べ直すって。
多分どこかから実の事が漏れている可能性があるというのが気がかりなんだろうなって思った。
そしてその話を聞いた翌日、お祖父様とレイモンドの魔導士たちがやって来た。レイモンド家は魔導騎士の強さで有名なんだけど、とても力のある魔導士もいるんだ。要するに魔法に関してすごく長けている家柄っていうのかな。
以前はその事で嫡男のアシュトンさんと次男のマーティン君が揉めたり、ミッチェル君がレイモンドの跡を継ぐような話が出たりゴタゴタしていたんだけど、どうやらアシュトンさんが家督を継ぐ事が本決まりになりそうなんだって。まだ決まってはいないみたいだけど。
でもフィンレーもそうだけど、現当主はまだまだ元気だし、これからも是非とも頑張ってほしいなって思っている。きっと父様にそれを言ったら困ったような顔をされちゃうんだろうな。
二日ほどして屋敷の防御結界の新たな魔法陣が完成して、更に結界強化の為の魔道具を設置して、僕の屋敷と僕の働く場所はものすごく守りが強くなった。あの魔人騒ぎの時よりも強く改良をしたんだって聞いてちょっと引いてしまった。
そうなると妖精たちがまた入れなくなるかもしれないなって思ったけど、妖精たちはすでに自分たちだけが使える道があるから大丈夫だと言っていた。
ちなみに屋敷の方には怪しい人はいなかったみたいだけど、執務用の方には二人位いて、父様達がすみやかに辞めさせたって言っていた。
そんな感じで時間が過ぎて、もう二の月も後半だ。
マルリカの実の事をどうするか相談をしなきゃって思っていたんだけど、自分でも何をどうしていいのか分からないまま相談をするっていうのもなって思って、僕は兄様に中々言い出せずにいた。そうしたら父様の方から声がかかった。
執務室でミッチェル君たちと、試作場で最終確認をしていた苗の販売について確認をしていた午後、スティーブ君が父様と兄様が屋敷に来ているので戻ってほしいって言いに来たんだ。予定外の訪問に僕はビックリして、ミッチェル君達に確認は明日にするって言って屋敷に戻った。
「急に時間を取らせてすまないね。シェルバーネとの対談の日が三の月の十五日に決まった。実の成長に問題がなければ十三日までに収穫を終えて最終的な数を出してほしい」
「分かりました」
「それでね、エドワード。マルリカの実に何か付与が出来ないかを考えていると、アルフレッドや父から少し聞いたのだけれど」
父様の言葉に兄様は少しだけすまなそうな表情を浮かべていた。きっと勝手に話してすまなかったって思っているのかもしれないな。だけどここまで相談を出来なかったのは僕自身だし、収穫の日時も決まってこれから何かというのも難しいと思うんだ。
「……はい。事件の事を聞いて、きっと父様やハワード先生、そしてシェルバーネの方たちも同じような事が起こらないように法を作られたり、策を講じると思ったのですが、もし、実自体に犯罪を防げるような力を付与する事が出来たらと思っていました。ただ、兄様からも一緒に相談をしようと言われたのですが、付与が出来たとしてもどんな付与がいいのか、僕自身が決めかねていて相談を出来ずにいました。すみません」
僕の話を聞いて父様は「なるほど」と短く答えて言葉を繋げた。
「謝る事はないよ。考える事は無駄な事ではないからね。ちなみに、どのような事を考えていたのか聞いてもいいかい?」
「……はい。あの……付与の内容以前に【緑の手】の力で植物に何かの力の付与は可能なのか。加護によって力を付与した物を食べるという事が安全なのか、付与する事に対してどのような事が起こるのかをもっと検証しなければならないという事も考えました」
「うん」
「付与の内容については、その……望まない子供は出来ないようにならないかと考えました。本当に実を使う二人の気持ちが本当に子供を望まなければ、子を授かる事がないような。そうすれば売られてきた人を、実を使う為に買う様な事は無くなるのかなって……。だけどそれがどこまで抑止力になるのかは分からないなって思ったりして。それならどういうものがいいのか……」
どんどん小さくなっていく僕の言葉に、父様は二度三度と頷きながら父様は「エドワードは子供を本当に望む者にしか、実の力を出せないようにするという事を考えたんだね」と話し始めた。
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一旦切ります。
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