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1 悪役令息にならなかったので
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ルフェリット王国は南を海に、北を高い山々に挟まれるような逆三角形の形をした豊かな国だ。
今から十年程前、国の中は禍と呼ばれる何かがその力を徐々に広げていった。
始めは何気ないような変化だった、けれどそれは次第に王国の中に拡がり始める。人々が「今年はなんだか……」というようなジワリと滲み出すようなそんな感覚だったのだ。
魔素が湧く場所が増えてきたり、それに伴い穢れによる魔獣の出現も増えて行く。そうしているうちにどこからともなく、魔物が出現するという事例が増え、そのうち想定外の場所に現れるようにもなってきた。
変化は魔素や魔物だけではなかった。天候不順による作物の収穫の減少や何故か女性だけがかかる奇病も出始めた。何かがおかしい、でも何が起きているのは分からない。その事に疑問を持った者達がその変化について調べ始める。そんな状況の中で、大きな被害が出た。
ハーヴィン領とマーロウ領の領境の村を魔物の群れが襲ったのだ。そして生き残ったのはたった一人の子供。聖魔法の属性を持つ【光の愛し子】だった。
そしてその光の愛し子と敵対をして、破れてしまうのが『悪役令息』と呼ばれる僕、エドワード・フィンレーの筈だった。
でも僕は『悪役令息』になんかならなかった………………
「…………ん……」
瞼がピクピクってして小さな声が漏れ落ちた。
カーテンは薄地の物と厚地の物を使っているけれど全ての光を防いではくれない。でもそれで丁度いい。だっていつまでも暗かったらまだ夜なのかなって思っちゃうから……
「…………エディ? 目が覚めたの?」
耳元で聞こえる優しい声。
「……っ……あさ……」
「うん。おはよう。朝だよ。でも今日は休日だからもう少し休んでいてもいいよ」
「…………きゅう……う……」
声を出してはいるけれど、きちんとした返事にはなっていない。そんな事を繰り返しながらゆっくりと浮上していく意識。
「ふふふ、まだ眠そうだ。ごめんね、休み前だったからちょっと無茶させてしまったね」
そう言いながらチュッと軽い音を立てて頬に触れた何かに僕はハッとして目を開けた。
「! わぁぁぁぁ」
「おはよう、エディ」
「お、おはようございます……アル」
「うん。もう起きる? それとももう少しゆっくりしようか。」
覗き込んでくるキラキラの空色の瞳。
「……っ……えっと、お、起きます」
「そう? お休みだけど?」
「う……うん。でも今日は温室を見るって。そろそろ収穫……んん」
話し出した口を塞ぐようにして重なってきた唇に、僕は思わずジタバタとして……そっとその背中に手を回した。
「エディ?」
「……もう少しだけ、こうしていても?」
「もちろん」
顔を見合わせてふふっと二人で笑って、僕達は先ほどよりも少しだけ深い口づけを交わした。
◇ ◇
僕の名前はエドワード・フィンレー・グリーンベリー。グリーンベリー伯爵家の当主だ。
そして僕の愛する旦那様の名前はアルフレッド・グランデス・フィンレー。フィンレー公爵家の次期当主だ。
僕は四歳の時に当時フィンレー侯爵だった父様に保護をされてフィンレー家の養子になった。
ハーヴィン家に居た頃の事はあまりその記憶はないんだけれど、僕は両親から虐待をされていて、いつも助けてくれた専属侍女のマリーが父様を呼んできてくれなかったら、多分生きてはいなかったらしい。
ボロボロだった僕は神殿の治癒魔法士様に身体を治していただいた。でもその時に僕は僕の中にはエドワード・ハーヴィンという四歳児の記憶だけでなく、誰かは分からない二十一歳の男の人の記憶がある事に気付いたんだ。そしてその記憶の中の小説が、僕がいるこの世界にとてもよく似ている事も分かってしまった。
記憶の中にある『愛し子の落ちた銀の世界』という小説の中で、僕エドワード・フィンレーは『悪役令息』だった。義兄となったアル兄様を殺し、小説の主人公である愛し子たちの邪魔をして、最後には断罪されて殺されてしまう。
でも僕は仲良くしてくれた兄様を殺したくなかったし、僕自身も死にたくなかった。だから『悪役令息』にならないためにいい子にして小説のようにならないようにしようって決めたんだ。
それから先は色々な事があった。小説と同じような事も起きたし、違っている事も沢山あった。
僕と兄様はそれを一つ一つ乗り越えてきたよ。兄様が転生者っていうものに身体を乗っ取られた時は本当に悲しくてどうしていいのか分からなくなったりもしたけれど、兄様はちゃんと僕の所に戻ってきて、僕の最強の味方になってくれた。
兄様以外にも僕の周りには小説とは違って父様も、母様も、そして双子の弟達や、お祖父様やお祖母様。それにお友達もいたし、兄様のお友達もとても優しかった。
でもね、僕にとっての一番はずっとずっと兄様だった。エディって呼んでくれて、沢山の絵本を読んでくれて、色々な事を教えてくれた。僕は兄様が本当に本当に大好きで、絶対に殺すなんてしたくないって思い続けていた。もしもそんな事が起きてしまいそうだったら自分が死んでしまった方がいいって思っていた。
僕は勿論小説のように兄様を殺すような事はしなかった。そして僕も殺されなかった。主人公のルシルとも友達になったけど、ルシルは小説とは違って女の子ではなく男の子だった事に驚いたりしたけれど、小説の中に書かれていた『世界バランスの崩壊』と呼ばれる禍に皆で立ち向かった。
そして、僕が高等部二年の三の月、王城の敷地内にある森でスタンピードが起きてしまう事が分かった日、兄様は僕にプロポーズをしてくれた。
「エドワード・フィンレー様、私、アルフレッド・グランデス・フィンレーは貴方を心から愛しています。学園を卒業したらどうか私と結婚をして下さい」
スタンピードは本当に激しい戦いになった。丁度第三の『首』の封印強化がある中で、魔人が現れてしまったり、黒竜まで現れて最悪の一日になってしまった。
僕は僕の出来る事を出来る限りするってずっとずっと決めていた。だから6歳の時に魔力暴走を起こした時に使った【精霊王の祝福】の加護の力を使ったんだ。そうしてスタンピードは終わり、その後も勿論色々あったんだけど、父様達が心配していたように僕は周りからその力の為に囲い込まれてしまう事も、気味悪がられて殺されてしまう様な事もなく、その功績を認められて伯爵位を授かる事になった。そしてね……
「エディ、やっぱり二度寝は無理かな? 起きる?」
金色の髪がさらりと揺れて、大好きなブルーの瞳が僕の顔を覗き込んできた。
「う~ん、そうですね。イチゴが丁度熟しそうだったから、この前シェフが作ってくれたクレープっていうのがまた食べたいかも」
「ふふふ、お腹が空いたのか。でもイチゴのクレープは朝食にはならないな。よし、じゃあ、起きよう」
そう言うと兄様はそのまま身体を起こした。
「あ」
「うん?」
「……また、背中に。僕のせいですね。すみません」
「ええ? 大した事ないよ。こんなの直ぐに治る。それにね、エディと愛し合った証拠だからね」
「あい……」
即座に真っ赤になった僕の顔を見て兄様は小さく笑ってベッドを降りた。ううう、結婚してもう一年半くらい経つのに、まだまだこういうのには慣れないな。
「エディ? 身体が辛いならポーションを飲む? それともダイニングまで抱っこしていこうか?」
「‼ 大丈夫です!」
その言葉を聞いて、僕は慌ててベッドから降りた。目の端に二の腕の内側に付けられた赤い跡が見えてなんだか恥ずかしいけれど、擽ったいような、幸せな気持ちになった。
----------------
続編開始です。
よろしくお願いします。
今から十年程前、国の中は禍と呼ばれる何かがその力を徐々に広げていった。
始めは何気ないような変化だった、けれどそれは次第に王国の中に拡がり始める。人々が「今年はなんだか……」というようなジワリと滲み出すようなそんな感覚だったのだ。
魔素が湧く場所が増えてきたり、それに伴い穢れによる魔獣の出現も増えて行く。そうしているうちにどこからともなく、魔物が出現するという事例が増え、そのうち想定外の場所に現れるようにもなってきた。
変化は魔素や魔物だけではなかった。天候不順による作物の収穫の減少や何故か女性だけがかかる奇病も出始めた。何かがおかしい、でも何が起きているのは分からない。その事に疑問を持った者達がその変化について調べ始める。そんな状況の中で、大きな被害が出た。
ハーヴィン領とマーロウ領の領境の村を魔物の群れが襲ったのだ。そして生き残ったのはたった一人の子供。聖魔法の属性を持つ【光の愛し子】だった。
そしてその光の愛し子と敵対をして、破れてしまうのが『悪役令息』と呼ばれる僕、エドワード・フィンレーの筈だった。
でも僕は『悪役令息』になんかならなかった………………
「…………ん……」
瞼がピクピクってして小さな声が漏れ落ちた。
カーテンは薄地の物と厚地の物を使っているけれど全ての光を防いではくれない。でもそれで丁度いい。だっていつまでも暗かったらまだ夜なのかなって思っちゃうから……
「…………エディ? 目が覚めたの?」
耳元で聞こえる優しい声。
「……っ……あさ……」
「うん。おはよう。朝だよ。でも今日は休日だからもう少し休んでいてもいいよ」
「…………きゅう……う……」
声を出してはいるけれど、きちんとした返事にはなっていない。そんな事を繰り返しながらゆっくりと浮上していく意識。
「ふふふ、まだ眠そうだ。ごめんね、休み前だったからちょっと無茶させてしまったね」
そう言いながらチュッと軽い音を立てて頬に触れた何かに僕はハッとして目を開けた。
「! わぁぁぁぁ」
「おはよう、エディ」
「お、おはようございます……アル」
「うん。もう起きる? それとももう少しゆっくりしようか。」
覗き込んでくるキラキラの空色の瞳。
「……っ……えっと、お、起きます」
「そう? お休みだけど?」
「う……うん。でも今日は温室を見るって。そろそろ収穫……んん」
話し出した口を塞ぐようにして重なってきた唇に、僕は思わずジタバタとして……そっとその背中に手を回した。
「エディ?」
「……もう少しだけ、こうしていても?」
「もちろん」
顔を見合わせてふふっと二人で笑って、僕達は先ほどよりも少しだけ深い口づけを交わした。
◇ ◇
僕の名前はエドワード・フィンレー・グリーンベリー。グリーンベリー伯爵家の当主だ。
そして僕の愛する旦那様の名前はアルフレッド・グランデス・フィンレー。フィンレー公爵家の次期当主だ。
僕は四歳の時に当時フィンレー侯爵だった父様に保護をされてフィンレー家の養子になった。
ハーヴィン家に居た頃の事はあまりその記憶はないんだけれど、僕は両親から虐待をされていて、いつも助けてくれた専属侍女のマリーが父様を呼んできてくれなかったら、多分生きてはいなかったらしい。
ボロボロだった僕は神殿の治癒魔法士様に身体を治していただいた。でもその時に僕は僕の中にはエドワード・ハーヴィンという四歳児の記憶だけでなく、誰かは分からない二十一歳の男の人の記憶がある事に気付いたんだ。そしてその記憶の中の小説が、僕がいるこの世界にとてもよく似ている事も分かってしまった。
記憶の中にある『愛し子の落ちた銀の世界』という小説の中で、僕エドワード・フィンレーは『悪役令息』だった。義兄となったアル兄様を殺し、小説の主人公である愛し子たちの邪魔をして、最後には断罪されて殺されてしまう。
でも僕は仲良くしてくれた兄様を殺したくなかったし、僕自身も死にたくなかった。だから『悪役令息』にならないためにいい子にして小説のようにならないようにしようって決めたんだ。
それから先は色々な事があった。小説と同じような事も起きたし、違っている事も沢山あった。
僕と兄様はそれを一つ一つ乗り越えてきたよ。兄様が転生者っていうものに身体を乗っ取られた時は本当に悲しくてどうしていいのか分からなくなったりもしたけれど、兄様はちゃんと僕の所に戻ってきて、僕の最強の味方になってくれた。
兄様以外にも僕の周りには小説とは違って父様も、母様も、そして双子の弟達や、お祖父様やお祖母様。それにお友達もいたし、兄様のお友達もとても優しかった。
でもね、僕にとっての一番はずっとずっと兄様だった。エディって呼んでくれて、沢山の絵本を読んでくれて、色々な事を教えてくれた。僕は兄様が本当に本当に大好きで、絶対に殺すなんてしたくないって思い続けていた。もしもそんな事が起きてしまいそうだったら自分が死んでしまった方がいいって思っていた。
僕は勿論小説のように兄様を殺すような事はしなかった。そして僕も殺されなかった。主人公のルシルとも友達になったけど、ルシルは小説とは違って女の子ではなく男の子だった事に驚いたりしたけれど、小説の中に書かれていた『世界バランスの崩壊』と呼ばれる禍に皆で立ち向かった。
そして、僕が高等部二年の三の月、王城の敷地内にある森でスタンピードが起きてしまう事が分かった日、兄様は僕にプロポーズをしてくれた。
「エドワード・フィンレー様、私、アルフレッド・グランデス・フィンレーは貴方を心から愛しています。学園を卒業したらどうか私と結婚をして下さい」
スタンピードは本当に激しい戦いになった。丁度第三の『首』の封印強化がある中で、魔人が現れてしまったり、黒竜まで現れて最悪の一日になってしまった。
僕は僕の出来る事を出来る限りするってずっとずっと決めていた。だから6歳の時に魔力暴走を起こした時に使った【精霊王の祝福】の加護の力を使ったんだ。そうしてスタンピードは終わり、その後も勿論色々あったんだけど、父様達が心配していたように僕は周りからその力の為に囲い込まれてしまう事も、気味悪がられて殺されてしまう様な事もなく、その功績を認められて伯爵位を授かる事になった。そしてね……
「エディ、やっぱり二度寝は無理かな? 起きる?」
金色の髪がさらりと揺れて、大好きなブルーの瞳が僕の顔を覗き込んできた。
「う~ん、そうですね。イチゴが丁度熟しそうだったから、この前シェフが作ってくれたクレープっていうのがまた食べたいかも」
「ふふふ、お腹が空いたのか。でもイチゴのクレープは朝食にはならないな。よし、じゃあ、起きよう」
そう言うと兄様はそのまま身体を起こした。
「あ」
「うん?」
「……また、背中に。僕のせいですね。すみません」
「ええ? 大した事ないよ。こんなの直ぐに治る。それにね、エディと愛し合った証拠だからね」
「あい……」
即座に真っ赤になった僕の顔を見て兄様は小さく笑ってベッドを降りた。ううう、結婚してもう一年半くらい経つのに、まだまだこういうのには慣れないな。
「エディ? 身体が辛いならポーションを飲む? それともダイニングまで抱っこしていこうか?」
「‼ 大丈夫です!」
その言葉を聞いて、僕は慌ててベッドから降りた。目の端に二の腕の内側に付けられた赤い跡が見えてなんだか恥ずかしいけれど、擽ったいような、幸せな気持ちになった。
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続編開始です。
よろしくお願いします。
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