254 / 335
第9章 幸せになります
359. 学園の様子
しおりを挟む
叙爵式の三日前、僕は久しぶりに学園に行った。
何だか今年は休む事が多くなってしまった。でもそろそろ前期の試験の事もあるからちゃんと通学しないといけないよね。
何となくジロジロと見られているような感じがしたので、久しぶりにルーカスに教室まで付いてきてもらった。
「おはようエディ」
教室から出てきてくれたのはトムとミッチェルだった。今日は学園に行くと書簡を送っていたので、待っていてくれたみたい。僕はルーカスに「ありがとう」と伝えて二人と一緒に教室の中に入った。
「おはようエディ。何だか色々大変そうだね」
「うん。でも大丈夫。自分で決めた事だから」
「ふふふ、エディはやっぱり強いな」
トーマス君がそう言って、僕達は二人顔を見合わせて笑った。
「でもトムの所も大変じゃない? かなり領地が広がるでしょう?」
「ああ、うん。そうだね。でも元々が管理領だったからね。それほど大変ではないみたいだよ。決める事は多いけど僕は何かあった時のお手伝いくらいかな」
そんな事を話しているとスティーブ君がすかさず遮音の魔道具を置いた。さすが。
「まぁ、一応ね。知らせは出ているけれど」
「そうだよね。スティーブも領地の拝領があるでしょう?」
「うん。だけどオックスの隣の領だから、実質はお祖父様たちが代行という形になるかな」
「そうなの?」
「うん。学生のうちにやれる事をやりたいと思って。下地は作ってくれるみたいだし。それにうちは元々は領地なしだったから父の方が張り切っているよ」
その言葉に僕たちは小さく笑った。
「あれ? 今日はルシルは来ないの? 書簡を出したら『行きたい』って返ってきたから来るかと思った。もしかしてずっと休み?」
「ああ、どうやらニールデン様に止められているみたいだよ」
ユージーン君が教えてくれた。
そうしているうちに講師の先生が来て、僕達は席についた。
やっぱりかなり進んでいるけれど、何とかなりそう。講義を聞きながら僕はあの日のルシルの顔を思い出して、うまくいっているといいなと思った。
「久しぶりだね、エディ」
「こんにちは、エディ」
昼休みはいつものように空き教室に皆で集まった。
レナード君とエリック君はもう来ていて、最後にクラウス君がやってきた。
「まずは改めて、レオン、子爵位と領地の拝領おめでとう。そしてスティーブ、男爵位と領地の拝領おめでとう」
「ありがとう。先に言われてしまったね。エディも伯爵位と領地の拝領おめでとうございます」
「ありがとうございます。他の皆も爵位を授かったり、領地が広がったり、領地替えになったり、おめでとうございます」
僕がそう言うと皆は笑顔でお辞儀をした。
「式典の準備で忙しいと思うけど、来てくれてありがとう。どうしても式の前に皆に会いたくて。準備とかはどう?」
「まぁ一応は終わっている感じかな」
クラウス君がそう言うとミッチェル君がクスクスと笑い出した。
「何だよ、ミッチェル」
「ふふふ、叙爵式が楽しみだよね。クラウスの貴族服って想像すると何となく笑える」
「うるさい。俺だって好き好んで正式な貴族服なんて来たくないんだよ。まったく」
「叙爵なんだから仕方ないよ。褒賞を受けるだけでも一応は貴族服だよ。王室の正式な式典だからね」
エリック君が苦笑しながらそう言うので僕は「え?」と言ってしまった。
「どうしたの? エディ」
「褒賞は騎士服だって……」
「それはお城に務めているからじゃない? アルフレッド様でしょう?」
「うん。この前、服を合わせに行ったら僕はヒラヒラの貴族服だったけど、兄様はすごくカッコいいマントと騎士服だったんだ」
「へぇ、そうなのか。俺も騎士服が良かったなぁ。でもマルコシアスの魔石が褒賞で戴けるらしいからそれは楽しみなんだ」
クラウス君がニコニコしながらそう言うと、ミッチェル君が「見せて!」とすかさず言っていた。さすがミッチェル君。魔物の事になると目の色が変わるね。
「魔石と言えばワイバーンの魔石を戴ける事になったよ」
「ええ! エリックすごい」
「見せてあげるよ。ミッチェル」
「ありがとう! いいなぁ。僕も褒賞は魔石が良かったなぁ。でも父上が何かもらって来てやるって言うからさ」
「ミッチェル、父様がワイバーンの魔石と素材を、兄様がフレイム・グレート・グリズリーの魔石を戴くみたいだからフィンレーにも見においでね」
「! ありがとう、エディ」
それからしばらくは服の事や褒章の事、それに領地の事なんかを話して、そろそろお昼休みも終わる頃に教室のドアが叩かれた。そして……
「遅くなってごめんね。やっぱりどうしてもみんなに会いたくて」
そう言ったのは、ルシルだった。
-----------------
お待たせした割に短くてごめんなさい!!
とりあえずこの続きは書いて明日更新しますが、大掃除をしましょうと家人に言われたので土日は大掃除します。
何だか今年は休む事が多くなってしまった。でもそろそろ前期の試験の事もあるからちゃんと通学しないといけないよね。
何となくジロジロと見られているような感じがしたので、久しぶりにルーカスに教室まで付いてきてもらった。
「おはようエディ」
教室から出てきてくれたのはトムとミッチェルだった。今日は学園に行くと書簡を送っていたので、待っていてくれたみたい。僕はルーカスに「ありがとう」と伝えて二人と一緒に教室の中に入った。
「おはようエディ。何だか色々大変そうだね」
「うん。でも大丈夫。自分で決めた事だから」
「ふふふ、エディはやっぱり強いな」
トーマス君がそう言って、僕達は二人顔を見合わせて笑った。
「でもトムの所も大変じゃない? かなり領地が広がるでしょう?」
「ああ、うん。そうだね。でも元々が管理領だったからね。それほど大変ではないみたいだよ。決める事は多いけど僕は何かあった時のお手伝いくらいかな」
そんな事を話しているとスティーブ君がすかさず遮音の魔道具を置いた。さすが。
「まぁ、一応ね。知らせは出ているけれど」
「そうだよね。スティーブも領地の拝領があるでしょう?」
「うん。だけどオックスの隣の領だから、実質はお祖父様たちが代行という形になるかな」
「そうなの?」
「うん。学生のうちにやれる事をやりたいと思って。下地は作ってくれるみたいだし。それにうちは元々は領地なしだったから父の方が張り切っているよ」
その言葉に僕たちは小さく笑った。
「あれ? 今日はルシルは来ないの? 書簡を出したら『行きたい』って返ってきたから来るかと思った。もしかしてずっと休み?」
「ああ、どうやらニールデン様に止められているみたいだよ」
ユージーン君が教えてくれた。
そうしているうちに講師の先生が来て、僕達は席についた。
やっぱりかなり進んでいるけれど、何とかなりそう。講義を聞きながら僕はあの日のルシルの顔を思い出して、うまくいっているといいなと思った。
「久しぶりだね、エディ」
「こんにちは、エディ」
昼休みはいつものように空き教室に皆で集まった。
レナード君とエリック君はもう来ていて、最後にクラウス君がやってきた。
「まずは改めて、レオン、子爵位と領地の拝領おめでとう。そしてスティーブ、男爵位と領地の拝領おめでとう」
「ありがとう。先に言われてしまったね。エディも伯爵位と領地の拝領おめでとうございます」
「ありがとうございます。他の皆も爵位を授かったり、領地が広がったり、領地替えになったり、おめでとうございます」
僕がそう言うと皆は笑顔でお辞儀をした。
「式典の準備で忙しいと思うけど、来てくれてありがとう。どうしても式の前に皆に会いたくて。準備とかはどう?」
「まぁ一応は終わっている感じかな」
クラウス君がそう言うとミッチェル君がクスクスと笑い出した。
「何だよ、ミッチェル」
「ふふふ、叙爵式が楽しみだよね。クラウスの貴族服って想像すると何となく笑える」
「うるさい。俺だって好き好んで正式な貴族服なんて来たくないんだよ。まったく」
「叙爵なんだから仕方ないよ。褒賞を受けるだけでも一応は貴族服だよ。王室の正式な式典だからね」
エリック君が苦笑しながらそう言うので僕は「え?」と言ってしまった。
「どうしたの? エディ」
「褒賞は騎士服だって……」
「それはお城に務めているからじゃない? アルフレッド様でしょう?」
「うん。この前、服を合わせに行ったら僕はヒラヒラの貴族服だったけど、兄様はすごくカッコいいマントと騎士服だったんだ」
「へぇ、そうなのか。俺も騎士服が良かったなぁ。でもマルコシアスの魔石が褒賞で戴けるらしいからそれは楽しみなんだ」
クラウス君がニコニコしながらそう言うと、ミッチェル君が「見せて!」とすかさず言っていた。さすがミッチェル君。魔物の事になると目の色が変わるね。
「魔石と言えばワイバーンの魔石を戴ける事になったよ」
「ええ! エリックすごい」
「見せてあげるよ。ミッチェル」
「ありがとう! いいなぁ。僕も褒賞は魔石が良かったなぁ。でも父上が何かもらって来てやるって言うからさ」
「ミッチェル、父様がワイバーンの魔石と素材を、兄様がフレイム・グレート・グリズリーの魔石を戴くみたいだからフィンレーにも見においでね」
「! ありがとう、エディ」
それからしばらくは服の事や褒章の事、それに領地の事なんかを話して、そろそろお昼休みも終わる頃に教室のドアが叩かれた。そして……
「遅くなってごめんね。やっぱりどうしてもみんなに会いたくて」
そう言ったのは、ルシルだった。
-----------------
お待たせした割に短くてごめんなさい!!
とりあえずこの続きは書いて明日更新しますが、大掃除をしましょうと家人に言われたので土日は大掃除します。
252
お気に入りに追加
10,636
あなたにおすすめの小説
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!
akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。
そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。
※コメディ寄りです。
【BL】婚約破棄で『不能男』認定された公爵に憑依したから、やり返すことにした。~計画で元婚約者の相手を狙ったら溺愛された~
楠ノ木雫
BL
俺が憑依したのは、容姿端麗で由緒正しい公爵家の当主だった。憑依する前日、婚約者に婚約破棄をされ『不能男認定』をされた、クズ公爵に。
これから俺がこの公爵として生きていくことになっしまったが、流石の俺も『不能男』にはキレたため、元婚約者に仕返しをする事を決意する。
計画のために、元婚約者の今の婚約者、第二皇子を狙うが……
※以前作ったものを改稿しBL版にリメイクしました。
※他のサイトにも投稿しています。
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたアルフォン伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
アルフォンのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!
りーさん
ファンタジー
ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。
でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。
こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね!
のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。