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第9章 幸せになります
340. 大きい人と妖精王への願い
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「あの、ティオ達が『おおきいひと』と呼んでいるのは貴方の事なのでしょうか」
『ふふふ、そうですね。私も「おおきいひと」の一人です』
「え!?」
僕は思わず声を上げてしまった。
『小さな者たちは私たち高位の妖精を「おおきいひと」と呼びます。リロイ達よりももう少し大きくなると私たちの事を個別の名前で呼べるようになります』
「そ、そうなのですね」
という事は僕は今、相当高位の妖精と話をしているという事なのか。そうだよね。王様と話が出来る人なんだものね。
『精霊王の祝福を受けている貴方と我が王が関わる事を、精霊たちがどのように受け止めるのか、見極めなければと思っていました。けれど今回の事をきちんと礼をしたいという思いは分かってもらえたようです。それに近くに妖精の加護を持つ子もおりますしね』
「あ、あの、妖精と精霊はあまり関わる事がないのでしょうか?」
僕は思わず訊ねてしまった。
『そうですね。住む世界が違うという感じでしょうか。フィンレーは元々精霊の力が強い所ですから。そこに妖精王の加護を持つ子供が生まれたというのは珍しい事ですし、その兄が精霊王の祝福を受けているというのも、とても珍しい事なのでしょう。けれど別に妖精と精霊の仲が悪いなどというものではないのですよ。人の言葉を借りれば一番近いのは種族が異なる、それだけです』
「な、なるほど……」
『ふふふ、私たちは精霊たちとはあまり関わる事はありませんが、それでもそれぞれにお互いを認めています。あの地で彼等と人が【厄災】を封じているからこそ、皆ここで暮らしていられる」
「……え?」
今、なんて言ったの?
僕の心の中の声が伝わってしまったかのように大きな人は再び口を開いた。
『おや、知らなかったのですか? 【厄災】の身体を封じたのは精霊たちです。あの地は聖域として誰も近づけないようになっているでしょう? 遥か昔、人がまだあの地を世界の果てと思っていた頃に、精霊はその果ての地に【厄災】を深く深く沈めました。そしてあの地が王国の一部となり、フィンレーが治めるようになってからは、精霊と人が祈りで封じ続けているのですよ』
知らなかった。え? 『首』が落とされた【厄災】の身体は精霊が、フィンレーに封じた?
そう思った途端、僕は子供の頃に父様から聞いた話を思い出した。
「あそこは決して人の手を加えてはならない聖地なんだよ。そこには精霊樹という不思議な樹あってね、この地を守っているとされている。もっとも誰も見たことはないんだけど、代々グランデスを名乗るフィンレーの当主にだけは伝えられているんだ」
そう。フィンレーの当主にだけ伝え続けているという話。父様は特別に教えて下さった。ずっと守らなければならない聖地の事。祈りを欠かしてはならない、大切な…………
「世界の果て……フィンレーの聖地……」
語り継がれ、祈り続けられている伝説の樹。僕の持つ色と同じ精霊樹。
「……っ……」
何故か、泣きたいわけではないのに涙が出た。
そして、悪役令息にならなくて良かったって、強く、強く思った。
それは勿論僕が考えついた仮説でしかないけれど、それでも、あの【記憶】の中にある小説の、奥に隠されていた設定なのかもしれないって思えたんだ。
以前兄様とルシルと話をした事もあったけれど、僕とルシルが同じハーヴィンで生まれた事と、僕が闇属性でルシルが光属性の上位である聖属性を持っていた事の意味。多分、単なる対比というだけの事ではなかったんじゃないかなって。
フィンレーの聖地にある精霊樹と同じ色を持つ僕が悪役令息となって、負のエネルギーを大きくして、闇に染まっていく事で、もしかしたら【世界バランスの崩壊】というものが起きていったのかもしれない。だからそれを阻むために光の愛し子が生まれた。
そう考えると、【厄災】の身体が封じられていると言うフィンレーの聖地の近くにあるあの森の中に、想定外の魔物であるフレイム・グレート・グリズリーが出てきた理由も分かるような気がした。
物語は何度も【強制力】というようなもので、あの小説と同じ流れを作ろうとしていたのかもしれない。
だけど僕は悪役令息にはならず、フィンレーの家の結束は固く、祈りは途絶えず、僕は負のエネルギーを出す事も貯める事もなく、グランディス様と精霊の加護を受け、更には妖精の加護を持つハリーも生まれた。
小説と大きく異なってしまったのは僕のせいだったのかもしれない。だけど、それでも僕は……
「……目覚めてしまった『首』を無事に眠らせる事が出来て良かったです。そして、この王国が、妖精王の森が、精霊の聖地が…………この世界が無事で良かった」
『はい。ありがとうございます。貴方のお陰ですよ。貴方が選び、大切に思い、守った世界です』
「大きい人」は僕の詳しい事情を知らない筈なのに、まるで全てを見通しているかのような、胸に響く言葉をかけてくれて、僕は改めてそれでいい、それで良かったんだって思えた。
だって、僕は、悪役令息になりたくなくて、兄様を殺したりしないって、あの部屋で意識を取り戻した時から決めていたんだから。それだけは揺るがないから。
『改めてお聞き致します。エドワード様、王の森を守っていただいた感謝の印、我が王へ何か望む事はございませんか?』
「はい。一つ教えて頂きたいと思う事があります。王城の敷地内にあるあの森とモーリスの守塚の空間を繋いでいる道が残っています。森への出口、ダンジョンへの入り口の扉は修復して閉じましたが、空間を繋げた魔法を解除する方法が見つかりません。文献の中に妖精は空間の中に道を作る事が出来ると書かれていました。人が魔法で繋げた道を塞ぐ方法があればダンジョンと森が繋がる事は二度とないでしょう」
僕は考えていたことを口にした。
空間解除の方法はハワード先生が一生懸命探してくれているけれどやはり中々見つからない。道を作る事が出来る妖精ならば、それを閉じる方法は知らないだろうか。
「大きい人」は黙ったまま僕の顔を見ていた。
やっぱり駄目だったのかな。そんな方法は人には教えられないのかな。お礼にしてはお願いが大きすぎたのかしら。でも「出来ませんか?」って聞いたら失礼だよね。ここは相手の答えを待つしかないよね?
『貴方は本当に愛されるべき者なのですね。己の事ではなく、世界の事を考える』
「え、あの……」
『…………王からの返事をお伝えします。「道の始まりと終わりに、あの木を目印として植えよ。その間の道は二度と使えぬように消してしまおう」』
「ええ!」
方法じゃなくて、消してくれる? え? 道をなくしてもらえちゃうの?
『残念ながら私たち妖精には人の魔法は分かりません。ですが、空間の道は作る事も、消す事も得意ですから』
「大きい人」は優しく笑って答えた。
「あり、ありがとうございます!」
『いいえ、エドワード様、精霊王の祝福を受けし者よ。貴方の願いは妖精にとっても有難い申し出です。用意が出来ましたらリロイたちに伝えてください。終わりましたら私からまた報告をいたしましょう』
銀の光を纏う「大きい人」はそう言ってにっこりと笑った。
「ありがとうございます。今日、お会いできてとても嬉しかったです。僕がなぜここにいるのか、その事までも気づけたような気がします。教えて下さって感謝します。これからもどうぞ、えっと、ハロルドの事をよろしくお願いします」
『ふふふ、エドワード様、貴方もどうぞよろしくお願いいたします。そうですね、私の事は「ファラル」とお呼びください』
「え……?」
『はい。これで道はなくとも繋がります』
「あ! ありがとう、ファラル。僕の事はエディと」
『エディ。どうぞよろしく』
そうしてファラルは綺麗な笑みを残して、光の中に消えた。
僕は、これがどこまでが夢で、どこまでが現実なのか分からないような気持になりながらも、幸せな気持ちになって目を閉じた。
----------------
ものすごく何度も書き直しをした回です。
うまく伝わってもらえるといいなぁ。
『ふふふ、そうですね。私も「おおきいひと」の一人です』
「え!?」
僕は思わず声を上げてしまった。
『小さな者たちは私たち高位の妖精を「おおきいひと」と呼びます。リロイ達よりももう少し大きくなると私たちの事を個別の名前で呼べるようになります』
「そ、そうなのですね」
という事は僕は今、相当高位の妖精と話をしているという事なのか。そうだよね。王様と話が出来る人なんだものね。
『精霊王の祝福を受けている貴方と我が王が関わる事を、精霊たちがどのように受け止めるのか、見極めなければと思っていました。けれど今回の事をきちんと礼をしたいという思いは分かってもらえたようです。それに近くに妖精の加護を持つ子もおりますしね』
「あ、あの、妖精と精霊はあまり関わる事がないのでしょうか?」
僕は思わず訊ねてしまった。
『そうですね。住む世界が違うという感じでしょうか。フィンレーは元々精霊の力が強い所ですから。そこに妖精王の加護を持つ子供が生まれたというのは珍しい事ですし、その兄が精霊王の祝福を受けているというのも、とても珍しい事なのでしょう。けれど別に妖精と精霊の仲が悪いなどというものではないのですよ。人の言葉を借りれば一番近いのは種族が異なる、それだけです』
「な、なるほど……」
『ふふふ、私たちは精霊たちとはあまり関わる事はありませんが、それでもそれぞれにお互いを認めています。あの地で彼等と人が【厄災】を封じているからこそ、皆ここで暮らしていられる」
「……え?」
今、なんて言ったの?
僕の心の中の声が伝わってしまったかのように大きな人は再び口を開いた。
『おや、知らなかったのですか? 【厄災】の身体を封じたのは精霊たちです。あの地は聖域として誰も近づけないようになっているでしょう? 遥か昔、人がまだあの地を世界の果てと思っていた頃に、精霊はその果ての地に【厄災】を深く深く沈めました。そしてあの地が王国の一部となり、フィンレーが治めるようになってからは、精霊と人が祈りで封じ続けているのですよ』
知らなかった。え? 『首』が落とされた【厄災】の身体は精霊が、フィンレーに封じた?
そう思った途端、僕は子供の頃に父様から聞いた話を思い出した。
「あそこは決して人の手を加えてはならない聖地なんだよ。そこには精霊樹という不思議な樹あってね、この地を守っているとされている。もっとも誰も見たことはないんだけど、代々グランデスを名乗るフィンレーの当主にだけは伝えられているんだ」
そう。フィンレーの当主にだけ伝え続けているという話。父様は特別に教えて下さった。ずっと守らなければならない聖地の事。祈りを欠かしてはならない、大切な…………
「世界の果て……フィンレーの聖地……」
語り継がれ、祈り続けられている伝説の樹。僕の持つ色と同じ精霊樹。
「……っ……」
何故か、泣きたいわけではないのに涙が出た。
そして、悪役令息にならなくて良かったって、強く、強く思った。
それは勿論僕が考えついた仮説でしかないけれど、それでも、あの【記憶】の中にある小説の、奥に隠されていた設定なのかもしれないって思えたんだ。
以前兄様とルシルと話をした事もあったけれど、僕とルシルが同じハーヴィンで生まれた事と、僕が闇属性でルシルが光属性の上位である聖属性を持っていた事の意味。多分、単なる対比というだけの事ではなかったんじゃないかなって。
フィンレーの聖地にある精霊樹と同じ色を持つ僕が悪役令息となって、負のエネルギーを大きくして、闇に染まっていく事で、もしかしたら【世界バランスの崩壊】というものが起きていったのかもしれない。だからそれを阻むために光の愛し子が生まれた。
そう考えると、【厄災】の身体が封じられていると言うフィンレーの聖地の近くにあるあの森の中に、想定外の魔物であるフレイム・グレート・グリズリーが出てきた理由も分かるような気がした。
物語は何度も【強制力】というようなもので、あの小説と同じ流れを作ろうとしていたのかもしれない。
だけど僕は悪役令息にはならず、フィンレーの家の結束は固く、祈りは途絶えず、僕は負のエネルギーを出す事も貯める事もなく、グランディス様と精霊の加護を受け、更には妖精の加護を持つハリーも生まれた。
小説と大きく異なってしまったのは僕のせいだったのかもしれない。だけど、それでも僕は……
「……目覚めてしまった『首』を無事に眠らせる事が出来て良かったです。そして、この王国が、妖精王の森が、精霊の聖地が…………この世界が無事で良かった」
『はい。ありがとうございます。貴方のお陰ですよ。貴方が選び、大切に思い、守った世界です』
「大きい人」は僕の詳しい事情を知らない筈なのに、まるで全てを見通しているかのような、胸に響く言葉をかけてくれて、僕は改めてそれでいい、それで良かったんだって思えた。
だって、僕は、悪役令息になりたくなくて、兄様を殺したりしないって、あの部屋で意識を取り戻した時から決めていたんだから。それだけは揺るがないから。
『改めてお聞き致します。エドワード様、王の森を守っていただいた感謝の印、我が王へ何か望む事はございませんか?』
「はい。一つ教えて頂きたいと思う事があります。王城の敷地内にあるあの森とモーリスの守塚の空間を繋いでいる道が残っています。森への出口、ダンジョンへの入り口の扉は修復して閉じましたが、空間を繋げた魔法を解除する方法が見つかりません。文献の中に妖精は空間の中に道を作る事が出来ると書かれていました。人が魔法で繋げた道を塞ぐ方法があればダンジョンと森が繋がる事は二度とないでしょう」
僕は考えていたことを口にした。
空間解除の方法はハワード先生が一生懸命探してくれているけれどやはり中々見つからない。道を作る事が出来る妖精ならば、それを閉じる方法は知らないだろうか。
「大きい人」は黙ったまま僕の顔を見ていた。
やっぱり駄目だったのかな。そんな方法は人には教えられないのかな。お礼にしてはお願いが大きすぎたのかしら。でも「出来ませんか?」って聞いたら失礼だよね。ここは相手の答えを待つしかないよね?
『貴方は本当に愛されるべき者なのですね。己の事ではなく、世界の事を考える』
「え、あの……」
『…………王からの返事をお伝えします。「道の始まりと終わりに、あの木を目印として植えよ。その間の道は二度と使えぬように消してしまおう」』
「ええ!」
方法じゃなくて、消してくれる? え? 道をなくしてもらえちゃうの?
『残念ながら私たち妖精には人の魔法は分かりません。ですが、空間の道は作る事も、消す事も得意ですから』
「大きい人」は優しく笑って答えた。
「あり、ありがとうございます!」
『いいえ、エドワード様、精霊王の祝福を受けし者よ。貴方の願いは妖精にとっても有難い申し出です。用意が出来ましたらリロイたちに伝えてください。終わりましたら私からまた報告をいたしましょう』
銀の光を纏う「大きい人」はそう言ってにっこりと笑った。
「ありがとうございます。今日、お会いできてとても嬉しかったです。僕がなぜここにいるのか、その事までも気づけたような気がします。教えて下さって感謝します。これからもどうぞ、えっと、ハロルドの事をよろしくお願いします」
『ふふふ、エドワード様、貴方もどうぞよろしくお願いいたします。そうですね、私の事は「ファラル」とお呼びください』
「え……?」
『はい。これで道はなくとも繋がります』
「あ! ありがとう、ファラル。僕の事はエディと」
『エディ。どうぞよろしく』
そうしてファラルは綺麗な笑みを残して、光の中に消えた。
僕は、これがどこまでが夢で、どこまでが現実なのか分からないような気持になりながらも、幸せな気持ちになって目を閉じた。
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