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第9章   幸せになります

333. お昼休みの話題

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 やっぱりまずはちゃんと報告しないといけないよね。
 お昼休みにレナード君とエリック君、そしてクラウス君も、いつものように空き教室にやってきた。僕はさっと遮音魔法を展開してからペコリをお辞儀をした。

「改めて、スタンピードの件ではありがとう。皆が協力をしてくれたから最後まで戦う事が出来たし、無事に終わる事が出来たって思っています。僕の力を見ても、変わらずにいてくれる皆が大好きです。これからもよろしくね」

 言いながらちょっぴり涙が滲んだけど、皆は笑顔でいてくれて、それがまた嬉しかった。

「えっと、あの、皆に報告が、あります。えっと、父様達に、に、兄様と……け、け、結婚したいって、お話しました。それで、認めてもらいました。また改めてお知らせするけど、十の月の僕の誕生日が過ぎたら婚約式をして、が、学園を卒業したら……結婚式を挙げる予定です」

 皆が一斉に「おめでとう」って言ってくれて、「ありがとう」って笑いながら、今度こそ涙が出た。嬉しくても涙って出ちゃうんだよね。

「良かったよ~! ほんとに良かった! もうね、エディが空に上がって行った時のアルフレッド様がね、見ているこっちまで辛くなるような感じだったんだよ。降りてきた時にもね、ギューッて誰にも渡さないって感じだったの!」
「ミッチェル、泣きすぎだし、興奮しすぎ」

 クラウス君が呆れたようにそう言って、ミッチェル君が「うるさい……」って文句を言って、みんながそれを見て笑っていて、ああ、本当に皆がいてくれて良かったって思った。

「じゃあ、今年中に婚約式だね」

 トーマス君がニッコリと笑って口を開いた。

「うん。よく分からないけど、その方がいいって」
「ああ、そうだね。その方がいいんじゃないかな」

 そう言ったのはレナード君。

「え?」
「聞いていないのかな。まぁあえて言わなかったのかもしれないけれど、エディは来年になったら、ものすごい数の釣り書が来ちゃうと思うんだ」
「ええ!?」
「バラしちゃうのは反則だけど、フィンレー侯爵はエディの結婚については学園を卒業するまでは一切受け付けないって公言されていてね、しかも本人の意思を尊重するっておまけつきだったって、随分前に騒がれていていたんだよ」

 あ、それは前に父様から言われたような気がする。成人したからってすぐに決めなくていいっていうのも。
 そう言うと皆は大きく頷いてくれた。

「だから来年は卒業に向けて大量の釣り書が予想される。しかも今回のスタンピードの件で更にすごい事になりそうだから、その前にきちんと決まっている方がいいよ」

 レナード君の言葉に続けて、ユージーン君もそう言った。

「そうそう。アルフレッド様もしっかり囲……いってぇなぁ! ミッチェル!」
「脳筋は配慮がなさすぎる」
「確かに、クラウスが悪い」

 ミッチェル君だけでなく、エリック君にまで言われてクラウス君は黙って頭を掻いた。

「 わ、ぅ……え……と、とりあえず、食事をしよう?」

 食事をしながらも話題は尽きなかった。
 僕が知らなかったスタンピードの後始末の事や、街の様子、モーリスの事やギルドの事。
 
 倒された魔物たちはを放置して、そこで魔素が湧かないようにって、どうやらお祖父様が作ったらしいマジックボックスの中に出来る限り入れてしまうようになっていたみたい。僕たちの方は僕が今回用に作ったものを皆がそれぞれに使っていて、それを出したらものすごい事になって、まだ全部は出し切れていないらしいんだけど、魔物の素材とか、魔石とかがね、沢山取れたんだって。
 知らなかった。まぁ、僕の力で死んでしまった魔物は素材は難しそうだけれど、魔石はちゃんとあったみたい。それで今回ギルドに依頼をした冒険者達への報酬の支払いとか、王城内でのスタンピードや『首』についての封印とかにも報奨金を出す方向で調整をしている、らしい。

「大型種や高位種を討伐した者にも何かって話もあるみたいだね。まぁ、さすがに全てを国庫からって言うのは難しかったみたいで、思いがけないところから素材やら魔石やらが入って来たから、それならそれを分け与えようって言う話も出ていると聞いたよ。まだ決まったことでは無いけど」

 レナード君の所は『首』の封印の支援にも、スタンピードにも参加をしているし、侯爵家だし、王城での会議にもお父様が呼ばれているみたい。

「討伐した魔物で、欲しい素材があれば優先するような事も考えていたみたいだけど、それはさすがに難しいのではないかとも言われているね」

 これは情報通のユージーン君。

「まぁな。把握しきれないだろう。それよりも亡くなった者たちの家族への補償はきちんとして欲しいしな」

 クラウス君の言葉にエリック君達が大きく頷いていた。

 そしてやっぱり大変だったみたいなのは僕の力の事だったみたいだ。
 父様は僕が目を覚ましてからほとんどお会いしていないし、兄様も、前にちょっとだけ話した時には。おかしなことはないと思うしさせないって言って、ちょっと注意をされてしまったから、どうなっているのか聞きづらかったんだ。
 父様も兄様も何も言わないけど、僕の力を神様だって言う人と、恐ろしい力だって言う人がいて、だけどスタンピードが被害が最小限で、しかも一日で終わったのは間違いなくその力のお陰で、でもそれは厳重に管理をするべきなのではないかって言う人もやっぱりいたらしい……

「気にしない方がいいよ、エディ。実際にエディがいなかったら、もっと長引いていたし、もっと被害が大きかったのは陛下も分かっているし」

 ルシルが僕の顔を見ながらそう言った。

「うん。ありがとう、ルシル」

 多分、以前ルシルの事があったから、皆も大きな力に対して、無闇に囲ったり、攻撃したりしないようにしようってする土台が出来ているんだよね。
 僕は力を使ったらどういう事が予想されるかっていうのもある程度分かっていたし、この前兄様にも注意をされたし、何よりも父様や兄様が大丈夫って言うなら大丈夫なんだって思う事に決めたんだ。


 その後は西の国との国交正常化の調印式が開かれる事が決まったっていう話をちょっとだけしてお昼休みが終わった。

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